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5:大森林観測村VSガムラン町

718:大森林保全組合本部詰め所女神像の間にて、兵站と慣用句

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「じゃぁ、どうする? ここに居るかおぶれだけで、討伐とうばつ出来できるだろ?」
 なんせ、いくさ場で会いたくね・・・・・・・・・・ぇ手合ばかりが・・・・・・・これだけ集まっている・・・・・・・・・のだ。

 まず人類最強おかみさんや、ソレよりも最強さいきょう元宮廷魔導師しょうかいちょうが居て――
 魔王まおう|(生物せいぶつ)をたおしたリカルルも居るし、ソレを差し・・たおした従者リオまで居る。
 勇者のなり損ないニゲルや、かねさえ入れりゃなんでも出てくる魔法具箱まほうぐばこ使つかそんちょうなんかも居るし――
 伝説の悪女ロットリンデに、屈強くっきょう髭達磨ノヴァドたちに、此処ここからだって大森林の端バリアントねらえる少女タターとソレをささえる一本角の鬼族オルコトリア

 ふぉん♪
『>>それにレベルカンストのスキルお化けと、お化け狐じゃなかった、お稲荷さまも居るってことわさぁ』
 化け化けうるせぇ、居たらどうしたぁ?

今夜こんやわぁ、変異種バリアントとぉもりのぉ幸詰合さちつめあわせおぉー使つかったぁ超晩餐会ちょうばんさんかい! りゃくして〝もりパ〟を開催かいさいしまぁすぅー! わぁーぁ、ドンドンパフパフー
 はぁー、仕方しかたがねぇ。食えるやつかぎるが、これまでたおした変異種バリアントは、どれもうまかったからなぁ。
 けど、今日きょうまつりは〝タコゥパ〟じゃねぇのか。
 〝モ立派りっぱ〟……なに立派りっぱなんだぜ?

「それはそれは――うでが鳴りますわねー、クスクスクス
 だからはじくなはじくな、計算魔法具けいさんまほうぐをよぉ。
 おれは人数分以上にんずうぶんいじょう椅子いすを、ガタガタガタタタンッとならべ、そのひとつに腰掛こしかけた。

「そーですわね。今頃いまごろ王都おうとやガムランちょうで、討伐隊とうばつたい編成へんせいされてるでしょうけれど――」
 リカルルがストンと、椅子いすすわると――
 まわりのみんなも、手近てぢか椅子いすこしろす。
 取らぬ変異種へんいしゅ皮算用かわざんようはじめた、神々かみがみどもを無視むしして――会議はなしすすむ。

「はい。大森林内部だいしんりんないぶ様子ようすは、まだ報告ほうこくしていませんので、最寄もよりの女神像めがみぞう……おそらくはレイドむら転移てんいしてくるのに30ぷん、それから山道やまみち行軍こうぐんしロコロむら辿たどり着くのは――はやくても、三日後みっかごくらいではないかと」
 テーブルうえ表示ひょうじされる、大森林だいしんりん地図ちずを見つめ、概算がいさんを出すリオレイニア。

三日みっか、うぬぅ!?」
 それだけの時間じかんが過ぎたら、時間じかんともからだ成長せいちょうさせる変異種バリアントおおきさが――
 どれくらいになるのか、見当けんとうが付かん。

「そうだぜ、おれたちは平気へいきだが並みの兵士へいしじゃ、よろいを着てこの秘境・・・・わたれんぞ?」
 ガァンと愛用あいよう膝当ひざあてをたたく、ノヴァド。
「そうだな、さらにここからぐん派遣はけんするのに、一週間いっしゅうかんはみておかねぇとな?」
 テーブルはし手甲てっこうでガンとたたく、ワーフ。

 髭達磨ドワーフぞくたちの言うことも、もっともだ。
 ここ〝大森林だいしんりん観測村《かんそくむら》④ファローモのお宿やど|(かり)〟は、その名のとおり――
 大森林だいしんりんエリアのもっとけわしい、もりおくにある。
 当然とうぜんうまはしれるような、たいらなみちなど無い。
 というか〝大森林だいしんりん観測村《かんそくむら》②ロコロむら〟と〝大森林だいしんりん観測村《かんそくむら》③モフモフむら〟のあいだには、獣道けものみちすら無い。
 そんなところ大軍たいぐんあるいてくるのは、正直無理しょうじきむりだ。

「ニャッフッフッフッフ――そのための、魔法杖操作まほうつえそうさけた第四師団長ミラカルカひきいる、第四師団だいよんしだんだニャー……と言いたいところだけど、魔法杖まほうつえ全軍ぜんぐんを引くためには、馬車を使う・・・・・ニャ』
 意気揚々いきようよう魔導騎士団まどうきしだん説明せつめいはじめたミャッドの撫でがたが――ストンと落ちた。
「はい。馬力ばりき速度そくど両立りょうりつする特殊とくしゅ魔法杖まほうつえを駆る第四師団だいよんしだん彼女ら・・・をもってしても牽引時けんいんじ高度こうどは、せいぜいシガミーさんの身長しんちょうほどになってしまうかと」
 おれのあたま平手ひらてを乗せ、まゆをハの字にするマルチヴィル。

