俺と（従姉）姉ちゃんの良くある『今日から俺は？』の話だ。

第18話 初めての経験（４）

　だから俺の横腹に激痛が走る。それも一人っ子で両親にも余り怒られた事のない。甘々の過保護で育った俺が初めて味わう男の蹴りの痛みを二度も味わうのだから。

　俺の甘々な身体は、そんな恐ろしい打撲に耐え切るようには育っていないので刹那だ。

「痛い。痛い。痛いよ」と、俺は絶叫交じりで叫び転がる。

　そう、のたうち回ると言った様子でね。

　だから姉ちゃんの彼氏はこれで俺の事を許してくれると思った。

　姉ちゃんの彼氏は結婚すれば俺とは身内、一族になる訳だから。俺に対してこれ以上酷い事はしないと。俺はたかをくくっていたよ。

　こんな弱い俺……。怒声！　罵声！　侮り、蔑み、嘲笑おうと。

『ヒッ！』と情けない声を出し、怯えるだけの玩具、サンドバックをヤンキー連中は許す訳はないから。

「はぁ～。分かってのかお前～？」
「このクソ丁稚が大概にしろお前～？」
「俺の女に手を出しやがって大概にしろ～」
「何が、親が決めた許嫁だってぇ～。大概にしろよ、このクソ丁稚が～！」
「童貞野郎がぁ～！　十年早ぇ、えんだよ～！　十年～！　クソガキ～！」

　姉ちゃんの彼氏は無抵抗な俺の事をケラケラと嬉しそう……。小躍りするように蹴り、踏み続けた。