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第31話 あんな俺を見てくれていた奴もいたけれど。良くなってからの俺の事を見るようになった奴もいる(15)

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「新作~! うちのバージンを奪ったのは誰でもない、あんた~、新作だから~。その事をあんたはもう忘れたんじゃないでしょうね?」

 姉ちゃんは驚愕し、動揺をしている俺へと涙をポロポロと流しながら睨み──。ちゃんと憤怒しながら尋ねてきた。

 だから俺は唖然、呆然……。じゃないよね?

 そう、俺は瞬時に己の脳をフル回転させ、過去の記憶……。俺が姉ちゃんの許……。この家にお泊まりしに来ていた頃の記憶を思い出していくから。俺は直ぐに幼い頃の記憶が蘇っていくので。

「えっ! でも姉ちゃん、あれって? 姉ちゃんは何もなかって俺に教えてくれたじゃないか」

 俺はコイツに勘違いだろう? 自分自身の口で俺とは何の無かったと教えてくれたじゃないかと不満を漏らした。

「うぅん、違うよ」
 姉ちゃんは自分の涙を華奢手で拭きつつ、自身の首を振るから。

「えっ! 嘘?」

 俺はまたコイツに男らしくない言葉を漏らす。

「うちが言っている事はうそじゃないよ。本当のことだよ。只あの時に新作、あんたがうちに赤ちゃん出来たらどうしよう? 姉ちゃんごめんね、と泣くから。うちが小さなあんたのことが可愛いし、愛おしから。新作、姉ちゃんとは何もなかったよ。心配しないで、大丈夫だから、と告げ、安心させただけで、うちはあの時にちゃんと処女は無くなったんだよ。新作……。だからうちの事を新作、あんたが捨てると言ったら絶対に許さないから」

 姉ちゃんは相変わらず自分の涙を拭きつつ俺に不満と責任をとるように迫ってきた。

 でも俺はこの家の居候になってから直ぐに、ヤンキー化している姉ちゃんに、お前は俺の物だと告げたのに拒否をされ、蔑み、嘲笑いされたから。

「姉ちゃん、でも……」と言葉を漏らすのだが。

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