私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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そんな騒ぎがあってから、バレリアはルシアの部屋を追い出された。

その後で、ルシアにアドルフィトが土産を渡してくれた。


「ありがとう。おにいさま」
「どういたしまして」


アドルフィトは、妹が喜んでいるのを見て、にこにことしていた。

そこから、しばらくはバレリアは大人しくしていたが、ルシアの貰った土産を見つけ出して、いつの間にやらこっそりとルシアの部屋から持ち出したのも、それからすぐのことだった。


(あれ? 貰ったお土産がない……?)


「どうかされましたか?」
「おにいさまにもらったおみやげは?」
「……あら、おかしいですね」


ルシアの世話をよくしているメイドのソフィアは、それを聞いてきょろきょろとした。ルシアはベッドから動き回るのも手を借りないと難しいのだ。

ソフィアは首を傾げつつ、ルシアにこう言った。


「確認してまいります」


そう言って、部屋を出て行った。


(なんか、何か嫌な予感がするな)


メイドたちが勝手に動かして、そのままにしているとは思えない。

更に両親や兄も同様だ。だとすれば、この家で、そんなことをするのは一人しかいない。


(思っている人だとしたら、私が寝てる間に勝手に入って来たってことよね。……怖っ)


そんなことを思って、ルシアはこれでもかと愉快そうに眉を顰めていた。







そんなことがあってから、バレリアはそんなの知らないと言っていたようだ。

証拠がないため、決めつけられないと思って余裕そうにしていたが、本人以外はみんな怪しいのはバレリアしかいないと思っていたことを彼女は知っていたのか。知らなくとも、バレなきゃいいと思っているのかはわからないが。

それを持ち出したのがバレたのは、バレリアがアドルフィトの土産なのだと自慢して回ったからだった。

そんなことすれば、バレるに決まっている。バレリアへの土産はなかったのだから。


「それは、ルシアへの土産だぞ!」
「借りただけじゃない!」
「借りただけだと?! なら、ルシアに許可は取ったのか?」
「そんなの姉妹なんだもの。必要ないでしょ」


そんなことを平然と言うバレリアにアドルフィトだけでなくて、両親すらも限界となったようだ。


「妹のものを盗むようになるとはな」
「人聞き悪いこと言わないでよ! 借りたって、言ってるでしょ!」
「お前が、アドルフィトから土産に貰ったと言いふらしたのは知っている。誤魔化せると思うな」
「っ、」


そこから、バレリアは部屋で謹慎しろと言われて、不満そうにしていた。


「ルシア。あんたが、言わなきゃ、こんなことにならなかったのよ」
「……」


(どうして、そこで私が逆恨みされるのよ。自慢して回らなきゃよかったんじゃないの)


ルシアは、姉から鬼の形相で睨まれてしまった。それに気づいた家族に更に怒られていたが、全てはルシアが告げ口したせいだと思ったようだ。


(一回り近く違う妹のせいにする姉って、酷すぎるわよね。本人にその自覚すらないのが、もはや残念を通り越して、何と思えばいいのかしらね)


だが、バレリアの方は謹慎することになって、家族から虐げられているとバルトロメに話して聞かせたようだ。

それにバルトロメは珍しく同情的だった。彼も、家族に色々言われているせいで共感したからかもしれない。花嫁修業をするということにして、彼の家に住むことになったのも、割とすぐのことだった。

それにあちらの家の人たちが迷惑するのではないかとルシアたちの両親は心配していたようだが、嫁としては全く歓迎していないようで、息子も跡継ぎから外したいと思っているようなのだ。

そのため、彼の家で花嫁修業をさせながら、とことん我が家の嫁には向いていないと思わせることにしたようだ。

そんなことをすれば、卒業パーティーに婚約者がいなくなるのではないかと思うところだが、バレリアの他に婚約してくれそうな令嬢の目星でもついていたのかは怪しいところがあるが、バレリアが婚約者になったことが段々と疎ましく思えて仕方がなくなったようだ。

ただですら、バルトロメの評判なんて最悪もいいところなのだ。それがバレリアと婚約してから、更に評判は低迷し続けているのだ。無理はないのかも知れないが。


(まぁ、根をあげさせるのも大変そうだけど。この家から、お姉様がいなくなるなら、平和でいいわね)


ルシアは、そんなことを思っていた。

バレリアは、家族や使用人たちが白けた顔をしているのを他所に凄く浮かれていて、それに全く気づいてはいなかった。


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