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ライラの視点がしばらく続きます。
お付き合いください。
-----------------------------------
エルの淑女の礼はとても美しかった。
最後まで私を貴族の友達として扱ってくれるエルがエルらしいしかった。
エルはいつも眩しかった事を思い出す。
素直で家族や友達からも愛されていた。
人を疑う事や人を妬む事なんて知らないみたいに、私にとってまるで御伽噺のお姫様のようだった。
私の生まれる前にお父様の事業が成功し、国に貢献した事で一代限りの男爵の爵位を賜った。
私にとってそれは、ただのお飾りにすぎなかった。
どんなにステキなドレスを着ていても、成り上がり、とよく陰口を言われた。
聞こえるように言うのだから陰ではないかも。
そんなことを言われても、気などしなかった。
自分は爵位があろうが無かろうが関係なかった。
だって、エルとジェラールはいつも一緒にいてくれたから。
それがどんなに心強くて嬉しい事だったか二人はわかっていただろうか。
2人がいればそれでよかった。
時が私たちを大人に導くその中で、ジェラールが時々少しだけ疲れた顔をするようになった。
どうしたのか聞けば、なんでもない、といつもの笑顔で返してくれた。
そんな事がしばらく続いた頃、私たちは、ルルラ湖へ行く事になった。
ルルラ湖はジェラールの家であるコーベンヌ伯爵家の所有している領地のすぐ近くだったが、危ないからと行く事を禁止されていた。
何度も行きたいと3人でお願いして、少しだけ背が伸びた私たちにやっと許可は下りた。
でも、3人でルルラ湖へ行く事は叶わなかった。
それは、何度も来た事のあるコーベンヌ伯爵家の所有している領地にある別荘に3人で泊まった朝におきた出来事のせいだった。
その出来事をエルが忘れてしまったから、その出来事を口にする事を禁止された。
そして、それを境にジェラールのエルを見る目が変わった、と私は感じていた。
それまでしていた疲れた顔は、どこか鋭くなった。
そして、ジェラールのお父様であるコーベンヌ伯爵の事業の手伝いを始めたから、忙しいそうでなかなか会えなくなった。
エルも淑女教育が始まったとかで、やっぱり会えなくなった。
私は貴族に嫁ぐ事はない。
どうせ一代限りの貴族の娘なんてだれも相手にしない事はわかっているから。
相手にするのは今にも潰れそうな貧乏貴族、つまりお父様のお金が目当てだ。
そんな人になんて行くのは嫌だし、お父様も爵位には、拘っていない。
この国で同じ仕事をしている人はあまりいないので、爵位を持ってる、持っていないは職種的にあまり関係ないらしい。
それでも、貴族との付き合いを邪険にはできず、お父様の付き合いで夜会には顔を出していた。
エルもジェラールもいない夜会はつまらなかった。
その日も、一通りのあいさつ回りをお父様とした後、庭に面したバルコニーへと出た。
会場にいてダンスなど申し込まれる事はある。
しかし、お飾りの爵位を持つ娘など一夜の相手にしか見えないらしいから、こっちも相手にしなかった。
ふと見れば、続きのバルコニーの先に人影が見えた。
会場の明かりが時折漏れる。
それに照らされた時に見えたのは、正装したジェラールだった。
久しぶりに会えた事がうれしくて、足を向けた。
ボソボソと話し声が聞こえる。
邪魔にならないようにそっと近づいた。
話し声が聞こえなくなったら、声をかけようと近くまで寄ると、ジェラールがポケットから黒い小瓶を出し、それを男の人に渡しているのが見えた。
なんだろうと、それに気を取られてしまい、足元にある小石に気がつかなかった。
パチっと私の足元から鳴る。
小さく比較的堅くない石だったみたいで、私の靴の下で崩れてしまったみたい。
その音に気がつき私を振り向く顔は、ジェラール他に男女が1人ずつ。
とても驚ろかせてしまったようで、3人の目が見開いていた。
とても申し訳ない気持ちになって、口を引き結んでちょこんと頭を下げる。
2人は心配そうな顔をジェラール向けた。
誰かはわからない、私たちよりずーと年上男性と、よく夜会で見かける色恋の噂が耐えないご婦人だった。
その男性の背を押し、立ち去るように顎で促すジェラールが、とても大人に見えた。
2人がいなくなった事をこれ幸いとジェラールに近づく。
「仕事の話し?」
「・・・関係ないよ。」
「そうだけど・・・」
なんか、素っ気無い・・・。
襟を正し会場へと戻ろうとするジェラールの背に声をかける。
「さっきの小瓶・・・なに?」
立ち止まってゆっくりと振り向くジェラールはなんだか無表情。
