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5:大森林観測村VSガムラン町

695:料理番の本懐、強化服おさらい

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 ガチャガチャ、ガサササッ――♪
 ガチャガチャ、ガサササッ――♪
 くだけたしお散乱さんらんする岩壁いわかべへ、喜々ききとしてもどっていくかにたち。

「(ふぅ、いまのうちに迅雷ジンライも、強化服とらがたを着ておくか?)」
 迅雷ジンライなら、ひとが着られない〝特撃型とくげきがた〟で済むが――
 回収かいしゅうした虎型とらがたが、もう一着余いっちゃくあまってる。

 強化服とらがたに張りめぐらされた金剛力パワーアシスト迅雷ジンライ機械腕プロダクトアームと、ほぼおなものだから、まるで意味いみは無ぇ。
 無ぇのだが、虎型とらがた模様もようほうが――格好かっこうが良い。

「(そうですね――ですが、下手へた強化服人員シシガニャンを増やすと、我々われわれ人員構成じんいんこうせいから強化服シシガニャン運用状態うんようじょうたいが、露呈ろていする可能性かのうせいがありませんか)」
 モフモフ村村人むらむらびとは、ピヨピヨと……くちかるそうだしな。

「(それなんだけどさぁ、もうリオレイニャちゃんにわぁ、シガミーが烏天狗からすてんぐだってさぁ、ばれちゃってるじゃんかぁ? もうそこまで気にしなくてもさぁ、よくなくなくなぁいぃ)」
 根菜型こんさいがた御神体ごしんたい
 せいぜい片手かたておさまるくらいの、まるっこいやつが――
 あたらしく置いたテーブルのうえを、ごろろところがる。

「グゲゲッ♪」
 風神ふうじんが座り込む大倉庫おおそうこなかには、なにも無い。
 置いてあった木箱きばこなんかは全部ぜんぶ収納魔法具しゅうのうまほうぐに詰め込んだ。
 村長そんちょうに持たせた収納魔法具しゅうのうまほうぐかずは、16ぽんにもなった。
 猪蟹屋うち製品うりものなかでは一番大いちばんおおきなやつだが、迅雷ジンライ収納魔法インベントリや――
 おにぎりに背負せおわせてる収納魔法具しゅうのうまほうぐばこくらべたら――
 たいしてものはいらない。

「(ですが、あきらかにされたのは、シガミーと烏天狗からすてんぐ関係性かんけいせいだけで)」
「(ややこしいわねん。えっと? 〝着るひとが居ないと、強化服シシガニャン運用うんよう出来できない〟――で合ってる)」
 倉庫そうこうしがわ戸口とぐちから――ひそひ、そ、ピ、ョロロッ♪
 途切とぎ途切とぎれの内緒話ないしょばなしが、聞こえてくるから――
 一応いちおう念話ねんわはなしつづける。

「(はい。その前提ぜんていくつがえすのは自律型一号じりつがたいちごうである、おにぎり・・・・だけで)」
 風神ふうじんが、開いたまどの向こう――
 とおくの岩肌辺いわはだあたりを彷徨うろつく、かにどもをじっと見てやがる。
 もっとひろところだったら、風神ふうじんに蹴り飛ばしてもらやぁ――
 一発いっぱつで、ケリ・・が付いたかもなぁ。

「グッケケゲッ――――」
 いつもはせわしない長首ながくびが、縫い付けられたように、動かない・・・・
 念話中ねんわちゅうは、おれたち以外いがい全部ぜんぶが、止まって見えってのもあるが。
「ブクブク――――」
 はさみでつかんだ岩塩がんえんを、器用きようくちはこかにども。
 その一匹いっぴきの目が、此方こっちを向いている。

「(まて、特撃型とくげきがた特撃型改とくげきがたかいは、どういうあつかいなんだったか?)」
 神々かみがみ頓知・・である強化服シシガニャンの、全仕様ぜんしようは――リオやレイダにも、かくしている。

「(現在げんざい自律可能じりつかのうなのは、〝おにぎり〟一体いったいだけで)」
 うん。そうなると、おおっぴらに迅雷ジンライに着せるのは――ひかえたほうが良いのか。
 裏天狗うらてんぐ裏烏天狗うらからすてんぐまで、勘ぐられ・・・・たらぁ――

「(姫さんリカルル奥方さまルリーロに〝天狗の正体・・・・・〟が、迅雷ジンライおれ・・だとバレかねねぇ)」
 そうすると元々遺恨もともといこんのこる、妖狐ルリーロばけぎつねと――
 最近遺恨さいきんいこんのこした、狐娘リカルルそのむすめ二人から・・・・――

「(((なにをされるか、わからんぞ?)――ないわね)――りませ)」
 ふぅーと、いきいたら――

 目のまえまどの向こうに蟹が居て・・・・――
 まばたきをしたら、姿すがたを消した!

「ふっぎゃぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」
 おののくおれ、猫語ねこごがうるせぇ!

「ヘイヨー、とびらを閉、めとき、ゃやつらは来、れない――ピヨピ、ヨピ、ピョロ、ロロッ♪」
はいっ、てこられな、い安心あんしん、ホー――ピョキョ、キョピチチ、ピーッ♪」
安全快あんぜんかい適素てきすてきうれし、い――ピュチ、チピ、ュチチ、チッ♪」
 身を屈めた村人むらびとたちが、ちかくまでやって来た。
 かに風神ふうじんや、跳ねまわ根菜こんさいおびえつつ――まどから、かに様子ようすうかがっている。

ぶん――♪」「きっ、とメイ、ビー――♪」「ア、イム、シュア――♪」
 ピ、ヨロロ、キョピチ、チ、ピチチッ、チ♪
「おい、おまえら、あんまり風神ふうじんちかくで、カックカクすんな――ニャァ♪」
 いい加減かげんかじられるぞ。

 ヴッ――ぱたん♪
 おにぎりが気を利かせて取り出した、翻訳やくいたぺらを取り返し――
 村長そんちょうに投げてわたした。
 黒板くろいたのまえに使つかってた、シシガニャンの猫語ねこご共用語きょうつうご文字もじにして見せる木板きいただ。

 ふぉん♪
『>風人の前でカクカクすると、囓られるぞ』
 その文字もじを目にした、村人むらびとたちがかおを上げる。
「くきゅぅるるる――――?」
 よだれを垂らす風神ふうじんと、目が合う村人むらびとたち。
 ばたん、ばたん、ばたん――ガチャガチャッ、ころころろ♪
 仲良なかよたおれる、村人むらびととりたち。

 ふぉん♪
『>>モフモ村住人および鳥たちの、バイタルに異常有りません』
「みゃぎゃにゃぁー!」
 倉庫そうこころがる村人むらびとたちを、何故なぜ率先そっせんしてしばり上げる、強化服自律型おにぎり

「だからおまえなにその手際てぎわの良さ?――ニャァ♪」
 よっこいせ――ぽきゅり♪
「どコでおボえてキたのでしょうか
 カチャキャチャ、ガシッ!
「みゃにゃぎゃぁ――♪」
 ぽっきゅむり♪
 おにぎりと迅雷ジンライ手分てわけして、村人むらびとたちをおくの――
 一番安全いちばんあんぜんなところに、立てかけた。

「(対外的たいがいてきには天狗てんぐとしてのわたし虎型とらがた着用ちゃくようする場合ばあいにおいて、強化服運用きょうかふくうんよう可能かのうとなりま)」
 実際じっさいはおれと迅雷ジンライが、天狗てんぐ烏天狗からすてんぐという役者やくを組み合わせて、好きに使つかってきたわけだが。
 あの才女リオレイニア相手あいてに、いつまでもばれないはずはない・・・・・・・・・

「(では、イオノファラーの護衛ごえいとして、使い捨てシシガニャン・・・・・・・・・・わたし操作そうさしましょうか)」
 紙製かみせい使つかい捨て強化服シシガニャンは、このところ使つかってねぇな。
 強化きょうかされた服装ふくそうである、シシガニャンには――

