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しおりを挟むジャスミンはいかに自分が幸せなのかを痛感した。幸せいっぱいにしているジャスミンに周りも、笑顔になっていた。
そんな中で、様子を定期的に見に来ていた外交官が、父の手紙とジャスミンがどうしているかだけでなくて、またも聞いてほしそうな雰囲気を醸し出していた。
ジャスミンは、労いも兼ねて、何か変わったことはあるかと聞いた。すると……。
「行方不明……?」
「そうなんです」
「私のことは……」
「大層、羨ましがっておられたそうです」
「……」
義姉の一人が行方不明と聞いて、目をパチクリとしてしまった。
(なんか、前にこっち来そうとか思ったような……?)
「お父様は、どうしてますか?」
「国内を探すようにご命じになられておられます」
「そうですか。無事を祈ることにします。それでは、私はこれを読んで手紙を書くことにします。その間はゆっくりなさってください」
外交官が、ゆっくりできるようにジャスミンはゆっくり目に手紙を書くことにした。その頃には、義姉がここに来ることになったら、なったと思っていた。
(この国の言葉なんて、全く勉強してなかったはずだから、ここまで無事に来れるとは思えないけれど。こっちに来てるとは、思っていないようだし、私が探すべく動くことはなさそうね)
父親が、国内にいると思って探しているのにジャスミンがこっちに来てる方が確率的に高かろうとも、わざわざそんなことをすると面倒になるだけだ。
(ここまで、来ようとして海を渡れずにいた方が、まだよかったと気づいてくれればいいのだけど……。難しいでしょうね)
ミアやオークリーのように他人が悪いせいだと思っていそうで、それが簡単に想像できてしまい、ジャスミンは苦笑してしまった。
たとえ、会ったとしても、ジャスミンは自分が何を言われても怒りはしないだろう。怒るとしたら、ジャスミンが大切な人を傷つけられた時だろう。
(ここで、そんなことをしたら、怒りをおさえられるかはわからないけれど。きっと、会わない方がお互いのためにはよさそうね)
その後、ジャスミンは順風満帆な人生を歩むことになった。
ジャスミンに出会ってよかったと思ってもらえるように出来うる限りの努力を惜しむことはなかったことで、王太子とは誰の目から見ても、どこで見かけても仲睦まじく見えることになり、それを見た人たちに羨まれることになった。
二人のように運命の人に出会いたいものだとジャスミンたちは若い令嬢や令息のみならず、各年代から言われるまでになるのも、すぐのことだった。
天寿をまっとうしてもなお、二人は次の世でも一緒にいたいとそれぞれが思うほどだった。
目一杯な人生を生ききったジャスミンは、許されるなら、彼と再び会いたいと心から願ってやまなかった。
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