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6:栽培バグと草原付き一戸建て(仮)

738:ポテフィール・カーニバル開幕?

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 そこは巨大な平机と、応接セット一式で構成された一画。
 山積みにされた書類と、小さな木箱。
 ソレを次から次へと選り分けるのは――
 冒険者ギルド受付嬢……やや膨よかな体型の、女性だった。

「こんな有様で大変、お恥ずかしい限りでございます。私、アリゲッタ辺境伯領現当主、ポテリュチカ・アリゲッタと申します。以後お見知りお――」

 おれたちの方を向いたから、手元が狂ったらしく――
 うずたかく積み上がった木箱が、崩れ落ち――

「危ねぇ! 迅雷ジンライじゃなかった、烏天狗!」
 ふぉん♪
『>>了解しました』

「「にゃみゃぎゃにゃぁーん」」
 平机へ飛び込む二匹の、猫の魔物風シシガニャン
「あぁ!?」
 てめぇ、おにぎりっ!
 何処行ってやがった!?

 ぽきゅ、ぽきゅり♪
 木箱を支え、見つめ合う猫の魔物風。

「ぶふふうっ――――あいたっ♪」
 心の琴線に触れたリオが、くの字に折れ曲がり――
 近くの柱に頭をぶつける。
 そんな、面白い光景を前に――

「「御使いさまっ♪」」
 平たい木箱を押さえる、二匹の強化服シシガニャンに――
 飛びつくのは、土地の長である受付嬢ポテリュチカと――
 神官女性ナーフ・アリゲッタ。

 アリゲッタ家、縁の連中はみんな――
 毎年手伝いに、かり出されると聞いている。

「ひゃぁ、御使いさまが二匹に増えたっ!?」
 辺境伯領現当主さまが、腰を抜かし――
「みゃんぎゃぁー♪」
 黄緑色の方が、掬い上げるように両手で抱えた。

   §

「では僭越ながら、私にもお手伝いさせて下さい。早速ですが財務会計の担当者への御目通りを――」
 そんなリオレイニアの言葉に――
 手を挙げ関係書類を差し出す、ポテリュチカ嬢。

「はぁ、ご当主自らが管理するのは、それも良いことですが、この領の規模の財務をお一人でこなすのは、いささかオーバーワークでは有りませんか?」
 これは……閲覧させて頂けるのでしたら、そうですね。

「2時間下さい。今期分の損益の概算と予算案を――」
 リオの袖を引くのは守銭奴……星神茅野姫だ。

「くすくす、私でしたら、30分は掛かりませんが
 手には二つの計算魔法具。

「そういうことでしたら、私はギルド支部の書類を受け持ちますわ、担当者の方はどちらに?」
 そんなリカルルの言葉に――
 手を挙げ関係書類を差し出す、ポテリュチカ嬢。

「まさか、この規模の支部の仕事をお一人で?」
 渡された書類の束。
 その数枚をざっと確認した、矢張り受付嬢姿の辺境伯ご令嬢が――

「ふぅ、仕方有りませんわね。いま手の空いたギルド職員を連れてきますわ」
 そういって、女神像へと取って返すリカルル。

 いま、女神像にはお猫さまが例の、外付けの扉を取り付けている。
 アレを使えば央都の大講堂へ戻れる。
 おそらくはオルコトリアでも呼びに行くんだろう。
 ちなみにタターとストラは、大森林村に居る。
 ファロコの妹の様子が落ち着き次第、合流することになっていて――
 ソレまでの間、オルコは二人と他の大人たちの護衛がてら骨休めをすると言っていたのだが。

「こっちのは、薬草か?」
 体に良い草のことなら、前世の知恵と、今世の薬草師スキルでわからないことは無い。
「はい、農閑期に出来る仕事として、ポーション作成を計画しています。こちらが各薬草の分布図と――」
 またもや手を挙げ関係書類を差し出す、ポテリュチカ嬢。

 そんなのが続くこと約16人分。
 図らずも各種の手練れを配した、おれたちが――
 束になって漸く、平机の一画に空きが出来た。

「ふぅ、呆れました。アリゲッタ辺境伯家の若き当主は才覚に溢れた方だと、聞いてはいましたが――」
 あのリオが人の才覚で、恐れ戦くとはな。

「あぁ、こりゃ相当だぜ」
 おにぎりと虎型の阿山を撫でては撫で返される――
 ビステッカの姉とやらは、とんでもない才女だ。
 その幅広い才能はリオレイニアをも、越えているかも知れない。
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