上 下
296 / 302
第2章 再出発

第5話 良くありがちな光景(11)

しおりを挟む
 だからわらわは陛下の御顔を自分の方へと抱き込むようにギュ! でございます。

 それもわらわの胸の谷間で包み込むように優しく労わってギュ~! でございますから。

「そうか、それは良かった」

 陛下がわらわへと言葉をかえすと。

「ちょ、ちょっとエリカ~! エリカ~! これは不味い! 不味言ってぇ! お店の店員のお姉さんもいるし、他のお客様もいるから今は駄目! 家に帰る迄、したら駄目だ! 皆さんがビックリするから!」

 陛下はわらわの胸の谷間で顔を埋めつつ、ブツブツ不満……。わらわを諫めてくるから。

 陛下は生前はこんなことをわらわに告げるような男性ひとではなかったのに。わらわはシクシクと悲しいと思う。

「(あのね~、エリカ~? 生前の僕は君やレビィア、リムが産まれた世界で好き放題して。妃の君が注意をしてきても聞く耳を持たない、我が物顔でいたドラゴンだったけれど。今の僕はこの世界で日本人して生まれてきたドラゴンだから、生前とは違い、日本この国のドラゴンなの、分かる、エリカ?)」

 陛下がわらわへと言葉ではなく、生前と同じように脳名へと直接話かけ諫めてきた。

 だからわらわは「えっ!」と驚嘆をすれば。

「(レビィアもリムも異世界からの移民になるから、この国の法律や風習、生活習慣を日本人になるためにと、今覚えている最中だよ。だからエリカも大変だと思うけれど、この国の法律や風習、生活習慣を覚えて、俺の妻として日本人になってよ。お願いだから、頼むよ、エリカ……)」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ダブル魔眼の最強術師 ~前世は散々でしたが、せっかく転生したので今度は最高の人生を目指します!~

雪華慧太
ファンタジー
理不尽なイジメが原因で引きこもっていた俺は、よりにもよって自分の誕生日にあっけなく人生を終えた。魂になった俺は、そこで助けた少女の力で不思議な瞳と前世の記憶を持って異世界に転生する。聖女で超絶美人の母親とエルフの魔法教師! アニメ顔負けの世界の中で今度こそ気楽な学園ライフを送れるかと思いきや、傲慢貴族の息子と戦うことになって……。

蒼氓の月・タイガとラストドラゴン/(絶滅の危機にあるドラゴンを救えるのか。王位をめぐる陰謀と後宮の思惑。タイガとリリスの恋の行方は)

