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出張

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「それでは行って来ます。あまりはしゃぎ過ぎないようにしてくださいね?」

「はぁーい」


今日から春人は出張で家にいない。
商談や視察が立て込んでおり、4日間と期間が長くなってしまった。

始発の新幹線で出掛けるので朝が早く、見送りはしなくていいと言っていたが春人の準備をする音で時也は起きてしまったらしい。
時也は元気な素振りをしているが実際は目を擦って眠そうだ。


「お金は使い過ぎないようにしてくださいね?」

「分かってるよぉ~」

本当にわかっているのだろうか。
口だけで結局は何も理解していないのではないのかとも思う。


「良いですか?戸締まりお願いしますよ?お金も使い過ぎないようにしてくださいね?」

「分かったからぁ。もう、そんなことしてたら新幹線遅れちゃうよ?」

「そうですね、それではお見送りありがとうございます。お土産楽しみにしていてください。行ってきます。」

「行ってらっしゃぁーい!お土産待ってるぅー!」


玄関の扉が閉まるまで時也は精一杯手を振っていた。


——


春人を見送ってから2時間程二度寝をした。

頭もすっきりした。ので電話を掛けた。


「あ、もしもしタロさーん?」

電話の相手は今のお気に入りのタロさんだ。


『はい。どうしました?』

「あのさぁ、同居人がしばらく家にいないからさ、一緒に過ごしたいなぁ…なんて。」

『いいですよ。』

突然のおねがいをあっさりと了承したタロさんに少しだけ驚いた。


タロさんだって春人さんみたいに普通に働いてるし、どんな仕事してるのかは全く教えてくれないけど。だけどこうやって簡単にいいよだなんて変な人だ。

「ほんと⁈」

『今夜からでいいですか?』

「うんっ!いいよ!」

『貴方の頑張りで僕の財布の紐が緩むので頑張ってくださいね。』

「はぁーい!じゃあ今日も駅前で!」


朝から元気になった。夜のために時也は体力を温存する。
時也がタロさんについて知っている情報はあまり無い。
名前も年齢も住んでいる場所も職種も知らない。

前に一度聞こうとしたら「お小遣い弾むから聞くな」と言われた。
それからも何度か聞こうとしたが有耶無耶にされている。


春人とタロさんならタロさんの方が知り合い歴は長い。
ただ知り合い歴が長いというだけだ。
前に時也が好奇心で「3Pがしたい」と言ったら当時の相手がそういう事が出来る友人のタロさんを連れて来た。
タロさんは嫌いではないが春人さんがいる以上はクリーンでいたい。
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