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□始まり編
【買い物?】
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ロゼンパーティーは、依頼を無事に終了させた。
王様からたんまりと頂いた報酬金を握りしめ、ロゼン&ミモザは道具屋に買い物に出かけている。
だが、
「や、薬草が30¢……? なぜ、こんなにも値段が上がっているのですか?」
値段が高い。薬草は10¢が相場なのに30¢は高すぎる。
ミモザが尋ねると、亭主は表情を暗くした。
「いやねえ……とある冒険者が王様から破格の依頼料を取ったらしくて税金が急に上がったんだよ」
近くで昼食をとっていたロゼンは食べかけていたパンを落とした。
(え、うそ、2ページ前のギャグが国の経済にダメージを!?)
あまりの事態にロゼンは汗が吹き出てきた。
「そうなんですか。悪い人はいるものですね」
まるで他人事のように言うミモザに、ロゼンはエキセントリックに転んだ。
「だろう、本当に参っちゃうよね。まったくそんな奴の顔が見てみたいよ」
ロゼンはとても深い帽子を買いに出かけた。
「でも、それはそちらの問題であって私たちにはなんの関係もありません」
帰ってきた謎の男はターボチェンジャーに転んだ。
「う……た、確かにそうだが俺たちにも生活があるわけで」
「生活は誰にでもあります。理由にはなりません。私たちだってここでたくさんお金を使えばあとで苦しむのですよ」
やめてー! とロゼンは心で叫んだ。
「だ、だが……」
「私は交友関係が多いです。この店の評判はすぐに色々な村に伝わりますよ?」
「そ、それは困る、ここは親父の形見の店なんだ! 俺の代で終わらしたくない……」
「そうですか。では、この薬草はいくらですか?」
「い、1¢です……」
「お安いですね。お店にあるぶん全部ください」
「アクマァァァァ!」
亭主の心の底からの悲鳴が店にとどろいた。
その数分後、
「あ、ロゼン様、買い物は終わりました」
ミモザは、もう誰だかわからない変装をしているロゼンを一発で見破って話しかける。
「……べ、べつに見てたわけじゃないけど買い物は大変じゃなかった?」
「大変? いえ、べつに。いつも通りでしたよ」
「……う、うう……そう」
「──か!?」
ロゼンはガバッと体を起こし目をぱちくりさせる。
自分が宿屋のベッドの上にいることを自覚し、あふれ出る汗を腕で拭う。
「ゆ、夢か……そうだよな、いくら金にがめついミモザでもあんなひどいことしないよな」
ふー、と一息つき、ロゼンはまたベッドに横になる。
「うーんうーん、ゆ、夢……夢だよな……夢であってくれぇ……」
これは寝言。
彼の悪夢は終わらないようだった。
王様からたんまりと頂いた報酬金を握りしめ、ロゼン&ミモザは道具屋に買い物に出かけている。
だが、
「や、薬草が30¢……? なぜ、こんなにも値段が上がっているのですか?」
値段が高い。薬草は10¢が相場なのに30¢は高すぎる。
ミモザが尋ねると、亭主は表情を暗くした。
「いやねえ……とある冒険者が王様から破格の依頼料を取ったらしくて税金が急に上がったんだよ」
近くで昼食をとっていたロゼンは食べかけていたパンを落とした。
(え、うそ、2ページ前のギャグが国の経済にダメージを!?)
あまりの事態にロゼンは汗が吹き出てきた。
「そうなんですか。悪い人はいるものですね」
まるで他人事のように言うミモザに、ロゼンはエキセントリックに転んだ。
「だろう、本当に参っちゃうよね。まったくそんな奴の顔が見てみたいよ」
ロゼンはとても深い帽子を買いに出かけた。
「でも、それはそちらの問題であって私たちにはなんの関係もありません」
帰ってきた謎の男はターボチェンジャーに転んだ。
「う……た、確かにそうだが俺たちにも生活があるわけで」
「生活は誰にでもあります。理由にはなりません。私たちだってここでたくさんお金を使えばあとで苦しむのですよ」
やめてー! とロゼンは心で叫んだ。
「だ、だが……」
「私は交友関係が多いです。この店の評判はすぐに色々な村に伝わりますよ?」
「そ、それは困る、ここは親父の形見の店なんだ! 俺の代で終わらしたくない……」
「そうですか。では、この薬草はいくらですか?」
「い、1¢です……」
「お安いですね。お店にあるぶん全部ください」
「アクマァァァァ!」
亭主の心の底からの悲鳴が店にとどろいた。
その数分後、
「あ、ロゼン様、買い物は終わりました」
ミモザは、もう誰だかわからない変装をしているロゼンを一発で見破って話しかける。
「……べ、べつに見てたわけじゃないけど買い物は大変じゃなかった?」
「大変? いえ、べつに。いつも通りでしたよ」
「……う、うう……そう」
「──か!?」
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自分が宿屋のベッドの上にいることを自覚し、あふれ出る汗を腕で拭う。
「ゆ、夢か……そうだよな、いくら金にがめついミモザでもあんなひどいことしないよな」
ふー、と一息つき、ロゼンはまたベッドに横になる。
「うーんうーん、ゆ、夢……夢だよな……夢であってくれぇ……」
これは寝言。
彼の悪夢は終わらないようだった。
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