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しおりを挟むそんなことがあって、王女主催のお茶会は散々な終わり方をした。
王女はすぐさま伯爵家にアリッサが何をしたかを知らせた。実に不愉快だったと伝えたのだ。
「なんてことをしたのよ!」
「っ、」
アリッサは、母親に怒鳴りつけられて身体を小さくした。それは、いつもケイトリンがされていたことで、これまでアリッサはされたことのないことだった。
でも、ここにはケイトリンはいない。いなくなって大喜びしていたアリッサは、何とも言えない顔をしていた。
もっとも、ここにケイトリンがいてもアリッサがしたことであってケイトリンのせいにするなんて難しいと思うが、それをアリッサはわかっていない。
ここにいないせいで、自分が怒られているとしか思っていなかった。
「王女殿下が主催するお茶会に入り込むなんて、何を考えているのよ!!」
伯爵夫人は、アリッサがしたことを知って激怒していた。
「そんな、だって、あそこに行けば、あの女がいると聞いたから……」
「誰が主催なのかも知らずに乗り込むなんて、何を考えているのよ! しかも、王女殿下の顔がわからないなんて、とんでもない恥よ!!」
「っ、」
アリッサは、そんな風に母に怒鳴られたことが、今までなかった。そのため、怒られることが不満で仕方がなかった。恥をかいたうんねんより、怒られることが理不尽に思えていた。
これまで、自分がやったことに責任を取ったことがないアリッサは、何をしてもケイトリンのせいにしていたから、初めてのことにイライラしていた。
その後、父なら、わかってくれると思って期待していた。そのため、帰って来た父に何か言う前に平手打ちをされたのは、想定外すぎた。
「っ!?」
「お前は、なんてことをしてくれたんだ!!」
突然のことにアリッサは、目を丸くした。そして、平手打ちした父を睨みつけた。
「何するのよ! ひっぱたくなんて、あんまりだわ!」
「何があんまりだ。私が、職場で笑いものになったんだぞ!! 王女殿下の顔すら知らない令嬢をそのままにして、王太子殿下の婚約者にもっとも相応しいと言われる令嬢を養子にしたとな」
「そんな、わけないわ! あんなのが、もっとも相応しいなんてありえない!」
「あんなのだと?」
父が、ギロッと睨むのにアリッサは震えた。
「っ、だって、お母様が、いつもそう言っていたもの」
「なんだと? どういうことだ!」
「それは、」
アリッサが平手打ちをされても、伯爵夫人は自業自得だと思っていた。
でも、その矛先が自分に向かってしどろもどろになったのは、すぐだった。
そこから、この家でケイトリンがどんな風に育っていたかを伯爵はようやく知ることになった。
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