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「信じられない」
私の婚約者候補の面々とお茶をして、王女である妹はずっと憤慨していた。
私の婚約者候補たちとお茶会をして、そこに乱入した令嬢がいたらしい。つまり、そのお茶会のことを話した者がいるのだろう。
突然、押しかけて来たかと思えば、私の都合などお構いなしに憤慨していることをペラペラと話して来た。
それについて正直なところ、どうでもよかった。ただ、最近はそんな風に私の邪魔をしなくなったと思っていたが、昔のように戻ったことにげんなりした。この妹につきあわされることに疲れてきた。
ずっと怒っている妹にそこまで怒ることかと思っていたが……。
「これか。……物凄く腹が立つな」
ちょっと前に妹が憤慨して、怒り続けていたのを見ていた。何をそこまで怒るのかと思っていたが、今の私はそうだった。
この私にどこかに行けと言ったことに腹が立った以上にケイトリンのことをこの女と言ったことに腹が立って仕方がなかった。
ケイトリンは、そんなことは言い慣れていると言っていたのにも腹が立って仕方がなかった。
婚約する前にケイトリンのことは色々と調べたものを読んでいたから知っているつもりだった。
実の両親たちと兄妹たちが、どんな連中かも書かれていて知っているつもりになっていたが、そんなの甘かったことを知った。
「あんなのを何年も相手にしてきたのか」
王女が、ずっと怒っていたのも、伯爵家からの正式な謝罪がないままなことも原因だった。
私のところにすら、謝罪に来なかった。
「……信じられないな」
容赦などする気はなかった。ケイトリンとは、縁が切れているのだ。
元凶を家から追い出したことで、今後は安泰だと思っている伯爵とその跡継ぎの子息は、自分たちの将来のことで頭がいっぱいになっていた。
そんな2人に容赦などする気もなかった。
ケイトリンは、ベネディクトの婚約者となったカミーラと楽しげにしていた。その笑顔を見て、これから先、私がケイトリンの笑顔を守ろうと固く誓った。
ケイトリンが、伯爵とカーティスのことで悲しそうな顔をすることはなかった。
「ざまぁみろ」
「……」
そんなことを言ったのは、妹だった。いい気分だと大喜びしている姿に何とも言えない感情が沸き起こったが、何も言うことはなかった。
そんな妹が婚約するのに色々やらかして、ざまぁみろな展開となったが、それにケイトリンが一喜一憂することはなかった。
そう、アリッサのことで腹を立て続けていたのも、なんだかんだと似ていたからなのだが、ケイトリンがそのことに気づくことはなかった。
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