むとう けい(武藤 径)
ファンタジー
全ては神が仕組んだこと 神は自分に似せて人間を創り出した。ドラゴンと人間の女との間にできた異類婚姻(いるいこんいん)メリサンド(人間とドラゴンのハーフ)生まれ出てきた子は神に近すぎた。その存在に脅威を感じた神は、この世に殺戮の精霊「死魔」を送り込んだ。 17年後、辺境の地カナトス王国の皇子タイガと剣術使いのサー・ブルーは父王の密命により、絶滅の危機にあるドラゴンの子供を秘密裏に国に連れ帰るよう命じられる。旅の途中、刺客に襲われたタイガは美しきメリサンドの娘リリスに助けられる。リリスの美しさに心を奪われたタイガは、ほかの男と結婚しないよう禁婚令を下す。 絶滅の危機にあるドラゴンを救えるのか。王位をめぐる陰謀と思惑。タイガとリリスの恋の行方はーー。 登場人物 ◆主要人物 【タイガ・リオン】 カナトス王国の皇子(王子)腹違いの次男であることから命を狙われる。王位継承権第三位 【リリス】 ドラゴンとのクオーターであり冥府の神の血を受け継ぐ可能性があることから、小鬼の長に育てられる 【サー・ブルー】 タイガの護衛を務めるカナトス一の剣術使い。母親はタイガの乳母 【アーロン】  魔導師プロフェッサー・バトラーの弟子。タイガと行動を共にする。 【プロフェッサー・バトラー】魔導師。ドラゴンとメリサンドの種の絶滅を調べ歩く。 ◆冥界の住人 【ペルセポネ】 老婆の姿をした冥界を司る死の女神。 【死魔】 東方の死の四精霊のうちの一精霊 【小鬼の長ホビショー】ペルセポネに仕える小鬼の長 リリスの育ての親 【下級の使い魔】銀狐のクロノム 【ベリアル】貴公子の姿をした魔の精霊 ◆カナトス王国 【リオン十二世】 タイガの父親 【王妃クレア】 王の正室 タイガの養母 息子アーサーの王位を脅かすタイガを排除しようとする 【レーテル】 タイガの実の母 農園の娘。不遇の女《ひと》 【乳母ミルドレッド】 タイガの乳母 サー・ブルーの実母 【イワン・リオン皇太子】 王位継権承第一位  【エルサ皇太子妃】皇太子の妻 【イワン王子】王位継承権第二位 【ユリウス公爵】王妃クレアの実家 【オルレアン伯爵】貴族院の長。赤の貴族の異名 【ベルリーニ枢機卿】カナトス国教会の最高位 用語 異類婚姻《いるいこんいん》人間の種を越えた混血 メリサンド(ドラゴンと人間のハーフ 「蒼氓の月」はアルファポリス、エブリスタなどでご活躍中の海善紙葉さんから名付けていただきました。

超人気美少女ダンジョン配信者を救ってバズった呪詛師、うっかり呪術を披露しすぎたところ、どうやら最凶すぎると話題に

菊池 快晴
ファンタジー
「誰も見てくれない……」 黒羽黒斗は、呪術の力でダンジョン配信者をしていたが、地味すぎるせいで視聴者が伸びなかった。 自らをブラックと名乗り、中二病キャラクターで必死に頑張るも空回り。 そんなある日、ダンジョンの最下層で超人気配信者、君内風華を呪術で偶然にも助ける。 その素早すぎる動き、ボスすらも即死させる呪術が最凶すぎると話題になり、黒斗ことブラックの信者が増えていく。 だが当の本人は真面目すぎるので「人気配信者ってすごいなあ」と勘違い。 これは、主人公ブラックが正体を隠しながらも最凶呪術で無双しまくる物語である。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花
ファンタジー
 15歳を迎えた者は神よりスキルを授かる。  どんなスキルを得られたのか神殿で確認した少年、アルフレッドは【経験値固定】という訳の分からないスキルだけを授かり、無能として扱われた。  そして一年後、一つ下の妹が才能がある者だと分かるとアルフレッドは家から追放処分となった。  しかし、一年という歳月があったおかげで覚悟が決まっていたアルフレッドは動揺する事なく、今後の生活基盤として冒険者になろうと考えていた。 「スキルが一つですか? それも攻撃系でも魔法系のスキルでもないスキル……すみませんが、それでは冒険者として務まらないと思うので登録は出来ません」  だがそこで待っていたのは、無能なアルフレッドは冒険者にすらなれないという現実だった。  受付との会話を聞いていた冒険者達から逃げるようにギルドを出ていき、これからどうしようと悩んでいると目の前で苦しんでいる老人が目に入った。  アルフレッドとその老人、この出会いにより無能な少年として終わるはずだったアルフレッドの人生は大きく変わる事となった。 2024/10/05 HOT男性向けランキング一位。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

アスモディアンズは、カオスな仲間たち。

日向 ずい
ファンタジー
「ええい、やむおえん!お前らの意見など、聞いてられん!それっ!!ワープじゃー!!」 「えええ〜!!!!!」 このことから、俺たちアスモディアンズが誕生することとなったんだ。全く...あの魔法使い...今度あったらただじゃ置かねぇからな...。 この物語は、カオスな魔族の仲間達が人間界で生活しながら、世界を救うために奮闘する完全ファンタジーである。

処理中です...