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視線はクレアスを見たまま、愛おしそうに撫でる手つきは馴れている。
撫でられるクレアスも、まるで初めて触れられる相手ではないみたいに気持ち良さそうに目を細めていた。
違和感を感じる。
人懐っこいクレアスだが、初めての人にはこんなに良い表情を見せない。
馬が好きで乗馬だけは他の令嬢より少々できる自信がある。
確かにこのクレアスは、私も子馬の頃から世話係と一緒に、餌やりやブラッシングをしてきた。
でもそれは貴族の娘らしくない趣味だったので、ごく親しい友人や家族にしか知られてないはず。
公爵はなぜ知っているのだろう。
「ユーゴ公爵。・・・よくいらっしゃいました。ですが、私たちも先ほど領地から戻ったばかりで、出迎えの準備どころか着替えさえしていないありさまです。どうかご無礼を許していただきたい。」
そう言って腰を深々と折るお父様にお母様と私も倣う。
私たちの様子を見守っていたお父様が、頃合を見計らい声をかけてきたのだろう。
「いや・・・。私がエルヴィナ嬢に早く会いたい気持ちを抑えられなくて、無理を通してしまったからです。・・・時間が必要とあらば・・・よろしければ、先にエルヴィナ嬢と話をさせていただいても?」
私だけですか?
2人だけでお話なんて、緊張する・・・。
お父様はおどろいている私を見て、それから目を伏せ公爵に向き直った。
「・・・わかりました。我が家の自慢の庭が見渡せるテラスにお茶を用意させましょう。見晴らしもいいのですが、場所によっては、他の人の目が気になる席もありますのでご注意ください。・・・エル、公爵様の案内を。」
「・・・はい、お父様。・・・公爵様、こちらへ。」
できるなら出直してほしい、という意味を込めたお父様の挨拶を、公爵は強引に親の許しの元、私との接触を進めた。
爵位が上である公爵のお願いを断れるわけが無いのを承知の上で。
お兄様みたいにお仕事ができそうな方だとはわかったが、やり方が強引すぎる・・・。
半信半疑だったお兄様が言っていた結婚の申し込みの話は、本当なのかもしれない。
撫でられるクレアスも、まるで初めて触れられる相手ではないみたいに気持ち良さそうに目を細めていた。
違和感を感じる。
人懐っこいクレアスだが、初めての人にはこんなに良い表情を見せない。
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確かにこのクレアスは、私も子馬の頃から世話係と一緒に、餌やりやブラッシングをしてきた。
でもそれは貴族の娘らしくない趣味だったので、ごく親しい友人や家族にしか知られてないはず。
公爵はなぜ知っているのだろう。
「ユーゴ公爵。・・・よくいらっしゃいました。ですが、私たちも先ほど領地から戻ったばかりで、出迎えの準備どころか着替えさえしていないありさまです。どうかご無礼を許していただきたい。」
そう言って腰を深々と折るお父様にお母様と私も倣う。
私たちの様子を見守っていたお父様が、頃合を見計らい声をかけてきたのだろう。
「いや・・・。私がエルヴィナ嬢に早く会いたい気持ちを抑えられなくて、無理を通してしまったからです。・・・時間が必要とあらば・・・よろしければ、先にエルヴィナ嬢と話をさせていただいても?」
私だけですか?
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お父様はおどろいている私を見て、それから目を伏せ公爵に向き直った。
「・・・わかりました。我が家の自慢の庭が見渡せるテラスにお茶を用意させましょう。見晴らしもいいのですが、場所によっては、他の人の目が気になる席もありますのでご注意ください。・・・エル、公爵様の案内を。」
「・・・はい、お父様。・・・公爵様、こちらへ。」
できるなら出直してほしい、という意味を込めたお父様の挨拶を、公爵は強引に親の許しの元、私との接触を進めた。
爵位が上である公爵のお願いを断れるわけが無いのを承知の上で。
お兄様みたいにお仕事ができそうな方だとはわかったが、やり方が強引すぎる・・・。
半信半疑だったお兄様が言っていた結婚の申し込みの話は、本当なのかもしれない。
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