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しおりを挟むお似合いうんねんと言われたことで、私たちはちょっとづつすれ違っていった気がする。
普通なら嬉しいはずの言葉だったが、幼なじみの王道と言われて、何となくギクシャクしていくことになった。
その間に心音は、パパの再婚相手と腹違いの男の子と言い争ったようで、パパと祖父母も心音の味方をしなかったことで家出してしまったようだ。
それをパパは、ママにすぐに連絡してこなかった。
「そっちに行ってるんだろ?」
「は? いきなり、何の話?」
「とぼけなくていい。心音だよ」
「は? 来てないわよ。来れるわけないじゃない。引っ越し先、伝えてないもの」
「は?」
ママは再婚して、引っ越すことになった。それをわざとパパに教えていなかったのだ。
私は、母方の祖父母のところに行くことにした。新婚の邪魔をしたくないのと幼なじみとのギクシャクが、どうにも気まずくて仕方がなかったのだ。
幼なじみで付き合うのが、王道うんねんが尾を引いていた。周りも似たような目で見ていることにも気づいてしまい、微妙な感じになってしまったのだ。
みんな、そう見ているのではないかと思ってしまったのだ。期待されているより、そうならないことの方を望まれている感じもした。
とにかく、周りが気になってならなくなったのだ。そのため、いい機会だからと離れることにしたのだ。
元より高校では離れようとしたのだ。上手く離れられなかったが、私たちには距離感が必要に思えたのだ。
ママから、心音が家出したことを聞いたのは、引っ越しが終わって落ち着いてからだった。
「こっちまで、来れるとは思えないな。大体、こっちの家の住所なんて覚えてないでしょ?」
「覚えてるどころか。私の方のおじいちゃん、おばあちゃんのところに行ったのなんて幼稚園くらいまでだもの。どこに住んでるかなんて知らないとは思うけど。あっちで、調べていたら行きそうなのよ」
「まぁ、来たら、連絡するよ」
「そうして、おじいちゃんたちにも連絡したから。とにかく気をつけてね」
そんな会話をして私は苦笑してしまった。電話を終えて、遠い目をしてしまった。
「姉さんうんねんで気をつけてって、変な会話だな」
ギクシャクして引っ越すことにしたが、龍介とは相変わらず連絡はしていた。
姉さんのことも教えたら……。
「あのさ」
「ん~?」
「俺、似たような人、見た気がするんだよ」
「え? いつ?!」
たまたま龍介が見かけていたらしいが、行き先がこっちの祖父母の家とは真逆だった。
どこ行くつもりなんだろ? そもそも、姉さんだったのかな……?
「真逆だよ?」
「うん。真逆だな。やっぱり、別人かな。……鬼婆っぽかったんだけどな」
「……」
どうやら、龍介の中で姉さんのあだ名は鬼婆に定着しているようだ。
引っ越して良かったようだ。ギクシャクしていたことが、嘘のように何かあると連絡しあっていた。
それを周りに話していない。共通の友達にも。私たちは連絡しあっていることを話すことはなかった。
それこそ、何もなくとも思わず見えた景色を写真に撮って見せたくなってしまうのだ。
それはお互いに別々の人と付き合っても、話題に事欠くことはなかった。
そして、別れることになったのも同じ時期だった。まぁ、別れる理由は2人とも同じようだったが、そのことを話すことはなかった。
「別れた」
「私も」
それだけで、話題は他に移った程度でしかなかった。その距離感が、私たちは好きなようだ。
付き合っていても、お互いが付き合っている相手と何をしたかなんて話題にしたことはなかった。
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