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(アリッサ視点)


生まれた時から、私は特別だった。


「あなたは、私に似ているんだもの。何でも、すぐにできるようになるわ」


母が、ずっとそう言っていた。

兄の真似をして、あの女が怒られるのを見るのは気分が良かった。

私にも、母にも似てない女。

そんな女より、私の方が特別なのは当たり前だった。

だから、私の幸せのために養子になったと聞いて物凄く嬉しかった。これで、私が王太子の婚約者になれると思っていた。

なのに違っていた。


「え? 婚約者候補……?」


候補に選ばれなかったと母に言われて、きょとんとした。


「絶対、何かしたのよ。ケイトリンが、選ばれるわけがないのよ」
「っ!?」


母の言葉に私は、物凄く腹が立った。あの女が、候補になったと聞いて、母と同じく何かしたんだと思った。

それを直接会って聞こうとして、あの女を探したが中々会えなくてイライラしていたら、お茶会があると教えてくれた。

そこに行くとあの女がいて、見つけた途端、怒りがこみ上げてきた。

なのに主催者が、王女だったせいで、追い出されることになった。更には、母に叱られる、父には平手打ちまでされることになった。


「それもこれも、あの女のせいなのに」


それなのに修道院か、勘当されることになって、どっちも嫌だと言っていたら、母が離婚して私も一緒になって追い出された。

母の実家に行くことになり、それもこれもあの女のせいだと思って、怒りが収まらなくて怒鳴りつけに行った。

そしたら、今度は王太子の婚約者になっていた。信じられなかった。そんなこと聞いてなかった。なのに母の実家からも追い出されることになった。

母は、自分の育て方が偏っていたということはなかった。


「私にちっとも似てないわ。こんなにできが悪すぎるとは思わなかった」


母は私ができなさすぎるせいだと思っていた。そんなことはないはずだ。家庭教師たちは、教えることがないとすぐに辞めていった。

だから、私に反省することは何一つとしてない。あるわけないのだ。何も間違っていないのだから。

なのに母までも、私のせいだと言い始めていた。


「これも、みんなあの女のせいだわ」


身代わりになっていればよかったのに。それをしなくなったからだとずっと思い続けた。

もっとも、その後、私たちを追い出した父も兄も、私をあの家から追い出したから幸せにはなれなかったようだ。


「ざまぁみろ」


そんなことを思ったが、思い描いた幸せな生活とは真逆な人生を送ることになった。

こんなはずないのに。おかしすぎる。そう思いながら、あの女のせいだと思うことを私はやめることはなかった。

その頃には、母は付き合いきれないと私の側にいなくなっていた。


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