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しおりを挟むロディオンは婚約破棄をしたいと両親に言い、エリザヴェータと婚約したいと言い続けた。
破棄はともかく、エリザヴェータの婚約は健康上の問題から認めたくないロディオンの両親と大喧嘩となったようだが、アンゼリカとの婚約はあっさりと破棄となった。
その時に言われたことにアンゼリカは、ロディオンの母親がぼやいたことにカチンときた。いや、アンゼリカだけでなく、アンゼリカの両親もカチンときた。
「お菓子作りが下手な令嬢を選んだのに。こんなに使えないとは思わなかったわ」
「……」
それを聞いて、ロディオンの父親の方が顔を青ざめた。
アンゼリカは、確かにお菓子を作るのは下手だが、使えないとまで言われるとは思わなかった。全て、アンゼリカのせいにしている夫人に腹が立って仕方がなかった。
なぜ、アンゼリカが全て悪いことになるのかが全くわからなかった。
「お前、そんなことで選んだのか!?」
「? そうよ?」
「なんてことを」
ロディオンの父親は、妻が選んだ理由を初めて知ったようだ。顔色を悪くさせていた。
アンゼリカは、にっこりと笑ってこう答えた。この人にはずっと頭にきていた。この際だから、はっきりと言ってやろうではないか。
「そうですか。なら、今後は携帯食を頼まれても作るのをやめますね」
「は? 何で、携帯食の話になるのよ??」
「携帯食……?」
ロディオンとその母親は、わけがわからない顔をした。父親だけが、アンゼリカが携帯食を上手く作れる令嬢だと言っていたが、母親の方は冗談だと思っているようで信じることはなかった。
「アンゼリカ。帰ろう」
「そうね。アンゼリカ、丁度よかったのよ。教えても上手くできないからって、色々と頼まれて大変そうにしていたし」
「ま、待ってください!」
ロディオンの父親だけが、やめられたら困るかのようにしていたが、アンゼリカたちがそれで立ち止まることはなかった。
そんなことがあって、ロディオンの父親とエリザヴェータの父親も、子供たち妻たちのしでかしたことで、職場で針の筵となった。
アンゼリカは、他から頼まれても断ることしたことで、レジーナの父親と兄も、レジーナを責め立てているようだがアンゼリカの知ったことではない。
アンゼリカの父と祖父が、残念がっていたし、2人の職場の面々も忙しい時に丁度よいものがなくなり、アンゼリカが教えた面々が必死に作っても同じようなものが生み出されることはなかった。
それによって、ロディオン、エリザヴェータ、レジーナは両親や身内、親戚から非難轟々になるが、アンゼリカがそんなに凄い令嬢なことを認めることはなかった。
「あの令嬢が、そんな凄いわけないわ。みんな、私たちが羨ましいのね」
「そうだな」
ロディオンとエリザヴェータは何を言っても、婚約すると言うのでロディオンのことを跡継ぎから外して婚約させてからは縁を切ると言っても、婚約をした。エリザヴェータの方も婚約をするようなら、縁を切ると言われても、お構いなしに婚約をして、2人はこれまでと同じように幸せそうにしていた。
ロディオンは、エリザヴェータの作るお菓子さえあればよかった。
エリザヴェータが、自分の作ったお菓子を美味しそうに食べるのを見ていられればそれでよかった。
だから、学園を卒業して家を出て行くことになっても、食べるものに困っても同じようにお菓子を作り続けることをやめなかった。
この2人にとっての幸せは、それだけだったが、平民たちは、ロディオンたちを気味悪がったが、それを気にすることはなかった。
貴族たちは、そんな2人のことを気に掛ける者もいなかった。
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