62 / 163
第3章エピローグ 別れと再会の物語
第60話 極北の雪、異邦の風
しおりを挟む
「え……どうして、って。空そのものが……動いている、から?」
「星の巡りには周期がある。なぜだ? なぜ星は戻ってくる? どこまでも続くこの地平の頭上を過ぎていく空が、どうやって戻ってきている?」
「それは……そんなの、僕に訊かれても」
イドラはなぜか、ウラシマのことを強く思い出した。
忘れもしない。ウラシマと星を眺めたことがあった。
高い高い夜の藍色。そこに美しくきらめく星々が散りばめられた、星の海。
そう、そこでまたいつものように、旅の話をしてもらったのだ。
——銀の雪原。雲に迫る霊峰。暑さと寒さを繰り返す砂漠。石造りの箱が墓標のように並ぶ街。
最初のひとつくらいは、見ることができた。
「対象を変えよう。ここランスポ大陸の北部は、今こうして見ればわかる通りの寒冷地だ。より北に向かえば、ほとんど極寒と言ってもいい。魔物さえろくに住みつきはしない。不死者どもだけはお構いなしだが」
「だからどうした。僕だって国境を越えたのは初めてじゃない、それは知ってる」
「そう、ここは寒い。だがちょうど我々が向かうさらに北……そう離れてもいない、フィジー大陸の気候を知っているか?」
「え? い、いや。僕はこの大陸を出たことがない。よそのことは、さっぱりだ」
「大半の人間はそうだろうな。フィジー大陸はどこも年中乾燥していて、雪どころか雨さえろくに降らん。気温は日較差が大きいが、ここに比べればずっと暖かい」
雪の降り注ぐ極寒の地のすぐ北に、より温暖で乾燥した地域がある。
そういう話をレツェリはしていた。だがイドラにはそれがどういうことなのか、さっきの星の話との関連性も見出すことはできなかった。
「遠く離れたわけでもないのに、なぜ場所が違うだけでこうも気候に差が生じる? こういったことが、私はどうにも気になって仕方がない」
「学者にでも訊いてみないとわからないんじゃないのか」
「そうだな。だがどうあれ私の目的は不死の探求だ。それにこれらはひどく個人的な、論ずることのできない感覚の問題でしかない。——ただ、違和感が取り除けない」
狂人の戯言だと一蹴するには、イドラもまた彼の疑問に対して的確な答えを持たない。
「霧のように曖昧で、漠然とした話だが。私は……この世で働く法則のようなものに、どうにも納得がいかない。そしてそのことを思うたび、自分が密閉された箱の中にいるような、息苦しい気持ちになる」
「密閉された、箱——」
瞳の中に箱を持つ、仮想の立方によって空間を断裂させるその男は、そんな錯覚を口にした。
レツェリの言葉には実感があった。イドラもまた、同じ息苦しさを共有したような気分を覚える。
同時に、これまで自分が思ってもみなかった、未知の体験や疑問を抱かされるのは——
まるで恩人の女性に、旅の話を聞かされたころのようでもあった。
「イドラさんっ! ……ぁ、えと」
ソニアがぱたぱたと駆けてくる。その橙の目がイドラだけでなく、気付いていなかったのか、そばにいる目と手を拘束された男を捉えると、途端に足を止めて視線をさまよわせる。
ソニアは監獄で再会してから一度も、レツェリの名を呼んだことがなかった。直接的な会話もおそらくは。
自分の人生をねじ曲げた張本人だ。イドラのため、レツェリの出した手紙に乗ることを勧めた彼女ではあったが、それでレツェリへの複雑な思いがなくなるわけではない。
「……フン」
その困惑とも恐れともつかないソニアの姿に、レツェリは顔を背けた。それを見て、ソニアもまたなにか言わねばと言葉を探して口をもごもごさせていたのを止める。
やはり会話はなかった。
「やー。村の人はみんな、怪我なかったって。よかったよかった。あんまり長居してもいられないし、そろそろ進もっかー」
ソニアに遅れてベルチャーナがやってくる。明るい口調の彼女は、心なしかイドラの方を見ないようにしていた。
音もなく、ちらちらと雪が降り始める。
四者の頭上から、ゆっくりと、舞うようにして白い色が落ちてくる。
誰もがそれに気が付きながら、しかし言及しなかった。
*
なにかお礼をさせてほしいと言う村の人たちに、イドラたちは食糧だけ分けてもらい、すぐ歩みを再開する。
寒さはより強く、吹雪の日などはろくに進めないことも続いた。
それでも時間を掛け、数日後にはイドラたちは無事に大陸最北の港町であるイムスタンへと到着することができた。
「静かな町ですね。建物も多いから、人がいないってこともなさそうですけど……」
「寒いから家に引きこもってるのかな」
「そだねー、この辺まで来るともう相当に気温も低いから。連邦生まれのベルちゃんでも流石に……うう、ぶるぶる。室内に入りたい」
ベルチャーナは身を震わせながら、口でもぶるぶる言っていた。
「船着き場に行くぞ、運航状況の案内板があるはずだ。早く出られるかは流氷次第だな……あまりイムスタンで足止めはくらいたくないが、そこは運次第か」