 ふぉん♪
『>>大人数の兵隊を一度に森越えさせる術は、無いようです』
 そうらしいな。
 馬車ばしゃか……王女ラプトルがが乗ってた四つ足の馬車・・・・・・なら、もりすすめるだろうが――
 ふぉん♪
『>>はい、戦略単位の部隊を一度に運搬出来るほど、数があるとは思えません』
 だよな。

大森林だいしんりん直接転移出来る・・・・・・・大講堂だいこうどう転移扉てんいとびらは、まだ一般いっぱんへは開放かいほうしていませんからねぇ――クスクスプー
 守銭奴さまカヤノヒメ一瞬躊躇いっしゅんちゅうちょしたあとで、計算魔法具けいさんまほうぐ前掛けエプロン物入れポケット仕舞しまった。

「いろいろ面倒めんどうだぜ。王都おうととガムランちょうのギルドには、此方こっちなんとかするって言っといてくれ」
 受付嬢いけつけじょうたちとメイドと奥方いくがたさまが居るあたりへ、そうこえを掛ける。
 もう時間じかんがねぇから、おれが仕切しきらぁ。
 なん変異種バリアントどもは、こうしてるにもスクスクとそだってやがるのだ。

「そうね、リカルル手伝てつだって!」
 オルコトリアがリカルルを引き連れ、女神像めがみぞうへ駆けていく。

奥方おくがたさま、いえ辺境伯へんきょうはく名代みょうだいさま。このままはなしすすめても、よろしいでしょうか?」
 おうかがいを立てる、リオレイニア。
「はぁい、一向いっこうかまいませんよぉ――コココォォォォン!」
 くちからほそほのおを吐く、ルリーロさま。
 ヴッ――――ガッシャン!
 魔法杖ルードホルドを出すな出すな、気がはやい。
 ぶわっさわっさと、ふと尻尾しっぽを振りまわすコントゥル夫人ふじん

 たたえるは、月影つきかげ双眸そうぼう
 昼日中ひるひなかには見えぬはずの――つきひかり
 いつまでも見つめていると、いつぞやの遺恨いこんくすぶりだしそうだぜ。
 おれは椅子いすごとからだの向きを変えた――ガタン!
 向かいには饅頭まんじゅうかじる、森の主さまファローモ

「そうだぜ、この変異種バリアントどもの、くわしいことはわからんのか?」
 そうたずねると森の主ファローモひとみが――ギュギュッ!
 『(Θ_Θけもののめ)』になった。
 つのこそ生えてねぇが、の目になられると、一気いっき近寄ちかよりがたくなるな。
 どうしたってつのを生やしたおとこ姿すがたとか、やまよりもおおきな鹿しか姿すがたおもい出しちまう。

@かい界から見て、あかつきのぼほう、そしてあおつきしずほう。そこに『()[゚H゚]()』と『(()´)』のふたつの樹界虫きかいちゅうが見えますか?」
 あのけものの目は、おれのかおを見ているようで、そのじつ、〝樹界きかいとやら〟を見ているのだろうが――

「ん、いまなんて言った?」
 良く聞き取れなかった。

@かつきのぼほう、そしてあおつきしずほうですか?」
「ぎぎっる?」「ぎゅる?」
 くびかしげる、森の主母娘ファローモおやこ

「そのあとだぜ」
「『()[゚H゚]()』と『(()´)』のふたつの――?」
「ににた?」「りりら?」
 さらにくびかしげる、森の主母娘ファローモおやこ

矢張やはりまるで、聞き取れん!」
 迅雷ジンライわかるか!?
 ふぉん♪
『>>いいえ。未知の言語による、未知の慣用句のようです』
 駄目だめか。じゃぁ、おにぎりは?
 さっきまで、そのへんかべたたいてあそんでたが――居やがらねぇ!

 ふぉん♪
『>>〝哺乳類形態音素解析〟もしくは〝鯨偶蹄目シカ科形態音素解析〟に類するスキルの収得を試みますか? Y/N』
 わからん、ちょっと待て。

 ゴロン――ゴチン!
 珍妙な女ファローモが、からになったどんぶりを持ち上げて――
 ひっくりかえした。
「ぎゃふん
 テーブルあたまから落ちる、美の女神御神体いおのはらごしんたい

 ふぉん♪
『シガミー>>お前さまも、遊んでないで話に参加しろや。一刻の猶予もないだろうが』
 そうだろうが。
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