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しおりを挟むとある世界のとある国に生まれた伯爵家の姉妹が、別々の国の王太子の目に止まった。
そう、2人とも見初められるほどの何かが、その姉妹にはあったということだ。
幼い頃からドジな妹の世話に追われた姉とドジだけどとても頭の良い妹。その国では、とても有名な令嬢たちだった。
姉の方は、ドジばかりをする妹の側に居続けて、何もないところでよく転ぶ妹を気遣い続けた。何をするにも、妹の側にいた。自分が居なくては駄目だと言わんばかりにしていた。
そのため、何かと忙しいからと王太子の求婚を拒み続けた。王太子との婚約より、姉は妹のことを大事にしていたことが、ここから伺える。
姉にとって、妹の幸せの方が大事かのようにしていた。それに周りも、とんでもなく厄介な妹を持った姉の方にたくさんの人が同情していたし、王太子も、そんな姉に心惹かれて婚約したいと言い続けることをやめることはなかった。
それほどまでに王太子から、姉は婚約者になってほしい存在となっていた。
そんな妹に彼女たちの両親は、どうにかできないかとあれやこれやと提案して、ついに妹が1人で留学することになった。頭の良さを買われてのことだ。
それによって、姉はようやく妹の子守りから手を離すことができた。ようやく、ずっと婚約の打診をされ続けていた王太子と婚約することになったのだ。
妹の方はというと持ち前の頭の良さと変わらぬ優しさに絆された留学先の王太子に見初められて、彼女はあっという間に彼と婚約をした。
狂い始めたのは、その辺りからだった。姉の方に妹のドジな部分が乗り移ったかのようになったのだ。
そのおかげなのかはわからないが、妹のドジは嘘のように消えてしまった。色んなところを怪我してばかりいた妹は、それを不思議に思っていたが、それについて追求することはなかった。
不思議なことにドジになった姉の方は、そこから坂を転がるように何事も上手くいかなくなった。何もないところで転ぶのを妹の真似と言われることも増えた。
それに冷ややかな目を向ける婚約者は、彼女を助ける気が失せてしまうまで、大した時間はかからなかった。
だが、これには色々と足りない情報が多かった。
この姉妹のことをよく知っている者たちも、きちんと理解しきれていない部分があるのだが、それをこれから掘り下げていってみることになる。
他から見たら、そう見えていたが、別の角度から見るとまるで違うものが浮き彫りになる。
まるで、妹のために尽くしてきた姉が、散々な目にあうかのように思われているが、それは正しくない。
妹には、妹の言い分があるのだ。それを踏まえて読み進めていくと違った面が見えていく。
姉が、妹のことをどう思っていたのかも。
妹が、姉のことをどう思っていたのかも。
当人たちにしかわからない気持ちがあるのだ。それをちゃんと理解してくれる人がいるのといないとでは、全然違ってくる。
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