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しおりを挟むそんなこんなで、留学したエレオノーレは……。
「モテモテね」
「……」
「アポリネール国でもモテたでしょ?」
「ううん。全然」
「そんなわけないわ」
「そうよ。こんなに美人なんだもの」
なぜか、留学先で令嬢たちにありえないと言われていた。モテたことなど、これまでなかった。それどころか。モテモテと言われても、よくわかっていなかった。
「アポリネール国って、呪い持ちの一家がいるところだっけ?」
「え? 呪い??」
エレオノーレは、それにびっくりしてしまった。みんな見目麗しいとか、目の保養やらと言うが、呪いとは聞いたことがなかったのだ。
公爵家に嫁いだ王妹の祖先に呪いによって国王の心を捕まえた女性がいたそうだ。
でも、そんな風に捕まえたことで、自分の娘たちにも同様の呪いをプレゼントした。その母親は良かれと思ってしたことだ。自分が幸せになれたから、同じように幸せになってほしかった。純粋に親心でそんなことをしたが、その娘たちはみんな幸せとは程遠い人生を送ることになった。
「そんな、どうして……?」
彼女は、娘たちが不幸になったのは自分のせいではないと思いたかった。
それを否定したくて、息子の子供である孫娘にも同様の呪いをプレゼントした。そんなプレゼントはほしくなかった孫娘が、祖母を怒鳴り散らして暴れまわることになるまで、そんなに時間はかからなかった。幸せとかけ離れた人生を送ることになったのは祖母の余計なプレゼントだった。
それを認められない彼女は、ついに血に連なる女児に同じ呪いが授かるようにしてしまい、そんなことをしたことで、彼女は処刑されることになったが、呪いが消えることはなかったようだ。
ようだというのも、ここ何代か。王家に女児が生まれなかったのだ。王家を離れれば大丈夫と思っていたが、そんなことはなかったようだ。
公爵夫人は、幸せになれているが、その娘は……。
エレオノーレは、その話を聞いて何とも言えない顔をした。確かに呪いと言われたら、よくわかる。
見た目の麗しさだけでなく、巻き込んで虜にするのも呪いの一部だったのかも知れない。エレオノーレは自分は彼女を見ても何とも思っていないと思っていたが、ばっちり巻き込まれていたことに震えた。
そして、イザークは大丈夫だろうかと思ったが、彼が来てから様変わりしたのだ。きっと、あのままだ。
イザークが、侯爵家の養子として来てくれていなかったら、エレオノーレの幸せはフェリシアの下に押しつぶされていたことだろう。
とんでもない幼なじみを持ってしまったものだ。
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