19 / 69
夏の山
しおりを挟む
「水野さん大丈夫?」
青海くんが顔を覗き込んでくる。
「うん、毎年こうだから気にしないで。……少し休めば良くなるから……」
青海くんが私を支えるようにそばに立ってくれたのでそのまま手を借りて部屋まで連れて行って貰った。
「外の空気吸うと少しはいいかもしれないから窓開けとくよ」
青海くんは私がベッドに横たわると窓を少し開けてくれた。
涼しい風がすうっと部屋に入ってくる。
「後でまた来るね。少し寝た方がいいよ」
青海くんはそっと私の背中を撫で、部屋から出ていった。
山道をドライブするとどうしても酔ってしまうな……
標高の高い場所にあるこの別荘は夏場涼しくて過ごしやすかったが、なにぶん山奥にあったため、途中の山道があまり良くない。
毎回酔い止めを飲んで眠ってしまうようにはしていたのだがこればかりは治りそうになかった。
「おい透、ちょっと外に出てこようぜ、川の水が冷たくて気持ちいいぞ」
廊下で真実の声が聞こえた。
「あ、ちょっと待って、短パンに着替えるからっ!」
いいな、二人で川遊びか……
少し羨ましくなりながら目を閉じる。
遠ざかっていく二人の声を聞きながらそっと眠りにつく。
★
「水野さんどう、調子良くなった?」
「泉、夕飯食えるか?」
真実と青海くんが顔を覗き込んでくる。
結構眠ってしまっていたのか、部屋の中は薄暗い。
「……んっ、多分もう大丈夫…かな」
ゆっくり起きようとすると青海くんが起き上がるのを手伝ってくれた。
「急がないでいいよ。立てる?」
青海くんの手は暖かくて、何だかホッとした。
気分はすっかりいいようだ。
そう伝えると二人は安心したように笑った。
「ちょっと川行ってきたんだけど水が気持ちよかったよ。明日は一緒に行こう?」
青海くんは私の手を引きながら楽しそうに話してくれる。
自然と手を繋いでいた事に気づくが手を離すタイミングが分からなかった。
キッチンに着いて、青海くんもそれに気づいたのか照れたように笑った。
「あっ、ごめんねっ」
私は首を振り、青海くんに微笑みかける。
「もうすっかり調子いいみたい。お腹空いちゃったね」
そう言うと青海くんは嬉しそうに笑う。
「さっき少し見せて貰ったんだけど夕飯美味しそうだったよ!!信州サーモンっていうのがあるんだね!」
今年は何だか賑やかで、楽しい休暇が過ごせそうだ。
自然と顔が綻んで、笑顔になった。
青海くんが顔を覗き込んでくる。
「うん、毎年こうだから気にしないで。……少し休めば良くなるから……」
青海くんが私を支えるようにそばに立ってくれたのでそのまま手を借りて部屋まで連れて行って貰った。
「外の空気吸うと少しはいいかもしれないから窓開けとくよ」
青海くんは私がベッドに横たわると窓を少し開けてくれた。
涼しい風がすうっと部屋に入ってくる。
「後でまた来るね。少し寝た方がいいよ」
青海くんはそっと私の背中を撫で、部屋から出ていった。
山道をドライブするとどうしても酔ってしまうな……
標高の高い場所にあるこの別荘は夏場涼しくて過ごしやすかったが、なにぶん山奥にあったため、途中の山道があまり良くない。
毎回酔い止めを飲んで眠ってしまうようにはしていたのだがこればかりは治りそうになかった。
「おい透、ちょっと外に出てこようぜ、川の水が冷たくて気持ちいいぞ」
廊下で真実の声が聞こえた。
「あ、ちょっと待って、短パンに着替えるからっ!」
いいな、二人で川遊びか……
少し羨ましくなりながら目を閉じる。
遠ざかっていく二人の声を聞きながらそっと眠りにつく。
★
「水野さんどう、調子良くなった?」
「泉、夕飯食えるか?」
真実と青海くんが顔を覗き込んでくる。
結構眠ってしまっていたのか、部屋の中は薄暗い。
「……んっ、多分もう大丈夫…かな」
ゆっくり起きようとすると青海くんが起き上がるのを手伝ってくれた。
「急がないでいいよ。立てる?」
青海くんの手は暖かくて、何だかホッとした。
気分はすっかりいいようだ。
そう伝えると二人は安心したように笑った。
「ちょっと川行ってきたんだけど水が気持ちよかったよ。明日は一緒に行こう?」
青海くんは私の手を引きながら楽しそうに話してくれる。
自然と手を繋いでいた事に気づくが手を離すタイミングが分からなかった。
キッチンに着いて、青海くんもそれに気づいたのか照れたように笑った。
「あっ、ごめんねっ」
私は首を振り、青海くんに微笑みかける。
「もうすっかり調子いいみたい。お腹空いちゃったね」
そう言うと青海くんは嬉しそうに笑う。
「さっき少し見せて貰ったんだけど夕飯美味しそうだったよ!!信州サーモンっていうのがあるんだね!」
今年は何だか賑やかで、楽しい休暇が過ごせそうだ。
自然と顔が綻んで、笑顔になった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。
しかし、仲が良かったのも今は昔。
レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。
いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。
それでも、フィーは信じていた。
レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。
しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。
そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。
国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる