婚約者から贈られた物を身につけるたびに笑い者にされていた理由が、浮気相手との時間を捻出するためだったようです

２

そんなことがあってから、ノティスは知らぬまま、同じことをティルディアにし続けた。


（今に見てなさい。絶対に許さないんだから）


その度、ティルディアはノティスが帰って行く背にそんなことを思っていたが、気づかれることはなかった。






しばらくして、ティルディアは二人のことを調べあげて、両親に報告して、両親も怒りをあらわにすることになってから、両家で会うことになった。

あちらの両親とノティスは土下座する勢いで謝罪してきて……。


「あの令嬢とは、すぐに別れるから破棄は取り消してくれ」
「……」


（は？　今更、何を言ってるのよ）


ノティスの言葉にティルディアも両親も激怒した。

それこそ、ノティスは婚約者のティルディアを笑い者にしていたのだ。ティルディアの両親の怒りは凄かった。

それまで、ティルディアの婚約者の家だからと援助していたのも全て打ち切り、慰謝料もノティスと相手の令嬢の家にも支払わせることになり、ノティスの家がたちまち立ち行かなくなるまで早かった。

浮気相手の令嬢も、お金が好きに使えないとわかるやさっさとノティスを捨てて、別の婚約者のいる子息と遊び回り始めたようだが、それもすぐに出来なくなった。それでも、何かと自分の相手をしてくれる子息がいないかと探し回るも見つかることはなかった。

どちらも家族から厄介者として見放されて、勘当されることになるまで、そんなに時間はかからなかった。

一番酷かったのは、浮気相手の令嬢だったが、最後までティルディアに対しての謝罪はなく、逆にティルディアのせいで好き勝手できなくなったことを怒鳴り散らしに来たのには、呆れるしかなかった。


（まぁ、勘当されたのなら、二度と会うこともないわね）


形だけでも、謝罪しに来たノティスも酷かったが、ノティスとその令嬢はある意味でお似合いだったと思い、そんな人たちのせいで散々な目に合うことになったティルディアの気持ちが晴れることはなかった。