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海のそばのホテル
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「透、部屋にお風呂があるから一緒に入ろう」
部屋に通されるなり泉がお風呂を確認し始める。
海が見える露天風呂だった。
「寒くなっちゃったし、温まってから夕ご飯だね」
ポッカリと空いてしまった心を押し込めてなんとか笑う。
「透、早く早くっ!」
泉に急かされてお湯に足をつけるが熱いっ!
「って熱いっ!!ちょっと泉待ってっ!!」
「大丈夫だって、ほらっ!」
泉に背中を押されてお湯の中へっ!
「っつ!!」
「あっついっ!!でも我慢して入っちゃうとすごく気持ちいいよ」
泉がそう言いながら肩までお湯に浸かっている。
…それなら…
泉の真似をして肩まで浸かる。
…本当だ。
我慢して一度浸かってみると気持ちがいい。
「ああ…これは…芯から温まるねえ…」
泉と温泉に浸かった。
二人で暗い海を眺める。
波の砕ける音が辺りに響いて、その音だけで海が荒れているのが分かる。
熱いお湯に浸かり、海を眺めていると泉が話し始めた。
「透…私ね、実はここに来るの二度目なんだ…。一度目は大学生の時…透がどんな所で暮らしていたのか気になって、調べた事があったの…。透がどんな風に生きていたんだろうって…。それでここに来たんだ」
「…そうだったんだ。それで、何か収穫でもあった?」
泉は下を向いてしまったので表情は分からなかった。
黙ってしまった泉を見つめる。
「…勝手に透の事を調べる様なことして、黙っててごめんなさい」
泉の声が震える。
…多分過去に何があったかもう知ってるんだろうなあ…
知られて困るようなことはない。
調べても面白いことだってなかったはずだ。
「いや…いいよ。っていうかオレ自分が育った町のこと知らなかったし、おじさんもおばさんも教えてくれなかったから。泉が連れて来てくれなかったらずっとわからないままだったよ。…でもどうして今日連れて来てくれようって思ったの?今まで黙ってたのに…?」
泉は顔をあげる。
泣き出しそうな泉の顔…
「透が怪我の後からずっと…寝てる時うなされてて…辛そうだったから…このままずっと苦しみ続けるくらいなら…今からでも辛い思い出を書き換えられないかなって…」
…。
泉がそんな風に考えてくれていたなんて…。
泉もずっと透の事を考えていてくれたのだろう。
微かに泉の身体が震えている事に気づく。
…泉ってば…
たまらなく泉が愛おしくなる。
同時に身体の奥の方が熱を持つのを感じた。
「…泉…」
泉の肩を抱く。
「透…ごめんね」
顔を上げた泉の瞳から涙が溢れる。
…泉が愛おしくて…たまらない…
我慢できなくなり、泉を抱きしめる。
お湯の中で泉と肌が触れ合って…
「えっ、ちょっと透っ?!」
突然の事に戸惑った様な泉が慌てている。
「…何か…元気になっちゃったんだけど…ダメ?」
泉は泣いていたが、お腹に当たっていたものに気づいた様だ。
ふっと笑って身体から力を抜いてくれる。
「ううん…来てっ」
しばらくぶりのエッチはなんだか照れ臭くって、でも凄く気持ちよかった。
泉の肌もすべすべで、触っていて飽きない。
「透…そろそろ夕ご飯に…」
泉に中断されるまで泉を抱き続けてしまった。
★
「やっぱりお魚が美味しいねっ」
泉が寒鰤のお刺身を食べながらお酒を呑んでいる。
「泉、こっちの金目鯛の煮付けも美味しいよ」
泉に魚を食べさせてあげる。
さっきまで泣いていた泉だったが今は打って変わってにこにこしていた。
イカソーメンにイカメシ…カニシャブに蟹の茶碗蒸し…中々普段では食べない物もあった。
泉に勧められて少しだけお酒を呑む。
なんだか楽しくなって泉と話しながらご飯を食べた。
海が近いおかげでご飯がとてもおいしかった。
部屋に通されるなり泉がお風呂を確認し始める。
海が見える露天風呂だった。
「寒くなっちゃったし、温まってから夕ご飯だね」
ポッカリと空いてしまった心を押し込めてなんとか笑う。
「透、早く早くっ!」
泉に急かされてお湯に足をつけるが熱いっ!
