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5:大森林観測村VSガムラン町

663:厨房ダンジョンLV2(裏)、おにぎりのしっぽ

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「おにぎりーっ、もう、おどかさねぇから出てこぉーい!――ニャァ♪」
 こえを張る。子供こどもこえだが、読経どっきょうつちかった、がなりをすれば――
 近くに居た虎型ひ号ビステッカが、みみを押さえてうずくまるほどには――
 大声おおごえを出せる。

「(みゃぎゃにゃぎゃやー)」
 どっかとおくから、こえがしたぞ?

「そういや、おれたちが強化服越シシガニャンごしにしゃべった猫語・・は――おにぎりにわぁ、ちゃんと・・・・聞こえてんのか?」
「ソのハずデす。猫族共用語ねこぞくキょうようごトは若干じゃッかん意味合いニュアンスズレ・・が有ルようですが、基本的きホんてきニは意思疎通いしそツう可能かのウおモわレま
 うーむ。お猫さまロォグ顧問氏ミャッドにも協力きょうりょくしてもらって、そのへんはちゃんとつうじるようにしたい気がするぜ?

 ふぉん♪
『>>ではTODOリストへ』
 〝あとでやることひょう〟が、何頁なんページにもなっていたから――
 『×けす牡丹ボタンを押して、そっ閉じした。

「にゃにゃにゃにゃやーっ――ニャァ♪」
 虎型ひ号ビステッカねこなでごえで、おにぎりのこえがしたほうすすんでいく。
 あーもー、どうして女子供おんなこどもは、ねこ大好だいすきなんだぜ?
 ふぉん♪
『>>わかりかねますが、あの長さに感銘を受けるのではないでしょうか?』
 ながさか……お猫さまケットーシィたしかにからだが、とんでもなくなげえわなぁ。
 おにぎりも、どちらかと言えばはらなげぇか?

 まぁ、きらわれてるよか、余程良よほどよいが。
 かりにゴーレム並みに、おにぎりがきらわれていたら――
 猪蟹屋ししがにやは、とっくのむかしつぶれていたかも知れん。

「シガミーちゃん! 尻尾しっぽ! 尻尾しっぽが見えましたわっ――ニャァ♪」
 無謀むぼうにも、通路あなひとつに飛び込む、虎型ひ号ビステッカ

「はかやろっ――ニャァ♪」
 虎型ふ号おれあとを追って、通路つうろへ。
 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむーん♪

「シガミーちゃん! つかまえましたわよ!――ニャァ♪」
 虎型とらがたごうが、うねる通路あなさきで、うねる何かに・・・しがみ付いていた!

「おまえさんはよくも、そんな得体の知れぬ物・・・・・・・さわれるもんだぜ――ニャァ♪」
 ビビビーといい、此奴こいつといい――どうして、このとしおんなわらしは――
 こうも、こわ物知ものしらずなのか。

 ふぉん♪
『>>まさに、〝怖い物〟を知らないからではないかと』
 ふぉん♪
『シガミー>>うむ。そういうことだなー』

「まったく! よいしょぉ――ニャア♪」
 おれも、ぐねぐねとうねる――
 黄緑色きみどりいろ其奴そいつを、引っ張ってやった!

「(にゃぎゃぁー!?)」
 おにぎりの鳴きごえと――ぽきゅすってんごろん♪
 ころがるようなおとが、通路つうろひびいた。

 その直後ちょくご、ひゅるるるる、ずざざざっ――――!
 素手すでだったら両手りょうてでも、つかみきれないほどのふとさの――
 尻尾らしき物・・・・・・が、すごいきおいいで引っ張られた!

「やべぇ、逃げられる――ニャァ♪」
 おれは、必死ひっしに飛びついた!
 ずざざざざっ、ざざざざざざざざっ――――!!

「シガミーちゃん!?――ニャア♪」
 手をはなwしていた虎型とらがたごうこえが、とおざかる!
 その場に取りのこされた強化服ビステッカへ向かって、おれはあしを伸ばす――ふぉふぉん♪
『>>足の長さ:変えられます
 >伸ばしますか? Y/N』
 ふぉん♪
『シガミー>>伸ばせるだけ伸ばせ!』

「つかまれやぁ!――ニャァ♪」
 ぐん、ぐぅん、ぐぐぅぅうぅーん♪
 伸びる虎型とらがたごうあし

 ずざざざざざざざぁぁ――地をはし尻尾しっぽが、止まる気配けはいはない。

「わっ、まってまってぇー――――きゃっ!?――ニャァ♪」
 ぽっきゅぽぽきゅぽきゅ――がっし!
 かろうじて、おれのあしにしがみ付いていくれたか。
 うしろを見ると虎型ふ号おれあしが、5シガミーほどに伸びていた。

 ふぉん♪
『>>膝下を7メートル、リフトアップしました』
 すざざざざざざざざざあざざぁぁぁぁぁっ――――「きゃぁぁぁぁ!?」
 尻尾しっぽに、引きずられるおれ。
 虎型ふ号おれ伸ばした足・・・・・に、引きずられる虎型ひ号ビステッカ

「ビステッカはちゃんと釣れたから、もうもどもどせ、おもいわぁ!――ニャァ♪」
 曲がりくねる通路つうろに引っかかって、虎型とらがたごう千切ちぎれそうだぜ!