お付き合いください。
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エルの淑女の礼はとても美しかった。
最後まで私を貴族の友達として扱ってくれるエルがエルらしいしかった。
エルはいつも眩しかった事を思い出す。
素直で家族や友達からも愛されていた。
人を疑う事や人を妬む事なんて知らないみたいに、私にとってまるで御伽噺のお姫様のようだった。
私の生まれる前にお父様の事業が成功し、国に貢献した事で一代限りの男爵の爵位を賜った。
私にとってそれは、ただのお飾りにすぎなかった。
どんなにステキなドレスを着ていても、成り上がり、とよく陰口を言われた。
聞こえるように言うのだから陰ではないかも。
そんなことを言われても、気などしなかった。
自分は爵位があろうが無かろうが関係なかった。
だって、エルとジェラールはいつも一緒にいてくれたから。
それがどんなに心強くて嬉しい事だったか二人はわかっていただろうか。
2人がいればそれでよかった。
時が私たちを大人に導くその中で、ジェラールが時々少しだけ疲れた顔をするようになった。
どうしたのか聞けば、なんでもない、といつもの笑顔で返してくれた。
そんな事がしばらく続いた頃、私たちは、ルルラ湖へ行く事になった。
ルルラ湖はジェラールの家であるコーベンヌ伯爵家の所有している領地のすぐ近くだったが、危ないからと行く事を禁止されていた。
何度も行きたいと3人でお願いして、少しだけ背が伸びた私たちにやっと許可は下りた。
でも、3人でルルラ湖へ行く事は叶わなかった。
それは、何度も来た事のあるコーベンヌ伯爵家の所有している領地にある別荘に3人で泊まった朝におきた出来事のせいだった。
その出来事をエルが忘れてしまったから、その出来事を口にする事を禁止された。
そして、それを境にジェラールのエルを見る目が変わった、と私は感じていた。
それまでしていた疲れた顔は、どこか鋭くなった。
そして、ジェラールのお父様であるコーベンヌ伯爵の事業の手伝いを始めたから、忙しいそうでなかなか会えなくなった。
エルも淑女教育が始まったとかで、やっぱり会えなくなった。
私は貴族に嫁ぐ事はない。
どうせ一代限りの貴族の娘なんてだれも相手にしない事はわかっているから。
相手にするのは今にも潰れそうな貧乏貴族、つまりお父様のお金が目当てだ。
そんな人になんて行くのは嫌だし、お父様も爵位には、拘っていない。
この国で同じ仕事をしている人はあまりいないので、爵位を持ってる、持っていないは職種的にあまり関係ないらしい。
それでも、貴族との付き合いを邪険にはできず、お父様の付き合いで夜会には顔を出していた。
エルもジェラールもいない夜会はつまらなかった。
その日も、一通りのあいさつ回りをお父様とした後、庭に面したバルコニーへと出た。
会場にいてダンスなど申し込まれる事はある。
しかし、お飾りの爵位を持つ娘など一夜の相手にしか見えないらしいから、こっちも相手にしなかった。
ふと見れば、続きのバルコニーの先に人影が見えた。
会場の明かりが時折漏れる。
それに照らされた時に見えたのは、正装したジェラールだった。
久しぶりに会えた事がうれしくて、足を向けた。
ボソボソと話し声が聞こえる。
邪魔にならないようにそっと近づいた。
話し声が聞こえなくなったら、声をかけようと近くまで寄ると、ジェラールがポケットから黒い小瓶を出し、それを男の人に渡しているのが見えた。
なんだろうと、それに気を取られてしまい、足元にある小石に気がつかなかった。
パチっと私の足元から鳴る。
小さく比較的堅くない石だったみたいで、私の靴の下で崩れてしまったみたい。
その音に気がつき私を振り向く顔は、ジェラール他に男女が1人ずつ。
とても驚ろかせてしまったようで、3人の目が見開いていた。
とても申し訳ない気持ちになって、口を引き結んでちょこんと頭を下げる。
2人は心配そうな顔をジェラール向けた。
誰かはわからない、私たちよりずーと年上男性と、よく夜会で見かける色恋の噂が耐えないご婦人だった。
その男性の背を押し、立ち去るように顎で促すジェラールが、とても大人に見えた。
2人がいなくなった事をこれ幸いとジェラールに近づく。
「仕事の話し?」
「・・・関係ないよ。」
「そうだけど・・・」
なんか、素っ気無い・・・。
襟を正し会場へと戻ろうとするジェラールの背に声をかける。
「さっきの小瓶・・・なに?」
立ち止まってゆっくりと振り向くジェラールはなんだか無表情。
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