「……なんであいつ平気なんだ? 一番薄着なのに」
「やせ我慢でしょ」
長生きしているだけあり、レツェリは町の勝手を知っていた。港へ向かい、ちょうど出航間近の民間船があったため乗せてもらう。
手に枷をはめられ片目に金属の眼帯をさせられたレツェリの風貌は、どう見たって不審そのものではあったが、協会の人間がいれば信用してもらうのは容易かった。
船は貨物の運搬も兼ねたもので、大型の帆船だった。乗り心地は決して快適とは言えなかったが、フィジー大陸まではそう遠くなく、二日半ほどでソサラという町の港へ到着する。
ソサラの町は、ランスポ大陸に近いこともあって、イモータルなどという怪物が跋扈する魔の大地から逃げ出してきた者も多く、それなりの賑わいを見せていた。
だが、町を出れば周囲はどこも荒廃した場所ばかりらしい。
船を降りたイドラがまず驚愕したのは、その空気だった。故郷やつい一昨日までいたランスポ大陸の北部とは明らかに違う、乾いた空気。
この地の風はどこか、ざらついた、無情な暖気を孕んでいるように思えた。
*
「雪の地面はもうたくさんだーって思ってたけど。砂の上ももううんざりしてきちゃった」
「まだハンドク砂漠に入って二日と経っていないぞ、ベルチャーナ君」
「わかってますよぉ~。あと五日はこのまま歩き詰めなんですよねぇ? はー、やだやだ。砂が髪に絡まっちゃうし……!」
ソサラの町に着いた翌日には、北西へ向け、大陸に横たわる広大な砂漠を越えるべく出立していた。
当初から駄々をこねていたのはベルチャーナだ。
曰く、もっとゆっくりしたい。
せっかくよその大陸の町に来たんだから色々見て回りたい。
おいしいもの食べたい。
寝たい。
「監視役が在監者より腑抜けでどうする。それでも協会の誇るエクソシストかね」
「わっ、なんですか? もしかしてまだ司教ヅラしてます? クビになって監獄行きになった犯罪者なのに。おかしいですねぇー?」
「……。中々言ってくれるな……」
凍える吹雪の雪原から、荒涼たる砂の地平へ。寒さに震えていたのが、今度は暑さにうめく道程へと移り変わっていた。
ソサラの町を出てすぐは、赤茶けた、乾いた土が広がっていた。その赤い色を踏んだ時、イドラは初めて自分が遠い地に来たのだと実感できた。実際は、まだロトコル大陸の一番近くにある大陸の端っこに来ただけで、世界にはまだ見ぬ大陸が五つもあるのだと頭ではわかっていてもだ。
世界は広い。旅を始めて三年以上が経ち、そんな当たり前のことをようやく感じることができた気がした。
「星の巡りには周期がある。なぜだ? なぜ星は戻ってくる? どこまでも続くこの地平の頭上を過ぎていく空が、どうやって戻ってきている?」
「それは……そんなの、僕に訊かれても」
イドラはなぜか、ウラシマのことを強く思い出した。
忘れもしない。ウラシマと星を眺めたことがあった。
高い高い夜の藍色。そこに美しくきらめく星々が散りばめられた、星の海。
そう、そこでまたいつものように、旅の話をしてもらったのだ。
——銀の雪原。雲に迫る霊峰。暑さと寒さを繰り返す砂漠。石造りの箱が墓標のように並ぶ街。
最初のひとつくらいは、見ることができた。
「対象を変えよう。ここランスポ大陸の北部は、今こうして見ればわかる通りの寒冷地だ。より北に向かえば、ほとんど極寒と言ってもいい。魔物さえろくに住みつきはしない。不死者どもだけはお構いなしだが」
「だからどうした。僕だって国境を越えたのは初めてじゃない、それは知ってる」
「そう、ここは寒い。だがちょうど我々が向かうさらに北……そう離れてもいない、フィジー大陸の気候を知っているか?」
「え? い、いや。僕はこの大陸を出たことがない。よそのことは、さっぱりだ」
「大半の人間はそうだろうな。フィジー大陸はどこも年中乾燥していて、雪どころか雨さえろくに降らん。気温は日較差が大きいが、ここに比べればずっと暖かい」
雪の降り注ぐ極寒の地のすぐ北に、より温暖で乾燥した地域がある。
そういう話をレツェリはしていた。だがイドラにはそれがどういうことなのか、さっきの星の話との関連性も見出すことはできなかった。
「遠く離れたわけでもないのに、なぜ場所が違うだけでこうも気候に差が生じる? こういったことが、私はどうにも気になって仕方がない」
「学者にでも訊いてみないとわからないんじゃないのか」
「そうだな。だがどうあれ私の目的は不死の探求だ。それにこれらはひどく個人的な、論ずることのできない感覚の問題でしかない。——ただ、違和感が取り除けない」
狂人の戯言だと一蹴するには、イドラもまた彼の疑問に対して的確な答えを持たない。
「霧のように曖昧で、漠然とした話だが。私は……この世で働く法則のようなものに、どうにも納得がいかない。そしてそのことを思うたび、自分が密閉された箱の中にいるような、息苦しい気持ちになる」
「密閉された、箱——」
