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しおりを挟む色々あったから、ママは本当は駄目だと言いたかったに違いない。それを心音がしつこくして、あっさりと行かないと言い出し、私にも断らせようとしたことで、考えを改めたようにも見えた。
その日は、珍しくママが早めに迎えに来てくれ、龍介のママさんと会って話すのを見ながら、心音がふてくされているのを見ていた。
「じゃあ、来週は龍介くんのところで、再来週はうちに遊びに来るって言うのは?」
「え? いいの?」
「もちろん。せっかく、心陽が龍介くんに誘われたんですから」
「あら、あの子から誘ったの?」
「そうみたいですよ」
龍介のママさんも、洸平さんと同じくらい。いや、もっと疲れた顔をしていた。あれから、かなり経つのにまだ疲れたように見えていた。それを見かねてママは、休息が必要だと思ったのかも知れない。
私は遊ぶ予定が決まってウキウキし始めたが、心音は更にふてくされていた。
そう、私は心音のしつこいところを良く知っていたはずなのに家に誘われて浮かれていたのだろう。
龍介も、ぴょんぴょんと跳ねていて、危ないと怒られても跳ねるのをやめられずにいたほどだ。
お互いの家で遊べるとわかって、私も龍介も楽しそうにしていた。
それが、心音は気に入らなかったのだろう。
「え……?」
心音が、私のことを道路に突き飛ばそうとしたのだ。
だが、龍介が私の手を先に引っ張ってくれて、私は彼の方をよろめいた。
すると勢いよく突き飛ばそうとした心音の身体が止まることなく車道に出ていた。
そこを通ろうとしたのは、車ではなかった。自転車の前に勢いよく飛び出したのは、心音だった。
「心音!?」
「危ないだろ!!」
「すみません!」
ぶつかるところだったが自転車の人が避けてくれたことで、ぶつかることはなかった。
駆け寄ったママと龍介のママさんは、私と龍介に声をかけてくれた。
心音は、自分が飛び出したのであろうことか。私が突き飛ばしたと言ったが、他の人がそれを見ていて心音が心陽のことを突き飛ばそうとして、龍介が手を引いたことで自分が飛び出すことになったのを目撃されていて、そのことでよほど怖かったのだろう。
心音は漏らしていて、それを帰ろうとしていた幼稚園の子たちにも見られることになってしまい、自転車に轢かれそうになったところを見ていはおらず、漏らしたところをばっちり見られてしまって、私のせいにしたくとも上手くいくことはなかった。
そんなことがあって、私が龍介のところに遊びに行くことも、彼が我が家に遊びに来る約束もなくなってしまった。
それこそ、心音が心陽のことを殺しかけたことを重く受け止めることになったのだ。
パパは、そうは言ってもそれが真実かわからないと言っていて、ママはそれを聞いてムッとした。
パパの方の祖父母も、心音の味方をした。
ママは、これまでのことを考えていた。ママの方の祖父母も、そうだった。そもそも、心音の言う私が押したというのであれば、龍介が抱きしめて真逆の方に転がっているのもおかしいのではないかと。
するとそこが丁度、幼稚園の知り合いのママさんの家の近くで、監視カメラがあるとわかって、それをみんなで見ることになった。
「これは、酷いな」
「心音が押そうとしてるわね」
「そ、そうみたいだな」
パパたちは証拠があっても、子供のしたことで済まそうとしていた。
それをママたちは子供だろうと許せないとなって、両親だけでなく、祖父母たちも喧嘩となった。
それすら、心音は私にこう言った。
「あんたのせいよ」
「……」
「あんただけが、龍介のところにあそびにいこうとするからいけないのよ!」
「……」
信じられない言い分に私は絶句してしまった。
心音の思考回路が全くわからなくて、どうしたらそうなるんだと思うばかりだった。
喧嘩しているのも、わけがわからなかった。心音の味方をしている方が特に私には理解不能でしかなかった。
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