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しおりを挟むこの世界では、あやかしと呼ばれる人ならざる者たちが人間たちと共存共栄して暮らしていた。
厳密にいつから、こうなのかはわかっていない。数千年以上前からで、その頃のことを詳しく知っているのは、あやかしのみだ。
人間もあやかしたちと家庭を持つようになり、百年以上は有に生きるようになっているが、生粋のあやかしからしたら、やはり短命と言える。
あやかしと人間の間で争いがないわけではないが、まぁまぁ仲良く生活出来ている。たまに力加減を間違えて、山が欠けたり、湖が凍りついたりするが、罰金なり払うことで解決している。
あやかしの特徴と言っても、見た目から、すぐにわかる者もいるが、人間と比べても全くわからない者もいた。肌の色が違ったり、牙があったり、目が3つ4つあったりとかだ。
色々と混じりすぎて、何と呼ぶのが正しいのかわからない者もいるが、両親を早くに亡くし、天涯孤独の身の上となった宮瀬カレンという娘は、自分の先祖が何者なのかを全く知らない1人だった。異能と呼ばれるあやかしの能力も出現することがなく、あやかしがあまり住んでいない比較的、穏やかな人間ばかりの居住区の孤児院で暮らしていて、もうすぐ卒業する小学校も、人間の特徴しかない子供たちしか通っていない。先生たちも、そうだ。
獣の耳も尻尾もない。肌も、牙も爪も、人間そのものだ。血の色も赤いし、髪の色は黒で、癖一つないストレートだ。瞳の色は、紫がかっていて、特徴があるとすれば、そこがあやかしっぽいくらいで、カレンは人間が強いのだと本人も周りも思っていた。
それが、一通の報せで全てが一変することになるとは夢にも思わなかった。
「あやかし学園への入学許可証……?」
一番驚いたのは、本人だ。
学校も色々とあった。男性のみ、女性のみしか通えない学校や人間だけが通えるところとあやかしのみが通えるもの。
今、カレンが通っている学校は、人間の面しかほぼ見られない者たちの学校だ。
あやかし学園とは、あやかしのエリートのみが通える学園だ。人間の面が強く出ているカレンが、あやかしのエリートのみが通える学園に行けるとなれば、今通っている学校始まって以来のことではなかろうか。
(鬼族をこんなに間近に見たことなんて、先生たちもないくらいだよね?)
校長先生たちが、畏縮しているのは無理はないだろう。だが、カレンは意外に平気なことに本人が不思議だった。
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