「って熱いっ!!ちょっと泉待ってっ!!」
「大丈夫だって、ほらっ!」
泉に背中を押されてお湯の中へっ!
「っつ!!」
「あっついっ!!でも我慢して入っちゃうとすごく気持ちいいよ」
泉がそう言いながら肩までお湯に浸かっている。
…それなら…
泉の真似をして肩まで浸かる。
…本当だ。
我慢して一度浸かってみると気持ちがいい。
「ああ…これは…芯から温まるねえ…」
泉と温泉に浸かった。
二人で暗い海を眺める。
波の砕ける音が辺りに響いて、その音だけで海が荒れているのが分かる。
熱いお湯に浸かり、海を眺めていると泉が話し始めた。
「透…私ね、実はここに来るの二度目なんだ…。一度目は大学生の時…透がどんな所で暮らしていたのか気になって、調べた事があったの…。透がどんな風に生きていたんだろうって…。それでここに来たんだ」
「…そうだったんだ。それで、何か収穫でもあった?」
泉は下を向いてしまったので表情は分からなかった。
黙ってしまった泉を見つめる。
「…勝手に透の事を調べる様なことして、黙っててごめんなさい」
泉の声が震える。
…多分過去に何があったかもう知ってるんだろうなあ…
知られて困るようなことはない。
調べても面白いことだってなかったはずだ。
「いや…いいよ。っていうかオレ自分が育った町のこと知らなかったし、おじさんもおばさんも教えてくれなかったから。泉が連れて来てくれなかったらずっとわからないままだったよ。…でもどうして今日連れて来てくれようって思ったの?今まで黙ってたのに…?」
泉は顔をあげる。
泣き出しそうな泉の顔…
「透が怪我の後からずっと…寝てる時うなされてて…辛そうだったから…このままずっと苦しみ続けるくらいなら…今からでも辛い思い出を書き換えられないかなって…」
…。
泉がそんな風に考えてくれていたなんて…。
泉もずっと透の事を考えていてくれたのだろう。
微かに泉の身体が震えている事に気づく。
…泉ってば…
たまらなく泉が愛おしくなる。
同時に身体の奥の方が熱を持つのを感じた。
「…泉…」
泉の肩を抱く。
「透…ごめんね」
顔を上げた泉の瞳から涙が溢れる。
…泉が愛おしくて…たまらない…
我慢できなくなり、泉を抱きしめる。
お湯の中で泉と肌が触れ合って…
「えっ、ちょっと透っ?!」
突然の事に戸惑った様な泉が慌てている。
「…何か…元気になっちゃったんだけど…ダメ?」
泉は泣いていたが、お腹に当たっていたものに気づいた様だ。
ふっと笑って身体から力を抜いてくれる。
「ううん…来てっ」
しばらくぶりのエッチはなんだか照れ臭くって、でも凄く気持ちよかった。
泉の肌もすべすべで、触っていて飽きない。
「透…そろそろ夕ご飯に…」
泉に中断されるまで泉を抱き続けてしまった。
★
「やっぱりお魚が美味しいねっ」
泉が寒鰤のお刺身を食べながらお酒を呑んでいる。
「泉、こっちの金目鯛の煮付けも美味しいよ」
泉に魚を食べさせてあげる。
さっきまで泣いていた泉だったが今は打って変わってにこにこしていた。
イカソーメンにイカメシ…カニシャブに蟹の茶碗蒸し…中々普段では食べない物もあった。
泉に勧められて少しだけお酒を呑む。
なんだか楽しくなって泉と話しながらご飯を食べた。
海が近いおかげでご飯がとてもおいしかった。
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