 ひとが着て金剛力パワーアシスト発揮はっきする――虎型とらがた
 SDKすだぁこという発掘魔法具はっくつまほうぐ中に仕込んで・・・・・・演算単位いのち獲得かくとくした――自律型おにぎり
 着られないがシシガニャンどもおなじ、夏毛なつげ毛皮けがわ出来できた――特撃型改とくげきがたかい
 そして紙製かみせいの〝おもち〟や、銀紙製ぎんがみせいの〝耐熱たいねつおもち〟――つまり使つかいい捨て。

 全部ぜんぶ四種類よんしゅるいもの、かたちがある。
 そのなかでも、いま着てる〝特撃型改とくげきがたかい10ごうあらため〝虎型とらがたごうは、おれが黄泉路・・・からもどるときに――
 龍脈りゅうみゃくそこから、拾い上げた物・・・・・・だから愛着あいちゃくというか、からだ一部いちぶのようにかんじている。

 ヴッ――ふすふす、ふすん♪
 紙製かみせいしろい、猫の魔物つかいすてみたいな奴らシシガニャンが――
 大倉庫おおそうことびらを開け、そとに出て行く。

 シュガ、ガギィン♪
 またいきなりあらわれる、かに
 そのはさみに、粉々こなごなにされる使い捨て・・・・ども。

「「「ゥギャー!?」」」
「「「ピヨピーッ!?」」」
 倉庫の奥うしろから、生き返ったきづいた村人むらびとたちの奇声きせいが聞こえてくる。

 ふぉん♪
『>>瞬殺されてしまいましたが、まだまだ生産可能です。多少、身が小さいですが相手にとって不足はありません』
 おう、厨房ちゅうぼうでは逃げられちまったがぁ、今度こんどこそは……仕留しとめてやる。
 あのときのやつとはべつかにだが――
 あじ早々そうそう、変わらんだろぉしなぁ!

「あたくしさまもやりたい、やるます! コントローラー出してよ
 空飛そらとぼうに手を差し出す、いものような御神体いおのはら
 ヴッ、ごとん♪
 取り出されたのは、火縄型ひなわがた魂徒労裏コントローラー

 ふぉん♪
『ヒント>>もちコン/4D超音波フェーズドアレイモジュール付き光源ユニット。照らした使い捨てシシガニャンを操るためのコントローラー』
 かみ出来でき目鼻口めはなくちの無い作業服・・・
 通称つうしょう〝おもち〟をあやつるのに、おれがこしらえたぼうだ。
 かたちは、穴が開いてない・・・・・・・火縄じゅうみたいなかたちをしている。

 ふぉん♪
『>>もちコンはイオノファラーには、おおきすぎるようです』
 もちコンに取り付いた御神体ごしんたいは、軽々かるがるとソレを振りまわしていたが――
 とてもねらさだめられる、かんじじゃねぇ。
 五百乃大角いおのはらを、つかんで止めさせる。

なんわよ?」
 ぼごん――いてぇ、もちコンをひとに向けるんじゃねぇやい。
 虎型ふ号おれひたいに、ぶち当たる火縄型もちコン

 おれは絵で板エディタを取り出して、五百乃大角いおのはらが振りまわすのに――
 相応しい形・・・・・に、つくり替えてやった。

 ふぉん♪
『シガミー>>迅雷、これ何処まで小さく出来る?』
 ふぉん♪
『>>イオノファラーが使用するなら、3Dポインタとして機能すれば良いので、小指の先程度までは小さく出来ます』
 じゃぁ、いつも御神体こいつさまが使つかってるくらいのおおきさで――『作成』

 ヴッ――カララン♪
「ちょっと、これぇ〝先割さきわれスプーン〟じゃんかぁ
 ふぉん♪
『イオノ>>まるであたくしさまがぁ、食いしん坊であるかのようなデザインには、閉口しますがぁ……結構、つかいやすいわよ♪』
 よぅし、気に入ったな?

 じゃぁ、ちょっとあそんで満足まんぞくしたら、仕事・・に掛かってくれやぁ。
 お猫さまロォグさえ喚んでくれりゃ、いくらでもあそんでて良いからよ。
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