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5:大森林観測村VSガムラン町

699:料理番の本懐、女神に加護と蟹の天敵

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 ガッ、ゴゴォン――!?
 鉄下駄てつげたを鳴らし、まどから飛び出せば――「ギュギヂヂッ!」
 ちょうでけぇはさみを持った青蟹あおがにと、直ぐに出くわした。

 おどしのつもりなのか、おおきなはさみひらき――
 左右さゆうおおきく、振ってやがるぜ。

 気圧けおされてる、場合ばあいじゃねぇ。
 ゴガッガガガッ――鉄下駄てつげたを、踏み鳴らし――
 一気いっき間合い・・・を詰めた――が。

 ガキャカチャカチャッ――!
 残像かげのこし、姿すがたをかき消す――大蟹おおかに

かにってなぁ、此処ここまではえぇもん、だったかぁ!?」
 前世ぜんせさわや、今世こんせのフカフ村村長箱むらそんちょうばこ
 其処そこに居たやつら・・・は――
 たしかに、ちょこまかと……してたかもしれねぇが。

 ボボボッ――ググゥン!
 おれは勘所よかんだけで、地に伏せた。
 突き込まれる、三連さんれん鋏撃はさみ――からの、なぎ払い・・・・

 ガァンッ――フォォゥン!
 地を蹴り咄嗟とっさに、空中ちゅうを舞うおれ。
 はさみが、背中せなかすれすれを、とおり過ぎていく。

 あぶねぇっ、強化服きょうかふくを着てたら――
 でかいあたまはさみが、ぶち当たってたところだっ!

 ォォォオ――――ギャギッ、ドガンッ!
 鉄下駄てつげた一本歯いっぽんばに――避けたはずのはさみが、ぶち当たった・・・・・・
「(気をつけて下さい。このかに思考速度しこうそくどは、異常いじょう)」

 ぐるんぐるるるるん――舞うおれ。
「うぉぉぉおおぉぉぉぉおっ!」
 ドゴッガァン!
 かろうじて四つあし手甲てっこう下駄げたの歯を――ゴバキャッ!
 かた地面いわに突き立てた!
 こりゃ、手甲てっこうだけじゃなくて、膝当ひざあても居るぜ。

 かろうじてたたき付けられずに、済んだのは――
 五百乃大角いおのはらのため、ひいては女神めがみ食材調達めしのために――
 尽力じんりょくしているから……なのかも知れなかった。

「(いまこいつはさみ開けて・・・下駄かかと爪先つめさきを――無理矢理当むりやりあてたぞ!?)」
 刹那せつなを見ててき爪弾つまはじくなんざ、本当ほんとう異常いじょうだぜ。

 力任ちからまかせに――シュッカァァァァンッ!
 振り下ろした太刀たちを――ガガギィィィンッ♪
 きっちりとはさみに、つかまれた!
 このあおかにわぁ、はやくておおきくてかたくて――
 そのうえちからまで、尋常じんじょうでなくつよかった!

 ギリギリギリギリリッ――――畜生ちくしょうめぇ!
 ガチガチガチガチチッ――――ブクブクブクッ!
 鉄下駄てつげたじゃ無かったら、地をつかめずに――
 からだごと持ち上げられてたぞっ!

 ギリギリリッ、ガチガチチッ!
 しくじったぜ!
 久々ひさびさ打ち物ながいかたなに、浮かれてたらしい。
 この体格差たいかくさは、やべぇ。
 刹那すら、目をはなせなくなった。
 なんせ、大青蟹おおあおがには――二刀流にとうりゅうだ。

 ボッフォッ!!
 おれは片足かたあしを振り上げ――『≧[゚_゚]≦▼――ピピピッ♪
 おくれて表示ひょうじされる動体検知むしのしらせ――わかってらぁい!

 ガッギィィンッ!
 鉄下駄てつげたの歯で、突き込まれた蟹鋏かにばさみちいせぇほうを受け止めた!
 蟹鋏はさみ大小だいしょう、どちらを喰らっても――給仕服きゅうじふくつらぬかれることはない。
 ないのだが矢張やはり、虎型とらがただけは着てくるんだったぜ。
 なんせ、こんな姿すがたを見られたら――リオレイニアにおこられる。

「ブクブクブクブクッ?」
 かにかにか……文句・・を言った。
 なにを言ってるかはわからんが……いや。
 「其れが貴様きさま渾身こんしんか?」てなかんじのことを言ったのが、わかる。

なんだとぉ!? 貴様きさまこそ、ばん食卓しょくたくならべてやらぁ!!!」
 ギリギリリッ、ガチガチチッ!
 ギリギリリッ、ガチガチチッ!
 ギリギリリッ、ガチガチチッ!

