僕は魔王董卓仲穎だ！ お前等かかってこいよ！ オラオラ！ と肩を振って威張り歩きたいけれど……

第50話 軍師李儒（４）

　儂は更に李儒の奴を揶揄するように高笑いをしながら尋ねてみた。


「煩い、煩い。黙れ、黙れ……。あなたは黙れ！　黙らっしゃい！」

　すると李儒の奴はこの通りだ。

　儂に虐め続けたい程好きで仕方がないデブを劉家の双子……。劉弁と劉協に寝取られた事を指摘をされた李儒の奴は更に自身の顔を真っ赤……。

　まあ大変に恐ろしい大変に可愛い顔をしながら『はい！　やぁ～！　うぉりやぁ～！』と言った激しい勢いで戟を振るい、払い、薙ぎ払い、突きを繰り返してくるものだから。

「そうだ！　そうだ！　李儒先輩の言う通りだ！　デブは黙れ！　黙れ！」

　先程迄床で、自身の痛みでへたり込み力無く呻っていた筈の、樊稠の奴も立ち上がり、また剣とスラリと伸びた奇麗な足を振るって、この儂にじゃれついてきた。

　だから儂は先程から可愛い娘にゃん二人の攻撃を避け、ガードをリズム良く繰り返しながら。

「はぁ～」、
「やぁ～」、
「とりゃぁあああっ！」

　儂も自分の口から荒々しい声をあげつつ、二人の隙を見ては拳と手刀、蹴りの攻撃をおこないつつ楽しんでいるのだ。

　李儒と樊稠の奴が余りにも憤怒している顔可愛い顔──真っ赤な顔をして自身の目尻を吊り上げながら君主に対して荒々しい言葉……悪態をついてくるから見ていても可笑しい、楽しい、可愛くて仕方がない。