☆なんちゃってクエスト★

Natsu

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■舞台は夢の世界編

【12】

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 ククルは口下手くちべたなエルフに代わり説明を始める。

「悪魔ナイトメア。こいつは特異とくい異世界いせかいをつくる能力をもつ悪魔。その異世界は夢の世界と表現される。今は北国にいる人間たちがその影響下にあり、肉体と精神が分離ぶんりし夢の世界に落とされ眠らされている状態になっておる」

 ロゼンが驚いた顔になる。

「肉体と精神を切り離す……そんなことできるのか?」

「まあ、できとる以上可能なのだろうな。自分でそれを行うのはともかく、他人にそれを強制するのはさすが悪魔の能力と言わざるを得えん。しかも範囲を限定して自身がそこから動かない条件つきとはいえ、一国単位いっこくたんいの人間を丸ごと自身の世界に飲み込むなど、驚くしかない能力規模きぼでもある」

 ククルはそう答えたあと、3人の勇者の顔を順番に見る。

「夢の世界に侵入し、ナイトメアの支配化におかれることなく活動するには、非常に強い状態異常の耐性がある職業……すなわちお前さんがた勇者がもっとも適任であるわけじゃ。夢の世界に入ったはいいが、眠らされましたではなんの意味もないからの。このめんどくさい条件さえなければ、世界守備隊の戦闘部隊を送りこんでささっと解決できたかもしれんのじゃが」

 話を聞き、ガイアは自身満々に腕を組む。

「なにを言う、勇者3人という贅沢ぜいたくなメンバーでささっと解決してやろうではないか。それで夢の世界に入るにはどうしたらいいんだ?」

「それは……ほれエルフ、お前さんの番だぞ」

『ふぁ!? は、はぴ!』

 ククルの後ろに隠れていた気配が前に出てきた。

『わわ、私が勇者の皆様を夢の世界にお送りします! す、すでに準備はできていますので、そこに横になって寝ころんで頂ければばば、あとぱお任せくださひ!』

 エルフに言われ、ガイアは考えるような仕草をとる。

「やはり我々も肉体をここに置き、精神体のみが飛ばされる感じか?」

『は、はい!』

「その場合、武器はどうなるんだ? 私は愛用のこの魔銃まじゅう以外だと困るし、イデアの悪魔ブラッドとか、ロゼンだって自慢気じまんげに話してくれたことのある伝説の剣が使えないと困るだろう?」

「え…………あ、うん、まあ、うん」

 ロゼンは曖昧あいまいな答えでにごした。

『だ、だいじょうびです! 武器は直接、精神世界に転送しましゅ。それぐらいの無理なら私ばんばれます! 任せてくださぴぃ……い!』

 本当にだいじょうびかな、と一同は心配になった。

「……ごめんね、私の武器ではあるけど悪魔ブラッドはどうなのかな? 悪魔だけど武器というくくりで転送可能ということでいい?」

 イデアも心配だったのかエルフに尋ねた。

『ええっと……その悪魔は……はい、イデアさんについてくるため問題ないと思います……』

 エルフの答えを聞き、イデアは、そう良かった、と一言つぶやいた。
 そんなイデアをちらっと見たあと、ガイア一瞬顔をうつむかせてから勢いよく立ち上がる。

「よおし、出発前の問題はクリアした! あとやることは簡単だ、悪魔ナイトメアをぶっ倒す! ……というわけで横になって寝ころべばいいんだな?」

『は、はははははい!』

 エルフの指示に従い、勇者たち3人は並んで床に寝ころんだ。
 正直、肉体と精神が離れるのは初めての体験であるためロゼンとガイアは緊張気味の表情になり、赤い大鎌をお腹に乗せて寝ころぶイデアは緊張と無縁なリラックスしている様子だった。

『で、では、目をつむってください。始めま……』

 そこでエルフの言葉が止まる。
 同時に勇者たちは目を開けて上体を起こした。

 その直後強いエネルギーの波動が生まれ、嵐に飲まれたようにテントが大きく揺れ動いた。
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