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しおりを挟むそんなことがあって、厄介ごとが続いているのもあって、フランソワーズは留学することになった。エディットが心配になり、彼女のいる国にした。意表をつくことにしたのだ。
エディットの婚約者も、婚約者に会いたくなって、一緒に留学することにした。そのおかげで、フランソワーズは元婚約者に会うことはなかった。
まさか、フランソワーズが留学しているとも知らず、元婚約者はフランソワーズが見当たらないが、ファビアンを見つけてエディットの兄は親しげに話しかけたようだが……。
「……お前、正気か?」
「へ?」
「妹との婚約をあんな風に破棄したのに友だと? こっちは、とっくに友などと思っていない」
「っ、」
どうやら、理由は適当に取り繕ってくれていると思っていたようだ。まさか、全部が筒抜けになって婚約破棄になったとは思っていなかったようだ。だから、のこのことやって来れたようだが、ファビアンはそれに呆れるばかりだった。
「ご、誤解だ」
「何がだ? 王女の一目惚れしたと言う言葉にころっと騙されて、そちらと婚約する気でいたのだろ?」
「あ、いや、あれは、俺も騙されたんだ」
ファビアンがよく知っているのに顔色を悪くしていき、何を言うのかと思えば……。
「エディットだな。余計なことを」
「余計だと? お前みたいな兄を持って、彼女がどれだけ迷惑していると思っているんだ?」
「っ、だから、婚約破棄の撤回をしてやり直せば、何の問題もないだろ!」
彼は両親や妹にも、散々そう言って来たようだ。
ファビアンは、更に呆れた顔をした。もう、話すのも面倒でしかなくなっていた。
「それで、フランソワーズはどこにいるんだ?」
「気安く妹を呼び捨てにするな。もう、お前とは何の関わりもないんだ」
「だから、撤回をすれば……」
「そうそう、お前、勘当されてるぞ」
「へ?」
ファビアンは、今思い出したかのように伝えた。フランソワーズは、ここにいない何て言う気はない。妹のことなんて教える気なんてなかった。
「勘当……?」
「エディットの婚約まで台無しにさせられないだろ。そのくらいわかるよな?」
「っ、!?」
それでも、フランソワーズさえ見つかれば、どうにでもなるとばかりにしたが、この学園の生徒でもない元貴族が、何を言ったところで追い出されて二度と学園に入ることはできなかった。
それでも、彼の執念は凄まじいものがあった。
「フランソワーズ。彼女に会えれば、何とかなる」
フランソワーズに会うために家にまで押しかけたが、そこにフランソワーズがいないとも知らず暴れて捕まることになり、その後はファビアンも彼の父親も、その子息を見ることはなかった。
その執念深さにげんなりしていたのは、ファビアンだった。
「フランソワーズを留学させて正解だったな」
「知り合った時はまともだったんですが」
あれが本性かと思うと眉を顰めずにはいられなかった。
「だが、王女の婚約できると言うのに浮かれるような男だ。フランソワーズに相応しくないのだけはよくわかった」
「そうですね。そう考えると王女の惚れっぽい性格にちょっとだけ感謝したくなりますね」
2人共、フランソワーズが留学先で楽しんでいることを願ってやまなかった。
ここにいたままでは、破棄を撤回すると言うまですがりつかれていただろう。そんなのにつきまとわれても、そうすると言うことはないだろうが、これがエディットの兄なのかと思うと友達となったエディットを気にしていただろう。
留学先では、エディットがファビアンとその家に迷惑をかけているだろうと思って心を痛めていて、フランソワーズがそれを慰めているはずだ。
彼女の両親も、申し訳ないと謝罪してばかりいて、ファビアンから手紙が来て何があったかを掻い摘んだ手紙にエディットは……。
「なんてことなの。こっちにファビアン様が来られている時と今では違うことすらわからなくなっているなんて……」
エディットは、婚約者にも中々会わなくなり、婚約を解消してほしいと言い出していて、フランソワーズは彼女の婚約した子息と一緒になって、説得するのが大変となるとは、ファビアンは思いもしなかった。
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(他「エブリスタ」様に投稿)
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