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しおりを挟むレジーナの方は、玉の輿に乗ったと思っていたら、いつものように問題を起こしたことで、やっぱりかと思われつつ、父と兄に責め立てられることになった。
本人は問題を起こしたこれまでのことなど綺麗さっぱり忘れていて、責め立てられる理由もおかしいとレジーナは思っていた。
「アンゼリカのお菓子なんて、あんなの食べれるもの作ったことないじゃない」
「お前が言うな!」
「っ、」
そんな風に怒られたことがあまりないため、レジーナは身体をビクつかせた。
「それにアンゼリカには、お菓子がいまいちでも、携帯食や編み物と刺繍のデザインの才能がある。それに比べて、お前は、食べれないどころか。見た目からお菓子ではないものしか作れず、他には何もないだろ」
レジーナは、アンゼリカにそんな才能があることを知らなかったが、認めたくなかった。幼なじみより劣っていることを認めるなんて、レジーナには屈辱でしかなかった。
「っ、そんなことないわ! 私は王子と婚約しているもの! あんな、目の前で元婚約者の作ったお菓子を食べまくる婚約者と破棄になった令嬢とは違うわ」
レジーナは、憤慨していた。アンゼリカと一緒にされたくないのは、昔からだった。アンゼリカにだけは勝っていた。それも幼い頃のごく僅かな期間だけだ。
アンゼリカはそこから必死になって頑張っていたが、レジーナは頑張ることなどしたことはなかった。
「お前との婚約を破棄したいそうだ」
「っ、何でよ!?」
「大勢の前で王子がアンゼリカのお菓子を捨てていることを認めたのだろ?」
「そうよ?」
父の言葉に何を今更という顔をしたレジーナ。それを聞いて、兄と母、それに父が凄い顔をしているのに気づいていなかった。
「それだけじゃなくて、他の令嬢のも捨てていた」
「それが?」
「それを聞いて、自分のだけは違うと詰め寄っていたそうだが、それが国王の耳に入って学園を卒業したら、王族から外すそうだ」
レジーナはそれを聞いて、目を丸くした。ここは、ざまぁみろと思うべきところなのか。レジーナは自分のまでゴミに捨てていた王子にそんなことを思っていた。
「王族としてあるべきことをしていたのを大勢に聞かれたんだ。そんなのと婚約していたら、お前も恥をかくだろうと破棄することになった」
それを聞いて、レジーナは王子と婚約できたと思っていたのにとふてくされた。でも、父の話には続きがあった。
「そんな顔しなくても、お前のことも勘当する」
「え? な、何で??」
「聞いていなかったのか? お前は前から知っていて、それをあろうことか。王子と一緒になって笑っていたのも聞いている。そんなのを我が家に置いておけるわけがないだろ」
レジーナは、それに眉を顰めた。不満そうにこう言った。
「そんな、私のお菓子も捨てられていたのよ!」
「それは、元々食べれたものじゃないから仕方がない」
「っ、酷い! 何で、そんなこと言うのよ!」
兄の言葉に黙っていた母親が……。
「酷いのは、お前よ!!」
「っ、」
それまで、母が怒ったところを見たことがなかったので、レジーナは物凄くびっくりした。
「自分のを捨てられて怒るなら、他の令嬢のものを捨てているような方とわかっていて、婚約する方がどうかしているわ」
こうして、王子との婚約が破棄となり、勘当されることになったレジーナは、アンゼリカのせいだと思い続けることになったが、そんな幼なじみが再び会うことはなかった。
「何で、私がこんな目にあわなきゃならないのよ」
レジーナは、いつもそんなことを言い続けていた。
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