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5:大森林観測村VSガムラン町

692:既存エリアへの帰還、姿を現すエレクトロ・モフモ村

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「みゃぎゃにゃぁー!」
 経文合戦きょうがっぜんに勝ち、取っつかまえた村人むらびとあみほどいてやったら――
 何故なぜ率先そっせんして、全員ぜんいんこししばり上げる、おにぎり。

「おまえなにその手際てぎわの良さ?」
「どコでおボえてキたのでしょうか
「せっかくだからぁ、このままぁむらまで案内あんないしてもらおぉじゃないの――ウケケケッ
 またあやしげなまねをされても厄介やっかいだし、〝なんたらむら〟まで――
 このまま、引っ立てることにする。

 ふぉん♪
『>>第三の大森林観測村、エレクトロ・モフモ村です』
 そう、モフモフむらだった。

「イオノファ、ラーさまに――♪」
眷属けんぞくさ、まに――♪」
料理番りょうりばんさ、ま――♪」
 ひもつながれた村人むらびとたちが、緩急かんきゅうの付いた――
 カクカクしたうごきで、ぞろぞろと。

むらの入、りぐち、はこち――♪」
 ガサガサガサササッ――――!
「らで、す――♪」
 しげみにかくされた、おおきな木のうろはいっていく

「ピピョチチッ♪」「チチチチッ♪」「ピョロラー♪」
 こしに下げた鳥籠とりかごが、カラカラと揺れ。
 わめ小鳥ことりたちが、ちょううるせぇ。
「ピョロロロロロロロロオロッ――♪」
 一匹いっぴきだけ一際ひときわおおきなとりが居て、そいつは殿しんがり村人むらびとかたに止まってる。

 ふぉん♪
『>>この大きな鳥を連れた人物が、防衛部隊の要と思われ』
 うむ。生前せいぜんのおれみたいな、役職やくしょくなんだろうぜ。

「ズンズ――♪」「ンチャッチャ――♪」「ッチャ――♪」「みゃに、ゃにゃぁー」「ォゥィ――♪」「ェー――♪」
 そして一緒いっしょつながれさきを行く、なぞ強化服きょうかふく自律型じりつがたおにぎり一号いちごう

 ふぉん♪
『シガミー>>器用なんだか、不器用なんだか。訳がわからんな、おにぎりめ』
 ガッキュゥゥゥンッ――ドズン!
「グゲッゲケケケッ――♪」
 轟雷おれ風神ふうじんを降り、手綱代たづながわりのくさりを引く。

 うろなかどうくつ窟につながっていて、そこそこひろみちは――
 ずっとさきまで、下っている・・・・・

 むらは、まさかの地下ちかにあるらしかった。

   §

「ようこ、そーお、いでくだ、さいましたぁー――ピュチチピュチチチッ♪」
 行き着いたさきには、巨大きょだいもん

「どう、ぞー気、をつけてー、おとお、りく、ださーい――ピヨピヨピヨロロロローッ♪」
 門番もんばんがガゴォンと、仕掛けレバーを跳ね上げると――
 巨大きょだいもんが、ガラガラガラララと持ち上がっていく。

 ふぉん♪
『>>この村には魔導工学の心得がある、鍛冶職人が居るようです。もっともラプトル王女や、ミャッド顧問氏の技術水準には、とおく及びませんが』

 ガリガリガリッ――「痛――ニャァ
 もん上壁うえかべにおれの、復号アンテナ群たくさんのつのが引っかかった!
 相当大そうとうおおきな門構もんがまえだが、さすがに轟雷おれが――
 そのままとおれるほどでは、無かった。

「どれ、仕方しかたねぇ轟雷よろいを脱ぐ――ニャァ
 ふぉん♪
『>>では虎型ふ号は着たままで、村人に相対しましょう』
 そうだなー。

 おれは鉄鎧ごうらい無骨ぶこつ手甲てっこううえから、なかに着ている虎型とらがたの――
 さらに、その手首てくびに巻いた、腕時計うでどけい操作そうさした。
 シュボッ、カシカシカシ♪
 瞼越まぶたごしでも見えるひかり奔流ほんりゅう――におどろき逃げていく、何たら・・・村人むらびとたち。

 ふぉん♪
『>>第三の大森林観測村、エレクトロ・モフモ村です』
 そう、モフモフむらだぜ、モフモフむらぁ。

 チキピピッ♪
 刹那せつな着替きがえが完了かんりょうし、おれは極所作業用汎用強化服シシガニャン虎型とらがたごう〟の姿すがたになった。

「グゲゲッゲッ!?」
 グルルン――ブォォォォンッ!!
 強化服おれ早変わり・・・・に、おどろいた風神ふうじんが――バッチィィィン!
 尻尾しっぽを振りまわした!

 どがっぽぎゅむむん!!
「ぎゃにゃぎゃぁー
「うぎゃっ――!?
 もんへりに突き刺さる、強化服おれたち!

 戦力せんりょくとしちゃぁ、風神あいつもうぶんねぇなぁ。
 図体ずうたいがでかくて建物たてものなかには、そうそうはいれそうもねぇけど。
 それでもむらもんや、そのちかくの建物たてものつくりがおおきくて――
 風神つうじん背丈せたけでも身をかがめれば、とおることが出来できた。

「グゲゲッゲゲゲッ――♪」
 ふぉん♪
『>>恐らく、大きな獲物や大木を搬入するために、門や倉庫の入り口は広くなっていると思われ』
 なるほどなぁ……だれか引っこ抜いてくれやぁ!
 じったばた、ぽっきゅりーん♪

「(みゃにゃぎゃぁー)」
 じったばた、ぽっきゅりーん♪
 おう、言ってやれ、言ってやれやぁ!
 「はやく、引っこ抜かんと、あばれるぞ」ってなぁ!

