僕は魔王董卓仲穎だ！ お前等かかってこいよ！ オラオラ！ と肩を振って威張り歩きたいけれど……

第42話 抵抗（２）

　この魔王董卓を李傕の魔力程度で冥府へと送り返す事等不可能だと奴も分かっている筈なのに何を考えているのだ、あいつは……。頭が少し弱いのか……？

　儂は自身の家臣に対して呆れ返りながら「はぁ～」と大きく嘆息を漏らせば。

「張繡、儂の足元で自身の身を伏せ、怪我をせぬよう隠れておれ」と小声で告げる。

「えっ！」

　今迄儂に自身の長い髪を鷲掴みされ、狩で狩られた小動物みたいに地面に引きずられながら苦痛な顔をしつつ呻り声を漏らしていた張繡の顔が驚愕した顔へと変化し、驚嘆を漏らして上を向いた。

　だから儂と目が合ったので張繡へと「別にお主に酷い事はせぬ」と告げ。
「黙って見ておれ」とも儂は小声で告げた。

「はい」

　儂に負け、平伏している張繡の奴は素直に返事を返すと、自身の頭を両手で抑えつつ己の身を伏せた。

　すると李傕が呪術で放った氷の矢が止まる。



「董卓～、死ねぇえええっ！　あの世に行きなぁあああっ！」

　儂が李傕の攻撃が止まったので、自分の左手に呪術で弩を召喚し、奴へと魔力の矢で攻撃して冥府へと送ってやろうと思えば。

　今度は別の場所から儂へと怒声が放たれたから。