「ウカカカッ――覚悟かくごしやがれっ!」
 ギリギリリッ、ギリギリリッ!
「ブクブクブクブクッ!」
 ガチガチチッ、ガチガチチッ!

 せめて太刀これ錫杖しゃくじょうだったなら、はさみにつかまれるのを覚悟かくごで――
 仕込み直刀かたな抜く・・こともぉ、出来できたんだが!


 ひゅるるるうぅ――――ぼごん♪

「にゃにゃにゃぁー
 強化服自律型シシガニャンおにぎり一号いちごうの、たのしげな鳴きごえ
 はず酢蛸すだぁこを投げるその輪郭かたちが、画面モニタあらわれたが――
 みょうちいせぇなぁ――ええと?
 小地図MAP倉庫そうここわれた屋根やねへりに、居やがるな。

 耳栓越みみせんごしの光の紋様がめんひょうじは、強化服きょうかふくのとくらべると――
 正面側まえにしかあらわれず、うつし出される分量ぶんりょうすくない。

 ふぉん♪
『シガミー>>ばかやろう、おれに当たるだろうが!』

「ブクブクブクブクブクッ――――!?」
 うえを向いて目を伸ばす、大青蟹おおあおがにすきを突いて――ッギャリッ!
 りょうはさみをすり抜け――ガガガン、ズザザザザァァッ!!!!
 かに八本足はっぽんあしあいだを、くぐり抜けた!

 ズドゴロゴロロロズドゴロンッ♪
 猪蟹屋うち給仕服せいふくすげぇ。
 岩肌いわはだころげたくらいじゃやぶけねぇし、擦りきずも打ち身もしねぇ。
 ビロロロロッ――すこ制服せいふく仕込しこんである機械腕プロダクトアームが、減っちまったが。
 それだって、こうして〝機械腕弾倉プロダクトアームマガジン〟を取り替えりゃ、元通もとどおり――カシュッ、ギャキ、チチピ♪

 ガッチィィン♪
 目前がんぜんせまった巨大きょだいはさみ閉じて・・・火花ひばなはなった!

 ――――ィィイィィィィィィィィィィィイィンッ!?
 ビロロッブブー♪
 いやおとがして、取り替えたばかりの機械腕かいなが、一息ひといきぜろになったことを知らせてくる!
 ズドゴロゴロロロズドゴロンッ!
「痛ってぇぇぇぇぇっ――――!!!!!」
 吹き飛ばされるおれ。
 やべぇ、大青蟹おおあおがに野郎やろうめ!
 まだまだ余力よりょくのこしてやがったぜ!

「(やい、迅雷ジンライ! かにつかまえて食うやつってなぁ、なんだぜ?)」
 うさぎを狩る鳥狩とがり……たかみたいなのは、居ねぇのかぁ?
 もう、其奴そいつを連れてでも来ねぇと、勝てる気がしねぇ!

「(一般的いっぱんてきに、かに天敵てんてきは、たことされていま)」
 蛸之助たこだぁとぉぉぅ!?
 その直後ちょくご

「ぶぎゅるるるるるるるうっ♪」
 は? とおくから聞こえてきたのは――
 聴きおぼえがある、ぐねるおと

「なんで蛸之助たこのすけがぁ、ここに居るぅ!?」
 見れば倉庫そうこまどから、ふと赤黒あかぐろ蛸足たこあしが――
 にゅろんと、飛び出した!

「「「「「「「「ぎゃぁ、ぁっ――ぅひ、ゃほーぅ、わ――ピィ、ヂヂッ!!!???」」」」」」」」
 阿鼻叫喚あびきょうかんの、モフモフ村村人むらむらびとたち。
 そんなこえも聞こえてきた。

「なんでって、あたくしさまが喚んだから・・・・・に決まってるじゃないのさ
 ヴォヴォゥン♪
 表示ひょうじされる、五百乃大角いおのはら
 ふぉん♪
『イオノ>>シガミーはバカわの? おバカわのぉ?』

 画面がめんが狭いんだからぁ、出すんじゃねぇやぃ――
 その巫山戯ふざけた『(ఠ_ఠつらぁ)』をよぉ!
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