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しおりを挟む王子は、とばっちりもいいところでレジーナや兄に暴露されて、婚約を破棄することになり、更には学園を卒業したら王族ですらいられないことになった。
「くそっ、どうして私がこんな目にあわなければならないんだ」
それもこれも、アンゼリカのせいだと元婚約者と同じく思っていた。顔がいいため、困った顔をすれば、令嬢が近づいて来て声をかけてくれていたが、お菓子を捨てているとみんなの耳に入ってしまってからは、そんなこともなくなった。
「信じられないわね」
「本当よね」
令嬢たちは、王子を見るなり、ヒソヒソと話して白い目を向けた。誰1人として駆け寄って心配する者はいない。あの日から、がらっと日常が変わってしまった。
こんな風に陰口を叩かれることなど、生まれて初めてのことだった。
王子は、それに何とも言えない顔をした。こんな目にあわなければならない理由など、バレたせいとしか思っていなかった。
そう、バレさえしなければ、それでいいと思っていた。中身まで腐っていることに本人が気づくことはなかった。
「顔がいいのを利用しすぎだな」
「前は、率先して困ってる令嬢に声かけてたんだよな。それで、お礼のお菓子もらってが、それをしてなきゃ、そもそも捨てる必要なかったんだよな」
「あれ、お菓子目当てっていうより、いい格好したかっただけなんじゃないか?」
子息たちは、あることないこと話して王子を見ていた。元より、顔が無駄にいいため、令嬢たちの話題を独占していたような王子だ。顔だけで中身が、伴わなくてもよかったのだ。
それが地に落ちたとあって楽しそうにしていたが、それもすぐに話題にのぼらなくなった。
「それより、アンゼリカが心配だな」
「兄貴や父さんが、携帯食が食べられなくなって仕事の効率が元に戻って疲れた顔して帰って来るんだよな」
「そうみたいだな。母と姉が、同じように作っているみたいだが、いまいちらしい」
アンゼリカが携帯食を頼まれた分を定期的に送っていたが、それを今回のことで一切やめた。そのせいで、あっちこっちで支障をきたしていた。
ロディオンとエリザヴェータの母親は、それまで知らなかったが今回のことで、お茶会でも責め立てられることになった。
レジーナの母親は、そうなったのは娘のせいだと謝罪していたこともあり、ロディオンたちの母親のようにはされていなかった。
アンゼリカが、幼なじみの母親からはきちんと謝罪されて許していると聞いたことが大きかったようだ。
「アンゼリカが許しているならって、お母様やお姉様も許していたわ」
「うちもよ。それにあの令嬢のお母様とは思えないくらい、素敵な夫人だものね」
「そうそう。お兄様も、素敵だしね」
そんな話を王子は耳にして、これだと思った。アンゼリカは、元々自分に気があったようだし、機嫌を直してもらって婚約者になれれば、今回の騒動も水に流してもらえて、王族のままでいられるかも知れない。
そう思って、アンゼリカを探し回っても王子が会うことは叶わなかった。
そんなことを頑張るくらいなら、今までしたことを謝罪して回った方が高感度が上がったと思うが、一発逆転を狙い続けた王子にそんなことを思いつく余裕はなかったようだ。
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注意)ほぼコメディです。
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