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しおりを挟むあれこれと言われていた。ガスパールとディアーヌのことで、その母親たちの同年代の夫人たちは……。
「幼なじみのせいにするなんて、とんでもなく似た者親子がいたものね」
「ただですら、その幼なじみに迷惑しかかけていないのにそんなことをするなんて、ほっとき過ぎたわ」
そう、幼なじみだけでなく、2人の母親も便乗して、フランソワーズのせいにしようとしたのに怒ってくれたのだ。
信じられない。とんでもないとばっちりを受けるのを我慢ならないとばかりに色々言ってくれたのは、迷惑しているのを学園で見聞きしたのを従兄たちが親に話していたからのようだ。何より、面倒だと放置していた罪悪感もあったのと仕返しのチャンスだと思ってのことのようだ。
そんなところで助けられることになったのだが、フランソワーズとしてはそうなる前に助けてほしかったなと思って、考え直した。
そうなっていたら、婚約破棄の巻き添えになっていたのは、フランソワーズだったか。フランソワーズだけが婚約破棄になっていたのか。どちらかになるのに気づいてしまったのだ。
ガスパールとディアーヌが婚約破棄した後で、とんでもない幼なじみたちに迷惑かけられて大変な目にあった令嬢として有名になってしまっていた。
それはそれで複雑だった。大変な目なんて、いつものことで、こんなことで有名になるのなら、もっと前からそうなっていてもよかったと思ったが、どうも留学生が関わっていたから、心配するふりをした子息がたくさんいたのか始まりだったようだ。
エディットが美人だったのもあり、フランソワーズと仲良くしているから、これまで大して話したこともない人たちが前からの知り合いのように話しかけて来たのも、エディットにアピールしたかったからのようだ。
今まで、あの幼なじみのことで苦労していたフランソワーズのことを見て見ぬふりしていた連中だ。そんなことだと気づかなかったフランソワーズは、美人じゃないだけでこんなに損をするのかと思って怒るより、悲しくなってしまった。
だが、エディットはそんな連中に靡くことはなかった。ざまぁみろ。そんなことをフランソワーズが言葉にすることはなかった。
「フランソワーズ」
「エディット」
「静かね」
「えぇ、久々に静かに過ごせる」
「……あなた、あの2人をずっと相手にしていたのよね。大変だったわね」
エディットとはすっかり仲良くなっていた。しみじみと労るように言われて、フランソワーズは泣きそうになった。そこまでわかってくれるのは、エディットくらいだ。
彼女は授業に出て見て、留学をせずに帰るのをやめていた。
「あ、ここにいたのか」
「お兄様」
「ファビアン様」
エディットは、ファビアンを見ても笑顔になったが、その横にいる子息を見てもっと嬉しそうにした。
それは、その子息も同じだった。ディアーヌの元婚約者の子息だ。彼の今の婚約者は、エディットだ。
「フランソワーズ。ちょっといいか?」
「はい。じゃあ、またね」
「えぇ、またね」
兄は、妹に用事がある風にして、2人っきりにしたかったのだと思っていた。でも、それだけではなかった。
やっと平穏が訪れたと思っていたら、そうでもなかったようだ。
「え? 今、なんて?」
「お前の幼なじみが2人とも、駆け落ちした」
「は?」
ファビアンにそんなことを聞かされたフランソワーズは、間抜けな顔をしていたはずだ。
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