 きゅきゅ、きゅぅぅぅぅーぃん♪
 ふぉん♪
『>膝下のリフトアップを、解除しました』 

 ぼぽぼこむん、ずざざざあざぁぁ!
 虎型とらがたごう通路かべに、ぶつかりまくってる。

「手をはなすなよぉ!――ニャァ♪」
 きゅきゅ、きゅぅぅぅぅーぃん♪
大丈夫だいじょうぶですわぁ!――ニャァ♪」

「し、シガミーちゃん! あし大丈夫だいじょうぶですのっ!?――ニャァ♪」
心配要しんぱいいらん、伸びたのは虎型シシガニャンあしだけだぜ!」
「よかったーですわー!――ニャァ♪」
 かおのない虎柄とらがらやつが、必死ひっしにしがみついてくる。
 ちとこえぇが、振りほどくわけにもいかん。

 ふぉん♪
『シガミー>>この先の様子、おにぎりの状態を確認出来るか?』
 ふぉん♪
『>>現在、高速移動中のため、ドローン展開に必要な空間が確保出来ません』
 駄目だめか。

「おにぎりー、とーまーれーやぁー!――ニャァ♪」
 もう一度いちど、止まれと言ってみる。
 ふぉん♪
『>>今は、おにぎりに引きずられましょう』
 そうだなぁ。

 ずざざざっ、ぽごぎゅむん♪
いてぇっ!――ニャァ♪」
 通路つうろの曲がりかどで揺さぶられ、虎型おれかた尻尾しっぽしたに食い込んじまう。
 こりゃ、駄目だめだ。

大丈夫だいじょうぶ!?――ニャァ♪」
 虎型とらがたごうが、おれのからだうえに、よじのぼった。
 ビステッカが無事ぶじなら、良しとするぜ。
 下手へたうごくと虎型とらがたごうの手を、振りほどいちまいそうだ!

 この通路あな何処どこまで、つづくのか知らんが――
 ながれていくあな路の天井てんじょうでも、ながめるとするぜ――
 天井てんじょう時々ときどき丸穴まるあなが見えた。

 其処そことおたびに、「ボーワァ、ボボワワァ!」と風音かざおとがしやがる。
「ボーワァ、ボボワワァ!」
 まったく――
「ボーワァ、ボボワワァ!」
 どこまで――
「ボーワァ、ボボワワァ!」
 つづいて――
「にゃにゃ、にゃぎゃぁ
 やがるんだぜー。
「ボーワァ、ボボワワァ!」
 ――――!?
  
 丸穴《まるあな》から此方こっちを、見下ろしていたのは・・・・・・・・・――まさかの黄緑色・・・

「居たっ、おにぎり!――ニャァ♪」
 じゃぁ、この尻尾しっぽわぁ――――だれのだぜっ!?

 黄緑色きみどりいろひょろ長こいつわぁ――おにぎりじゃねぇー!!!
 あわてて手をはなしたが――――ずざざざざざざぁ!
 通路つうろは終わり――――すっぽーぉん!
 空中ちゅうに投げだされた、おれたちは見た。

「きゃぁあぁぁぁあっ!?――ニャァ♪」
「ぅうおおぅわぁぁっ!?――ニャァ♪」
 おにぎりの尻尾しっぽだとおもってたやつが、とおくのほう横穴こよあなに引っ込んだ!
 そしてべつ横穴よこあなからは、べつのおにぎりの尻尾しっぽが、ひゅるんと飛び出してきた!

「ぎゃぁぁっ、おにぎりちゃんの尻尾しっぽじゃない!?――ニャァ♪」
 ジタバタする虎型とらがたごう
なんだぜ彼奴あいつぁ、尻尾しっぽあたま尻尾しっぽだぜ!?――ニャァ♪」
 空中ちゅうをものすごはやさで飛び交うそれは、黄緑色きみどりいろ太紐ふとひもみたいなやつらで。

通常つウじょう、おにぎりニ尻尾しっポは、生えてイませ
 ふぉん♪
『>>〝極所作業用汎用強化服群/シシガニャンシリーズ〟に尾を生やす場合がありますが、ソレが出来るのは基本的にイオノファラーだけです』
 くそう、ビステッカが「尻尾だ」って言ったから、なんかそんな気がしちまったんだよ!

「だからぁ、そういうことわぁ――さきに言えやぁ!――ニャァ♪」
 虎型ひ号ジンライ脇腹わきばらから毛皮柄とらがら機械腕かいなを伸ばして――
 虎型ふ号おれの背に、ぽぎゅむと取り付いた。

 ひゅおぉぉぉおぉぉぉぉっ――――!
 そこ薄暗うすぐらく、よく見えん。
 あたりに魔法具まほうぐたぐいは、見当みあたたらないが――

めっせよ!」
 すると――チカチカチカチカッ、パアァッ!
 またあたりが、あかるくなった。


 其処そこ巨大きょだいな、すりばちのようなかたち
 その真んなかで、大口おおぐちを開けているのは――

「化け物!? いやさそりか!?――ニャァ♪」
 やっとこのような巨大きょだいはさみあいだに――目玉めだまがある。
 ってぇこたぁ、ありゃはさみじゃなくて大顎おおあごかっ!?
 むしみたいなやつだってのわぁわかるがぁ――でかすぎらぁ!

「きゃぁあぁぁぁあっ!?――ニャァ♪」
 ふぉん♪
『シガミー>大丈夫だ、おれが付いてる!』
 一行表示ティッカー見方みかた級友わらしどもは、皆知みなしってる。

 ふぉん♪
『>>シガミー、直下の生物は、蟻地獄と酷似した特徴を持っています』

 ふぉん♪
『餌食の蟻地獄/
 巨大な顎と腹部を持つ、六足。毒有り。
 落ちてきた昆虫などを捕食し、活力へと変換する。
 強靱な顎を使い、罠となる地形を作り上げる。
 食べられるところはないが、大顎は武器素材として優秀。』

 蟻地獄ありじごく!? いや地獄じごくだぜ!
どくがあるなら潰しておくに・・・・・・超したことはあるまい・・・・・・・・・・――」

 おれはぐるんとからだひねり、真下ましたに居る地獄じごくを見た!
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