愛を知らない私と僕

こむぎ

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「総帥!これどこに置くんでしたっけ?!」
「それは向こうのクリアケースの横!」

「総帥!壊れた!!」
「はっ!?壊れた!?」
バッと部下の手元の展示品を見る。
「、、、あ、取れただけじゃない?焦ったー!」
「すみませんお騒がせしました」
「大丈夫よ、取れやすいってことが分かったって事だもの。これは大事な改善点よ。、、、よし、準備を進めましょうか」
展示品を部下に返して持ち場に戻る。

、、、忙しすぎじゃない?死ぬよ?
一応、予定通り進んでいるけど何が起こるかわからないし、、、

「総帥」
「、、、今度は何?」
「お客さんきた」
「お客?」
そう言われて指された方をみれば、夢達が手を振ってこちらを見ていた。しかもそこに鷹村君もいた。
「、、、少し席を外してもいいかな?」
「任せてください。」
「ありがとう、行ってくるね。」


「ここにみんなで来て、驚かせよ~って思って!」
驚いた?とワクワクした顔で言われました。
うん、まぁ、少しは、、ね?
「なにか見に来たの?」
「えぇ、コスメとか文具とか色々あるって言われたから。」
尋ねたら真子が答えてくれた。
「うんうん、結構珍しくて便利なの沢山あるからねー」
自分が企画したのを褒めてもらえるのはすっごく嬉しい。
どやってもいいよね?え?だめ?
「まぁ、会場とてつもなく広いからあまり1人で行動したりしないようにね?」
「わかった~はぐれたらここに集合でっ!」
「あ、ここに集まるの。」
「うんっ!なっちゃんここに居るよね?」
「うーん、、、企画者だしずっとあちこち周ってると思うよ?」
「そっか~忙しいよね、、、」
あのゆめさん?そんなにしょげないで?
鳴瀬さんコロって言うこと聞きたくなっちゃうからね?
「ゆめ、わがまま言わないで。いくよ」
あ、真子に引きずられてく、、、
「あ~なっちゃんまた後でね~」
「あ、うん、、、あとでね、、、」
ぽかんとしながら見送るとよしっやるか!と言って仕事に戻った。

それをあの人が見てるなんて気づかずに。


「おおかたこんなものでいいでしょう。うん、一旦終了ー!みんなお疲れ様!ちゃんと休んでねー?」
「「「総帥もね」」」
「はーい、、、」
見事な総ツッコミを貰いました。ありがとうございます。

うーん、、、休まなきゃだけど、他にも支店があるし、見回りがあるので休むふりだけしておきます。
ごめんね皆。
そう言ってその場から離れると見回りを再開した。
ついでにあの子たちも探そうかな。

そうやってあちこちの支店を見ながらキョロキョロと探していると、お目当てとは全く違う人物が会場の入口でこちらに手を振ってるのが見えた。

ビックリして駆け寄るとニコニコしながら
「久しぶりだね?鳴瀬さん、、、また背が伸びたのかな?」
と、頭を撫でながら挨拶をされた。
「お久しぶりです、、、樹さん、あの頭撫でるのやめてもらっても、、、?」
髪のセットがぐちゃぐちゃになるのでやめてー!!
と心で叫びながら笑顔でそういった。
「あぁ、ごめんね?つい、妹のように見えてしまって。」
と、申し訳なさそうに手をどける。
、、、妹みたいって、私が子供って言ってるようなもんじゃないですか!!
と、気づくもこの人は天然なのを思い出して文句を言うのを踏み止まった。

、、、彼は昔からの付き合いで、婚約者でもある。
天然で大人しいけど、素直で真っ直ぐな人。
でも、一生を添い遂げれるのかって言われるとなんだか違う気がする。
確かに優しい人だし、ずっと一緒にいてもぶつかり合いもなくここまで来てる。
けど代わりに、距離が縮まる訳でもなくて。
、、、親しい友人って辺りかな?
たまに、将来を約束してるのがこの人だって忘れしまうこともあった。
現に今久しぶりに会うまで彼を忘れていたのだし。
、、、ごめんね、樹さん。
でもでも!
彼も私の事を「妹みたい」って言うからおあいこだよね?え?それはバカにされてるだけ?、、、失礼なっ!!(泣)

なんて1人で悶々としている鳴瀬を面白そうに目を細め眺めていた樹はふと言伝を思い出して口を開く。
「そうそう、鳴瀬さん」
「?、、、なんですか?」
「やっと僕もこっちに帰ってこれたし、婚約者とご飯でも食べてこいって母に急かされてね。」
と言いながらバックをゴソゴソと漁る彼。
「、、、あった。これ、明日なんだけど、、、」
と言って渡してきたのが高級フレンチレストランの招待チケットだった。

「はっ!?明日!?」
慌てて予定を見ると、、、あ、空いて、、、る?
夕方まで仕事だが、朝早めに行ってお昼も抜けば間に合うかな。うん。
「明日なら大丈夫です。」
「そっか、、、無理して開けてないよね?」
「うっ、、、無理してないです。」
「、、、鳴瀬さん?」

、、、キャー覗き込まないでー!!近いー!!(泣)

樹は鳴瀬の目が泳いでいるのに気づき顔を近づけ、白状させる為にじっと見つめていた。

「いくら君にとって僕が他人行儀な婚約者でも、僕にとっては君が大切なんだよ?」とまで言ってくる。

「、、、仕事、少しだけ明後日にまわすことにします。」と、少し不貞腐れたように言う鳴瀬に樹は「、、、うん、いい子」といって笑顔で頭を撫でる。

「総帥ー!!」
「なぁに?どうしたの?」
「アクシデントー!!」

そのあとも会場の外で他愛ない会話をしていたが、泣きながら駆け寄ってきた部下を見てなだめながら会場に戻ろうと入口を振り返ると

、、、そこには悠斗が立っていた。
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