   §

 がやが――やがやがやぎ――ゃがや――ぎゃぎ――ゃがやぎゃ♪
 騒々そうぞうしさまで、あいだが抜けてやがるぜ。

 むらおおきさは、どれくらいかはわからんが、相当広そうとうひろそうだった。
 対魔王結界たいまおうけっかいくらべたら、天井たかさいくらもねぇが。

 ピヨピヨ、ピョピョピョー♪
 このむら連中れんちゅうは、みんなとりを飼ってた。
 洞窟どうくつでは息が出来ない・・・・・・危険きけん場所ばしょがあるらしくて――
 その身代わり・・・・というか、真っさきたおれちまう小鳥ことりを飼ってたのが、始まり・・・なんだそうだ。

 おれたちで言うところの、動体検知アクティブトラッカーがわりか。

「ヘイヨォゥォ♪ 村長そんちょう、おれ村長そんちょう! 聞きしにまさはたものぉー、イェー!」
 まるではたらものには見えないやつが、カックカクした足取あしどりりでやって来た。

 こしに下げた鳥籠とりかごが、カシャリとひらき――
「ピヨピヨッ――おう、新入しんいりぃ! ピチークパチクー♪」
 自分じぶんふたを開けて、なかから勝手かってに出てきたとりが――
 えらそうに、はなしかけてきた。
 そのとりおおきさは、いままで見たなかじゃ――
 一番小いちばんちいさいが、どういうわけか、一番偉いちばんえらそうだった。

 ふぉん♪
『イオノ>>この鳥さん、なんかムカつくわねん♪』
 おうよ……ばんのおかずは、焼きとりでも良いなぁ。

   §

「このさきがトッカータ大陸たいりくに、通じてる・・・・んだな?」
 おれは強化服きょうかふくあたまを、うしろに跳ね上げている。

「は、いそーで、すイェ、エー♪ 料理番りょうりばんさ、まぁ、ホォー、ォ!」
 れいの「ねこ、の魔物まものおんなの、子が、食べられてる・・・・・・!? たすけ、なきゃ!」のくだりを――
 一通ひととおりやってから、おれたちは大陸本土トッカータ――ロコロむらへのみちたずねた。

「グゲッゲゲゲゲゲッ♪」
 村人むらびとたちは一定以上いっていいじょう近寄ちかよっては来なかった。
 風神ふうじん視線しせんを避け、物陰ものかげからこっちを見てる。

 モフモフむらはいってきたもんから見て最奥さいおくの、そのとびらは。
 とても恐竜きょうりゅうモドキの風神ふうじんが、とおれるようなおおきさではなかった。

自然しぜんのぉ洞窟どうくつおぉー利用りようしてるぅみたいだけどぉー、うみしたとお海底通路かいていつうろにわ――」
「はイ。こノとビらかラしか、行けナいようで
 それはせいぜいが、2シガミー程度ていどたかさしかなく。

「どうしたもんかなぁ、風神おまえを置いていくわけにはいかんよなぁ――」
 おおきなあしを、ぽきゅぽきゅとはたいてやる。
「ぐっきゅるるるっりゅ♪」
 目をほそおおきなあたまを――ドガァン!
 力一杯ちからいっぱい、ぶつけてくる――恐竜きょうりゅうモドキ。

 ころし合いをたとはおもえないほど、なついているように見えるが――
 本当ほんとうところがどうなのか、まるで見当けんとうが付かん。

 ふぉん♪
『>>魔物テイマーLV3を所持していますので、野に放ったとしても呼べば即座に原隊復帰しますが』
 うーむ……一回外いっかいそとに出て、またうみうえ走って・・・わたるしかないか。

「(待ってシガミー。このむらわさぁ、あの謎大陸なぞたいりくにさぁ、一番近いちばんちかわけじゃんかぁー?)」
 そうだが……それがどぅしたぁ?
「(またあそこに行こうってなった場合ばあいにさぁ、この村・・・から出発しゅっぱつするとぉさー)」
「(便利べんりうえに、戦略的せんりゃくてきにも有利ゆうりにことをはこべるとおも)」
 はぁ? おまえらさまめ、随分ずいぶん面倒めんどうなことを言い出しやがって。

 ふぉん♪
『イオノ>>いっそのこと、〝ヴァケモン〟みたいに格納できたら良いのに!』
 はぁ? 化けけものだぁ?
 生きもんわぁ、収納魔法具しゅうのうまほうぐには入れられねぇ・・・・・・だろうが。
 生き物そいつをしまえる収納魔法具しゅうのうまほうぐなんて――村長箱そんちょうばこだけだろ?

「ぅうぅぅうむむむぅ――どーにかしてぇー、ロォグちゃんさえぇー、ココ・・に連れてこられればさぁー、良いわけよねぇん
 不敵ふてきわら根菜いものようなかたちの、美の女神御神体いおのはらごしんたい

 ヴッ――ぽこん♪
 虎型おれかたを、彷徨うろついていたやつが――『(Θ_Θカシャン♪)』
 浮かぶプロジェクションBOTに飛び乗り――ヴォォォォォゥン♪
 風神ふうじん頭兜あたまかぶとこしえられた、女神像台座クレイドルに乗り込んだ。
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