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第四章 そして学園

挿入話 サーフィス=オルランド 2

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他の精霊様たちから『自由奔放で今はどうしているのだか』と聞かされていたウンディーネ様がまさかの学園にいて。なんやかんやと一堂にかいせて感慨深い。

グリッタ姉弟のブレスレットやアンクレットは気になるが、久しぶりの皆とのお茶会ーーここからは愛し子ではないヒンターとマークスも参加だ--何よりリリアンナとゆっくり過ごせるのが嬉しくて、浮かれている自覚もあった。

「殿下は、グローリア様をどう考えていらっしゃるのですか?」

エレナ嬢の、この言葉を聞くまで。

正直、なぜ、今?と思ってしまった。けれどきっと、ずっと彼女が考えていたことであるのは間違いないのであろうし、何より、逃げづらい話題でもあった。

---そうきっと、リリアンナが俺の気持ちに応えてくれなかったら、彼女が王太子妃になる可能性が一番高いのだから。

グローリアはヒンターの……そう、俺の従兄弟の従姉妹で。いわゆる幼なじみとも言えて。

……慕っていてくれていることも、認識している。自惚れでなければ、だけれど。嫌い、でもない。彼女は良くも悪くも貴族らしい。学園の成績だって優秀だ。ある意味では、リリアンナよりもずっと王太子妃に……王妃に向いているのかも、とも思う。

マリーアが盾になってくれていて、何となく聖女と勇者でみたいな雰囲気もある中で、確定ではないために婚約者を決めない女性もいると聞こえてくる。……これは、俺のエゴなんじゃないかと思うことも……

『あらあらあ?エレナも王子を狙ってるのぉ?』
「えっ?あ、いえ!ちがっ、違いますよ?!」
『じゃあ何で王子の気持ちを知りたがるのよ~。もうリリーで一択なのに』
「ぶっ、ゴホッ」

飄々としたウンディーネ様に、それぞれ苦笑したり驚いたりで大変だ。リリアンナに至っては、お茶を詰まらせている。そんな姿もかわいいと思う自分も相当だな。周りで妖精たちが心配そうにくるくると飛んでいるのも微笑ましくて。

ではなくて。

「ウンディーネ様。さすがに明け透け過ぎます」

この面子にはバレバレとはいえ、自分にも羞恥心はある。

『うふふぅ、いいじゃないの~!大切なことよぉ』
『さすが恋多き精霊だな』
『ちょっと!うるさいわよ、シルフ!二人も頷かない!!』

ウンディーネ様が現れてから、他のお三方も更に楽しげだ。

『そもそも、何でそのグローリアちゃんなの?』
「ずっと昔から彼女が努力する姿を間近で見ていたものですから、つい……。でも不躾でしたよね。申し訳ございませんでした、殿下」
「いや……エレナ嬢の言いたいことも、何となくではあるが分かるつもりだ」
『何が分かるのよぅ』

「えっ」と、皆がなった。きっと、たぶん誰もが何となく思っていることだと……思うけど。

『そんなの、分からなくてもよくない?その子が好きで頑張ってるんでしょ?』
「それは……そうですが」
『自分が求めているのだから、頑張るのは当たり前よぉ?だから王子だって頑張ってるんじゃな~い』
「あ……」

エレナがハッとした顔で口に手を当て、ウンディーネ様を見る。

『何かの物語みたいに例えばグローリアちゃんを婚約者に縛り付けて、厳しいお妃教育をした後なんかにポイっとされたら怒るのはわかるけど、先に好きになった方が偉いわけでもないのよ?』
『それはそうだ』
『そうさのう』
『だねぇ』

ウンディーネ様の言葉に、ルシール、サラ、イルスも頷く。……確かに、それはそう、だ。けど。

「わたしもそれで……いいのでしょうか」
『いいのよぉ。そのかわりいろいろ相手次第だけどね?』

ニヤッと少し意地悪そうに笑うウンディーネ様。

「望むところです!」

俺も同じようにニヤッと返す。リリアンナには自分の気持ちに正直に……そして心から、俺を選んでもらいたい。

「ね、リリー!」
「うひゃう?!きゅ、急にそんな話を振られても……!」
「簡単にリリーは渡さないわよ!」
『おもしろ~い、ここでマリーが出てくるのねぇ』
「当然です!」

……うん、この高い壁をまず越えないとな。
でも、とてもすっきりとした心地だ。

『我も忘れぬように』
「承知していますよ、ルシー。だから、すぐにリリーを抱き寄せない!」

精霊様もライバルだし。気を抜いてはいられない。もちろん、魔王対策だって忘れてはいないよ?復活しないのが望ましいけれど、もしもがあったら。できれば……できるならリリーが前線に出なくても済むように。自分が最前線で抑えられるように、強くなりたい。

「……そうですよ、ルシー。リリーから手を離してください」
「テンダー!そうだよな」

「ええ。……俺もリリーの婚約者候補に名乗り出たいので」

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