おかしでおかしな話

Natsu

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おかしな事態

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 目的地。デートの待ち合わせ場所は、ブリッツの家でした。
 しかも今日は泊まり掛けなので、夜はムフフを想像して顔が赤くなるポッキー。

 手に持ったカバンの中には、ちゃんとスタンガンと催眠スプレーと鋼のロープが用意されています。
 ブリッツが言うこと聞かなかったら束縛してムフフに進もうと、年頃の女の子らしい考えをしていました。

「到着――いざ、出発!」

 爆裂ダッシュでやってきたポッキーは、ブリッツ家の前で急ブレーキをし、すぐにパラダイスを体験するために家の中に入ろうとしました。

「………」

 しかし、入れませんでした。
 なぜかって? だってあるはずの家が無いというミステリーに遭遇したからです。

 ブリッツ家消滅。想像もしていなかったミステリーの答えは、無人と化した土地の中央に立てられた看板でした。

『売り地。土地のご購入はモケケッ不動産までどうぞ☆』

 ポッキーは無言で看板を蹴り飛ばしました。
 蹴り飛ばされた威力で根元から折れた看板は宙を舞います。

「それで終わると思うなよ?」

 ポッキーは鬼と化しました。ボーンジャケットがさらにその姿をリアルにしています。
 破壊は始まった。不動産の愛が詰まった罪なき看板は、怒濤の猛打により見るに耐えない姿へと変貌を遂げていく。

 破壊。破壊。破壊。俺が何をした。破壊。破壊。助けてくれ。破壊。破壊。あああ。破壊。破壊。破壊。

 破壊の間に聞こえた看板の悲鳴。
 だが、そんなものは鬼の耳には届かない。鬼が聞くのは破壊の音色のみなのだから。

「ポッキー!」

 売り地の中で容赦なく看板を破壊していると、ポッキーを呼ぶ声がしました。
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