瞳の中に箱を持つ、仮想の立方によって空間を断裂させるその男は、そんな錯覚を口にした。
レツェリの言葉には実感があった。イドラもまた、同じ息苦しさを共有したような気分を覚える。
同時に、これまで自分が思ってもみなかった、未知の体験や疑問を抱かされるのは——
まるで恩人の女性に、旅の話を聞かされたころのようでもあった。
「イドラさんっ! ……ぁ、えと」
ソニアがぱたぱたと駆けてくる。その橙の目がイドラだけでなく、気付いていなかったのか、そばにいる目と手を拘束された男を捉えると、途端に足を止めて視線をさまよわせる。
ソニアは監獄で再会してから一度も、レツェリの名を呼んだことがなかった。直接的な会話もおそらくは。
自分の人生をねじ曲げた張本人だ。イドラのため、レツェリの出した手紙に乗ることを勧めた彼女ではあったが、それでレツェリへの複雑な思いがなくなるわけではない。
「……フン」
その困惑とも恐れともつかないソニアの姿に、レツェリは顔を背けた。それを見て、ソニアもまたなにか言わねばと言葉を探して口をもごもごさせていたのを止める。
やはり会話はなかった。
「やー。村の人はみんな、怪我なかったって。よかったよかった。あんまり長居してもいられないし、そろそろ進もっかー」
ソニアに遅れてベルチャーナがやってくる。明るい口調の彼女は、心なしかイドラの方を見ないようにしていた。
音もなく、ちらちらと雪が降り始める。
四者の頭上から、ゆっくりと、舞うようにして白い色が落ちてくる。
誰もがそれに気が付きながら、しかし言及しなかった。
*
なにかお礼をさせてほしいと言う村の人たちに、イドラたちは食糧だけ分けてもらい、すぐ歩みを再開する。
寒さはより強く、吹雪の日などはろくに進めないことも続いた。
それでも時間を掛け、数日後にはイドラたちは無事に大陸最北の港町であるイムスタンへと到着することができた。
「静かな町ですね。建物も多いから、人がいないってこともなさそうですけど……」
「寒いから家に引きこもってるのかな」
「そだねー、この辺まで来るともう相当に気温も低いから。連邦生まれのベルちゃんでも流石に……うう、ぶるぶる。室内に入りたい」
ベルチャーナは身を震わせながら、口でもぶるぶる言っていた。
「船着き場に行くぞ、運航状況の案内板があるはずだ。早く出られるかは流氷次第だな……あまりイムスタンで足止めはくらいたくないが、そこは運次第か」
「……なんであいつ平気なんだ? 一番薄着なのに」
「やせ我慢でしょ」
長生きしているだけあり、レツェリは町の勝手を知っていた。港へ向かい、ちょうど出航間近の民間船があったため乗せてもらう。
手に枷をはめられ片目に金属の眼帯をさせられたレツェリの風貌は、どう見たって不審そのものではあったが、協会の人間がいれば信用してもらうのは容易かった。
船は貨物の運搬も兼ねたもので、大型の帆船だった。乗り心地は決して快適とは言えなかったが、フィジー大陸まではそう遠くなく、二日半ほどでソサラという町の港へ到着する。
ソサラの町は、ランスポ大陸に近いこともあって、イモータルなどという怪物が跋扈する魔の大地から逃げ出してきた者も多く、それなりの賑わいを見せていた。
だが、町を出れば周囲はどこも荒廃した場所ばかりらしい。
船を降りたイドラがまず驚愕したのは、その空気だった。故郷やつい一昨日までいたランスポ大陸の北部とは明らかに違う、乾いた空気。
この地の風はどこか、ざらついた、無情な暖気を孕んでいるように思えた。
*
「雪の地面はもうたくさんだーって思ってたけど。砂の上ももううんざりしてきちゃった」
「まだハンドク砂漠に入って二日と経っていないぞ、ベルチャーナ君」
「わかってますよぉ~。あと五日はこのまま歩き詰めなんですよねぇ? はー、やだやだ。砂が髪に絡まっちゃうし……!」
ソサラの町に着いた翌日には、北西へ向け、大陸に横たわる広大な砂漠を越えるべく出立していた。
当初から駄々をこねていたのはベルチャーナだ。
曰く、もっとゆっくりしたい。
せっかくよその大陸の町に来たんだから色々見て回りたい。
おいしいもの食べたい。
寝たい。
「監視役が在監者より腑抜けでどうする。それでも協会の誇るエクソシストかね」
「わっ、なんですか? もしかしてまだ司教ヅラしてます? クビになって監獄行きになった犯罪者なのに。おかしいですねぇー?」
「……。中々言ってくれるな……」
凍える吹雪の雪原から、荒涼たる砂の地平へ。寒さに震えていたのが、今度は暑さにうめく道程へと移り変わっていた。
ソサラの町を出てすぐは、赤茶けた、乾いた土が広がっていた。その赤い色を踏んだ時、イドラは初めて自分が遠い地に来たのだと実感できた。実際は、まだロトコル大陸の一番近くにある大陸の端っこに来ただけで、世界にはまだ見ぬ大陸が五つもあるのだと頭ではわかっていてもだ。
