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さっきまで私をエスコートしていたティーシル様からの突然の宣言。

こんな事が自分に降りかかるなんて思ってもみませんでした。

頭が働かなくなりました。

思考停止です。

私、驚いております。

私だけではなく、友人たちも。

その静けさを破ったのは顔を青くしたままのルミア・ジュブワ男爵令嬢でした。

「エミリエンヌ様、申し訳ありません。」

そう言って思いっきり頭を下げられました。

「ルミー!君は謝らなくていい!そのためにここに連れて来たわけではない。悪いのは僕だから。」

…安いお芝居を見せられている気持ちがしてまいりました。

友人たちもお互いに顔を見合わせて、そして当事者の私たちを困った目で伺っているのを感じます。

どうしたらいいのかしら、と黙っている私にティーシル様は痺れをきらされたようで。

だって、ここで何かを言って、後々問題になっても困るもの。

能ある鷹は…ですわよ。

「エミリエンヌ、お前は理解したよな?この後のことは、明日以降、処理させてもらう。…兄とでもよく相談しろ。それでは、失礼。」

小父様…ルゥグホン侯爵ではなく、兄?

兄ってベルナルダンお兄様とよく相談するの?

ティーシル様はご友人たちとルミア・ジュブワ男爵令嬢と共に去っていきました。

ルミア・ジュブワ男爵令嬢は最後に深く頭を下げすまなそうな顔をしていました。

それでも、ティーシル様の腕に自分の腕を絡めていかれるのは忘れずに。

あまりに自然すぎて、いつもそうしていらっしゃった事がみてとれます。

そういえば、ルミア・ジュブワ男爵令嬢の事をルミーと愛称でお呼びになるのね。

幼い時はベルナルダンお兄様と一緒に、エミリと呼んでくれていたのに。

いつの頃からかエミリエンヌ、と愛称ではなくなっていましたね。



ところで、残された私たちのこの雰囲気をどうしてくれるの?




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