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しおりを挟むクラスでは睨まれることはなかったが、芽衣子が廊下を歩いていたりすると女子に何やら言われたりしているようだが、芽衣子がそのことに気づくことはなかった。
「やだ。こっち見てる」
「無視してればいいよ」
「それにしても、あんなののどこがいいんだか」
「イケメンだけど、女の趣味は最悪だよね」
「えー、やっぱり怒るってことは、そういうことなの?」
「それしかないじゃん」
女子たちは、そんなことを言っていたが、芽衣子は全然違うことを思っていたことを彼女たちが知ることはなかった。
芽衣子が、思っていたことといえば……。
(なんか、目つき悪い女子が増えたな。目が悪いことばっかしてるのかな? 私も気をつけないと)
自分の悪口を言われていることより、目力の方が気になっていて、頓珍漢なことを思っていた。睨まれているだけなのだが、目が悪くて睨んでいるように見えていると勘違いしていたのだ。
流石に面と向かって色々言われたら、芽衣子にも通じたかも知れない。……それも、危ういところはあるが、一方的に芽衣子が気に入らないことを受け止めきる必要はないから、特に何の問題はなかった。
それこそ、受け止めきって、心を痛める必要はないのだ。悪口を言ってる方も、本人にどうにかしてほしいなら直接言えばいいが、それをせずに不満をぶつけているに過ぎなかった。そんな彼女たちの周りには同じような不満を持つ者しか集まらず、食い散らかすことが増えて先生たちによく叱られるようになった苛立ちもあったようだ。
「こら! 片付けろ!」
「げっ、最悪」
「あとで、片付けますよ」
「んなこと言って、そのままにしてるのわかってるんだからな。今すぐやれ!」
怒られれば怒られるほど、意地になって好き勝手にし過ぎていて、美人でも残念な女子の集まりに見られるようになるのも、間もなくのことだったが、彼女たちがそれに気づくことはなかった。
「また、怒られてるみたいだな」
「飲み食いしっぱなしにしてくのも、どうなんだろうな」
「どこでも、あの調子だとしたら、最悪だよな」
それこそ、イケメンの側で好き勝手をしすぎて、隠さずにくっちゃべりすぎたせいで、お淑やかさとか。男子には隠しておきたいところまで、さらけ出してしまっていることに彼女たちは気づいていなかったのだ。そのせいで、この学校とは違うところに通う彼氏ができても、飲み食いするだけで幻滅されるまでになったが、本人は自分の何が悪いのかわからずに長く付き合うことはなかった。
それらは、彼女たちの自業自得でしかないが、それらすら芽衣子や他の女子のせいばかりにして、自分たちの悪いところを見ようともせずに成長していき、大学でも同じような友達を作った。それこそ、真逆の友達でも作って、指摘されたことを全部直せば、彼氏もできて、素敵な家族もできたかも知れないが、そうなることはなかったのだ。
結婚できなかったわけではないが、彼女たちに相応しい家庭しか築けずに相手が浮気したり、自分がしたりして、離婚になるのも時間の問題でしかなかった。
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