世界は広い。旅を始めて三年以上が経ち、そんな当たり前のことをようやく感じることができた気がした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う
馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない
そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!?
そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!?
農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!?
10個も願いがかなえられるらしい!
だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ
異世界なら何でもありでしょ?
ならのんびり生きたいな
小説家になろう!にも掲載しています
何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
おおぅ、神よ……ここからってマジですか?
夢限
ファンタジー
俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。
人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。
そんな俺は、突如病に倒れ死亡。
次に気が付いたときそこには神様がいた。
どうやら、異世界転生ができるらしい。
よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。
……なんて、思っていた時が、ありました。
なんで、奴隷スタートなんだよ。
最底辺過ぎる。
そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。
それは、新たな俺には名前がない。
そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。
それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。
まぁ、いろいろやってみようと思う。
これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
神竜に丸呑みされたオッサン、生きるために竜肉食べてたらリザードマンになってた
空松蓮司
ファンタジー
A級パーティに荷物持ちとして参加していたオッサン、ダンザはある日パーティのリーダーであるザイロスに囮にされ、神竜に丸呑みされる。
神竜の中は食料も水も何もない。あるのは薄ピンク色の壁……神竜の肉壁だけだ。だからダンザは肉壁から剝ぎ取った神竜の肉で腹を満たし、剥ぎ取る際に噴き出してきた神竜の血で喉を潤した。そうやって神竜の中で過ごすこと189日……彼の体はリザードマンになっていた。
しかもどうやらただのリザードマンではないらしく、その鱗は神竜の鱗、その血液は神竜の血液、その眼は神竜の眼と同等のモノになっていた。ダンザは異形の体に戸惑いつつも、幼き頃から欲していた『強さ』を手に入れたことを喜び、それを正しく使おうと誓った。
さぁ始めよう。ずっと憧れていた英雄譚を。
……主人公はリザードマンだけどね。
召喚勇者の餌として転生させられました
猫野美羽
ファンタジー
学生時代最後のゴールデンウィークを楽しむため、伊達冬馬(21)は高校生の従弟たち三人とキャンプ場へ向かっていた。
途中の山道で唐突に眩い光に包まれ、運転していた車が制御を失い、そのまま崖の下に転落して、冬馬は死んでしまう。
だが、魂のみの存在となった冬馬は異世界に転生させられることに。
「俺が死んだのはアイツらを勇者召喚した結果の巻き添えだった?」
しかも、冬馬の死を知った従弟や従妹たちが立腹し、勇者として働くことを拒否しているらしい。
「勇者を働かせるための餌として、俺を異世界に転生させるだと? ふざけんな!」
異世界の事情を聞き出して、あまりの不穏さと不便な生活状況を知り、ごねる冬馬に異世界の創造神は様々なスキルや特典を与えてくれた。
日本と同程度は難しいが、努力すれば快適に暮らせるだけのスキルを貰う。
「召喚魔法? いや、これネット通販だろ」
発動条件の等価交換は、大森林の素材をポイントに換えて異世界から物を召喚するーーいや、だからコレはネット通販!
日本製の便利な品物を通販で購入するため、冬馬はせっせと採取や狩猟に励む。
便利な魔法やスキルを駆使して、大森林と呼ばれる魔境暮らしを送ることになった冬馬がゆるいサバイバルありのスローライフを楽しむ、異世界転生ファンタジー。
※カクヨムにも掲載中です
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる