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5:大森林観測村VSガムラン町
644:冒険者ギルド大森林観測村支部、イイスタァエッグ?
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ちなみに厨房は、さっきの多目的宴会場の一階上にある。
リカルルたちが降りてきた鉄籠は、厨房真ん中に鎮座していて――
正直、使い辛ぇが――「この階ならまるごと、ご自由に使って頂いて構いませんわ♪ うーふふ?」
と商会長さまに言われては、そうするしかなくて結局こうなった。
「あら珍しっ! ちょっとバクチ! この卵、ドコで見つけてきましたの!?」
ツカツカと進み出る、最凶なご令嬢。
背後から、そう声を掛けられた盗賊が飛び上がり――
曲がっていた、背筋を伸ばした。
「正直に仰い、今なら痛くしないからっ!」
おれが出してやった張り扇を腰の辺りから、するりと抜き放つ悪逆ご令嬢。
「へぃ、おかしらぁ。貝が取れる辺りの岩山に出来てた穴に、すっぽりと挟まってたんでさぁ!」
威勢が良くて、この盗賊はやはり嫌いではない。
進んで仲良くはしないが――
ふぉん♪
『>シガミー、貝が取れるという食材情報を習得しました』
おう、色んなことが済み次第、おれたちも貝釣りにでも行こうぜ。
スパ――――パッコゥゥォォォォン♪
耳を劈く快音!
盗賊バクチの毛のない頭から、黒煙が立ち上った!
「サーを付けなさいと何十年言ったら、おわかりになりますのっ!?」
爆発魔法を使いやがったなー、ハリセンの先が黒く焦げてるぞ。
ふぉん♪
『イオノ>いま誰か、おかわりって言った? ねぇっ、あたくしさまにもおかわりを!』
やかましぃ――すぽん♪
おれは根菜を引っつかんで、迅雷の収納魔法に格納した。
お前さまは、そこで迅雷が言ってた何とかを、直ぐに出来るようにしてくれやぁ。
ぶふぉわわぁ――倒れた盗賊が、口から白煙の輪を吐いた。
中は生煮えだから、回復薬でも飲ませときゃ良いか――ヴッ♪
おれは倒れた盗賊に、軽く手を合わせてから――コトリ。
小瓶を眉間の辺りに、そっと立ててやった。
「ろ、ロットリンデは知ってるよね、このファローモの卵のこと?」
村長が村長語も忘れて、困惑している。
「ええ、ですけど、私が知っている〝イースターエッグ〟という名を冠したアイテムは――卵の形をしていませんでしたわ?」
若くもないが年寄りでもない、美しさの中に品格と底意地の悪さが見え隠れするような――
そんな悪逆ご令嬢の小首が、かたんと傾く。
確かに、ちと、ややこしいことになってきたぞ。
「ぎにるるるるるっゆ?」
『Θ』をした二股角娘が、いつのまにか木箱に入り込み――大卵を、しっかりと抱えている。
迅雷が大竈まえに映し出した、上級鑑定結果。
ソレを見た村人たちが――雑然としだした。
「「「「「お宝じゃん、ァハァン♪」」」」」
と色めき立つのは――
「「「「「「「「ォゥィエー♪」」」」」」」」
ファンキー・フカフ村から来た、丸い頭の陽気な連中。
「けどぉ、ファローモの子供に、もしものことがあればぁ――大森林観測村は、壊滅よねぇー?」
頬に手を当て、困った顔の商会長。
同じ村人でも此方のグランジ・ロコロ村の、髪が長い連中は――
「「「「「「「「「「「「「「「「ファロちゃんの妹か弟かぁ、きっとかわいいよぉなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぅぃやぁあ゛ぁああぁっぁぁっ――――――――――♪」」」」」」」」」」」」」」」」
ファロコの側に付く、つもりらしい。
凄ぇうるさかったから、一緒になって「ぅぃやあ゛ぁあぁー♪」してる針刺し男を――すっぱぁぁんっ♪
かるく、引っ叩いておいた。
「ですからアレは――建国の龍の再来と言ってますのよっ!」
カツンッ――釘のように尖った踵を鳴らし、チリッ!
イラッとした視線を、おれたちに投げかける――
悪漢紛いの立ち振る舞い。
後ろに兵六玉を張り付かせた、ガムラン代表が気を吐いた!
「「「「「「「「「「「「「ひゃひゃぁーい♪」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「チェックワンツー♪」」」」」」」」」」」」」」」」
蜘蛛の子を散らすように、散り散りに逃げていく村人たち。
ふぉん♪
『シガミー>誰でも良い、説明してくれ――解析指南!』
ふぉん♪
『解析指南>>結論から言うなら、イースターエッグはファローモ幼体が入った卵ではありません』
「おい、それはやっぱり、お前の卵じゃねぇってよ!」
そう言ってやったら――
「るるぎゅぎゅぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃっ!?」
『(Θ曲Θ)』
歯をむき出しにして、威嚇された。
「だから、そいつぁ――おれたちが、ついこの間倒した、『おうさまと、りゅうのまもの』に出てくる、龍そのものなんだぜ!」
ふぉん♪
『解析指南>>いいえ。木属性における最高位種である、ドラゴンの種でもありません』
ふぉん♪
『シガミー>>はあ? 違うのかよ!?』
「ぎぎるぎみーぃ!?」
唸る子供。
「ちがうよ、それはファロコが生まれた卵に、そっくりじゃよぉ!」
叫ぶ大人。
「いや、ちょっと待て――」
迅雷、解析指南が言ってることを、鑑定結果の横にでも映してくれ。
ふぉん♪
『>>では適宜、表示内容を校正して表示します』
「今から、女神の料理番だけが使える――超上級鑑定結果を映し出すから、見てくれっ!」
手を上げて、そう大声で告げる。
ふぉん♪
『リオレイニア>よろしいのですか、神々の知識をそう易々と披露してしまっても?』
ふぉん♪
『シガミー>かまわん。いざとなったら五百乃大角に、丸投げする』
下っ腹が出ていても、彼奴は頓知が効くからな。
ふぉん♪
『解析指南>>イースターエッグに関する記述は、更新されている可能性があります。電子書籍『シンシナティック・ニューロネイション超攻略絵巻読本』を最新バージョンへ更新し、〝第11章:全アイテム一覧〟を再検索して下さい』
こいつぁ見せられねぇな。
おい、五百乃大角、それ早くやっとけ!
ふぉん♪
『解析指南>>〝イースターエッグ〟の中身は、SSS級レアアイテムであることが確定しています』
ふぉん♪
『>>これは、イースターエッグに対する記述だけですので、そのまま投影します』
ヴォォゥン♪
『超上級鑑定>〝イースターエッグ〟の中身は、SSS級レアアイテムであることが確定しています』
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「SSS級レアアイテム!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
目の色を輝かせる全員。
長大なアダマンタイト鉱石に、匹敵するほどのお宝ってことか。
ガムラン町だったら、血の雨が降っていたやも知れん。
「SSS級レアアイテムって言ったら、ジュークのジューク箱と同じくらい貴重ですわね?」
「なんだって!? おかしらぁ――その話は本当か!?」
盗賊の一人が湧いて出た。
悪逆令嬢は、本当に盗賊の親玉らしいぜ。
ご令嬢は、思っていたよりは……悪党かも知れない。
「おい、村長の村長箱って、金さえ入れりゃ何でも叶うやつだろ?」
がやがやがやがやがやがやがやがやがやがやや――――!?
ん? 急に村人どもが、殺気だって来やがったぞ。
ヴォォゥン♪
『超上級鑑定>先着一名、手にした者のみが獲得出来る可能性があります』
「はぁ? 先着一名だとぉぅ?」
可能性って、何だぜ?
手にしたら……手に入るだろうがよ?
てちてちてちてち、ひょこひょこ、ぐぐぐぐっ――すぽん♪
おれの画面を横切る邪魔な奴は、梅干し大の五百乃大角の分け身。
やい、五百乃大角、お前……料理の本なんか引っ張り出して、どうした?
迅雷に言われた、何たらの仕事をしろよ?
「ににるぎーぃ!?」
卵と二股角の少女が入った木箱に視線が集中する!
「そういえばぁ、すっごい昔に難攻不落のSSS級ダンジョンの最下層を目指したことがあったんだけどさぁ――とうとう私だけになってさぁ、必死に逃げ帰ったことがあったわぁねぇー、きゃはぁ☆」
コロコロと笑う、うら若き乙女のような――巫女装束。
「きゃはぁ☆」ではない。
齢200歳の内訳が前世と来世で、どうなってるのか。
そのへんの年齢にまつわる、詳しいことは聞けてねぇ。
おれを含んだ、日の本からの転生者全員の身を――
危険に晒しかねない重要ごとを、気軽にペラペラ喋りやがって!
「それ聞いたことありますぜ、辺境伯名代さま」
鉄籠の下から、小柄な大男が姿を現した。
「ウカカカッ♪ 工房長、そっくりだぜ!」
いけねっ、あまりにも似てたから、つい笑っちまった。
「工房長だとぉー? そんな出世をしたやつぁ、ガムランの俺の甥っ子ぐれぇだぜ?」
蓄えた髭を撫でる仕草まで、まるで同じで――
リオレイニアが調理台の角に、頭をぶつけた。
§
「俺はワーフと申しますぜ。この村で冒険者をしつつ鍛冶工房を営んでるますぜ」
片膝を突き、辺境伯名代へ、ぎこちない礼をする。
その背中には、巨大な……鉄杭か?
あんなのを背負って、よくも狭い鉄籠の下に潜り込めたもんだぜ。
ふぉん♪
『>あれもラプトル王女殿下の〝万能工具〟や、ノヴァド工房長の〝金槌〟に類する物と思われます』
ああ、おれの新しい手甲同様、相当なスキルを有した魔法杖だろうな。
「たしか発見者の欲しいものが……中から出てくるという噂を、聞いたことがありますぜ?」
ソレでは確かに、村長箱そのものだ。
「そう、たしかそんなだった! 当時の王様がぁー、ご病気でさぁー。そんな噂に総力を挙げて、挑んだんだぁけぇどぉねぇー」
「ねぇー」と魔法杖が入った収納魔法具に、話しかけてやがる。
ふぉん♪
『>ノヴァドやワーフ氏のようなドワーフと言う種族は、ルリーロほどではないにせよ、長命なようです』
長生きするのが他にも居るから、そこまで悪目立ちせずに済んでたってことか。
「一度は諦めたSSS級のお宝ぁ、クツクツクツクツクツクツ――――ココォォォン♪」
イナリィの字を残す――妖怪化け狐。
その口が、あり得ねぇ程に裂け――
手近にあった鉄鍋を、頭に被った!
「みゃぎゃにゃにゃぅ――――!?」
魔法具の妖精ロォグさまも、手近な鉄器をひっくり返して――かぽん♪
中に、すっこんじまった!
何だぜ?
ふぉん♪
『>>わかりませんが、【地球大百科事典】によるなら、イースターエッグとは神々の船にも匹敵しうる可能性を秘めた、SSS級レアアイテムのようです』
ふぉん♪
『シガミー>>けど大きさも柄も、どう見たって巨木・木龍の卵じゃんか?』
ならば一度は退治した物だぜ。
どうして彼処まで恐れる必要がある?
ふぉん♪
『解析指南>>その可能性もあります。イースターエッグというアイテム名称は、可能性に制限がないことを、示唆しています』
何にでも化けるってことか?
なら上級鑑定しても、意味ねぇじゃねぇか。
ふぉん♪
『イオノ>>ちょっと待って、シガミー。これ結構な大事に、なりかねないわよ♪』
ぺらぺらぺらり――だから仕事もせずに、料理の作り方ばっかり――
いつまでも、読んでるんじゃねぇやぁ。
ふぉん♪
『シガミー>>どういうこった? 何かわかるなら、まず説明をしろや?』
ふぉん♪
『イオノ>>ファロコちゃんの、頭の上を見て』
ヴォオォゥンッ♪
『ファロコ・ファローモ・ナァク・ジオサイト
■■■□□□□□□□31%』
それは、HPやMP表示と似たような横棒。
ソレは虹色に輝き――じわじわじわと、満ちていく。
ふむぅ、どーいう?
ルリーロやロォグが鉄鍋や鉄器の下から、そっちを覗ってる。
おれは耳栓を、すぽんと引っこ抜く。
耳栓無しでも、あの横棒はちゃんと見えた。
ふぉん♪
『ホシガミー>>なるほど? 手にした人の活力や思惑に左右され、中身が変わるみたいですね。プークス♪』
中身が変わる?
じゃぁこいつは、木龍の卵じゃぁねぇのか?
ふぉん♪
『>>そのようです』
ふぉん♪
『イオノ>>このままいけば、ファロコちゃんの弟妹が出てくるのは間違いないわねん』
木龍が出ねぇんなら、まだマシだが――
ふぉん♪
『解析指南>>このままの人員配置のまま、卵が孵化した場合。25%の確率で巨木・木龍の苗が、生成されます』
はぁ? 少なくともおれぁ、そんなことを望んじゃねぇぞ?
待て待てやぁー、なぁーんか、いつもの。
とんでもねぇことが起こる、前ぶれみてぇな音が幽かに――ォォン♪
ふぉん♪
『解析指南>>イースターエッグには〝いたずら〟を表すイメージが顕著に含まれています。当て推量100%換算の場合、約1%の確率でミノタ☆ウロースが生成されます』
ミノ太郎だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉっ――――――――――――――――――!?!?
リカルルたちが降りてきた鉄籠は、厨房真ん中に鎮座していて――
正直、使い辛ぇが――「この階ならまるごと、ご自由に使って頂いて構いませんわ♪ うーふふ?」
と商会長さまに言われては、そうするしかなくて結局こうなった。
「あら珍しっ! ちょっとバクチ! この卵、ドコで見つけてきましたの!?」
ツカツカと進み出る、最凶なご令嬢。
背後から、そう声を掛けられた盗賊が飛び上がり――
曲がっていた、背筋を伸ばした。
「正直に仰い、今なら痛くしないからっ!」
おれが出してやった張り扇を腰の辺りから、するりと抜き放つ悪逆ご令嬢。
「へぃ、おかしらぁ。貝が取れる辺りの岩山に出来てた穴に、すっぽりと挟まってたんでさぁ!」
威勢が良くて、この盗賊はやはり嫌いではない。
進んで仲良くはしないが――
ふぉん♪
『>シガミー、貝が取れるという食材情報を習得しました』
おう、色んなことが済み次第、おれたちも貝釣りにでも行こうぜ。
スパ――――パッコゥゥォォォォン♪
耳を劈く快音!
盗賊バクチの毛のない頭から、黒煙が立ち上った!
「サーを付けなさいと何十年言ったら、おわかりになりますのっ!?」
爆発魔法を使いやがったなー、ハリセンの先が黒く焦げてるぞ。
ふぉん♪
『イオノ>いま誰か、おかわりって言った? ねぇっ、あたくしさまにもおかわりを!』
やかましぃ――すぽん♪
おれは根菜を引っつかんで、迅雷の収納魔法に格納した。
お前さまは、そこで迅雷が言ってた何とかを、直ぐに出来るようにしてくれやぁ。
ぶふぉわわぁ――倒れた盗賊が、口から白煙の輪を吐いた。
中は生煮えだから、回復薬でも飲ませときゃ良いか――ヴッ♪
おれは倒れた盗賊に、軽く手を合わせてから――コトリ。
小瓶を眉間の辺りに、そっと立ててやった。
「ろ、ロットリンデは知ってるよね、このファローモの卵のこと?」
村長が村長語も忘れて、困惑している。
「ええ、ですけど、私が知っている〝イースターエッグ〟という名を冠したアイテムは――卵の形をしていませんでしたわ?」
若くもないが年寄りでもない、美しさの中に品格と底意地の悪さが見え隠れするような――
そんな悪逆ご令嬢の小首が、かたんと傾く。
確かに、ちと、ややこしいことになってきたぞ。
「ぎにるるるるるっゆ?」
『Θ』をした二股角娘が、いつのまにか木箱に入り込み――大卵を、しっかりと抱えている。
迅雷が大竈まえに映し出した、上級鑑定結果。
ソレを見た村人たちが――雑然としだした。
「「「「「お宝じゃん、ァハァン♪」」」」」
と色めき立つのは――
「「「「「「「「ォゥィエー♪」」」」」」」」
ファンキー・フカフ村から来た、丸い頭の陽気な連中。
「けどぉ、ファローモの子供に、もしものことがあればぁ――大森林観測村は、壊滅よねぇー?」
頬に手を当て、困った顔の商会長。
同じ村人でも此方のグランジ・ロコロ村の、髪が長い連中は――
「「「「「「「「「「「「「「「「ファロちゃんの妹か弟かぁ、きっとかわいいよぉなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぅぃやぁあ゛ぁああぁっぁぁっ――――――――――♪」」」」」」」」」」」」」」」」
ファロコの側に付く、つもりらしい。
凄ぇうるさかったから、一緒になって「ぅぃやあ゛ぁあぁー♪」してる針刺し男を――すっぱぁぁんっ♪
かるく、引っ叩いておいた。
「ですからアレは――建国の龍の再来と言ってますのよっ!」
カツンッ――釘のように尖った踵を鳴らし、チリッ!
イラッとした視線を、おれたちに投げかける――
悪漢紛いの立ち振る舞い。
後ろに兵六玉を張り付かせた、ガムラン代表が気を吐いた!
「「「「「「「「「「「「「ひゃひゃぁーい♪」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「チェックワンツー♪」」」」」」」」」」」」」」」」
蜘蛛の子を散らすように、散り散りに逃げていく村人たち。
ふぉん♪
『シガミー>誰でも良い、説明してくれ――解析指南!』
ふぉん♪
『解析指南>>結論から言うなら、イースターエッグはファローモ幼体が入った卵ではありません』
「おい、それはやっぱり、お前の卵じゃねぇってよ!」
そう言ってやったら――
「るるぎゅぎゅぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃっ!?」
『(Θ曲Θ)』
歯をむき出しにして、威嚇された。
「だから、そいつぁ――おれたちが、ついこの間倒した、『おうさまと、りゅうのまもの』に出てくる、龍そのものなんだぜ!」
ふぉん♪
『解析指南>>いいえ。木属性における最高位種である、ドラゴンの種でもありません』
ふぉん♪
『シガミー>>はあ? 違うのかよ!?』
「ぎぎるぎみーぃ!?」
唸る子供。
「ちがうよ、それはファロコが生まれた卵に、そっくりじゃよぉ!」
叫ぶ大人。
「いや、ちょっと待て――」
迅雷、解析指南が言ってることを、鑑定結果の横にでも映してくれ。
ふぉん♪
『>>では適宜、表示内容を校正して表示します』
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手を上げて、そう大声で告げる。
ふぉん♪
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ふぉん♪
『シガミー>かまわん。いざとなったら五百乃大角に、丸投げする』
下っ腹が出ていても、彼奴は頓知が効くからな。
ふぉん♪
『解析指南>>イースターエッグに関する記述は、更新されている可能性があります。電子書籍『シンシナティック・ニューロネイション超攻略絵巻読本』を最新バージョンへ更新し、〝第11章:全アイテム一覧〟を再検索して下さい』
こいつぁ見せられねぇな。
おい、五百乃大角、それ早くやっとけ!
ふぉん♪
『解析指南>>〝イースターエッグ〟の中身は、SSS級レアアイテムであることが確定しています』
ふぉん♪
『>>これは、イースターエッグに対する記述だけですので、そのまま投影します』
ヴォォゥン♪
『超上級鑑定>〝イースターエッグ〟の中身は、SSS級レアアイテムであることが確定しています』
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「SSS級レアアイテムって言ったら、ジュークのジューク箱と同じくらい貴重ですわね?」
「なんだって!? おかしらぁ――その話は本当か!?」
盗賊の一人が湧いて出た。
悪逆令嬢は、本当に盗賊の親玉らしいぜ。
ご令嬢は、思っていたよりは……悪党かも知れない。
「おい、村長の村長箱って、金さえ入れりゃ何でも叶うやつだろ?」
がやがやがやがやがやがやがやがやがやがやや――――!?
ん? 急に村人どもが、殺気だって来やがったぞ。
ヴォォゥン♪
『超上級鑑定>先着一名、手にした者のみが獲得出来る可能性があります』
「はぁ? 先着一名だとぉぅ?」
可能性って、何だぜ?
手にしたら……手に入るだろうがよ?
てちてちてちてち、ひょこひょこ、ぐぐぐぐっ――すぽん♪
おれの画面を横切る邪魔な奴は、梅干し大の五百乃大角の分け身。
やい、五百乃大角、お前……料理の本なんか引っ張り出して、どうした?
迅雷に言われた、何たらの仕事をしろよ?
「ににるぎーぃ!?」
卵と二股角の少女が入った木箱に視線が集中する!
「そういえばぁ、すっごい昔に難攻不落のSSS級ダンジョンの最下層を目指したことがあったんだけどさぁ――とうとう私だけになってさぁ、必死に逃げ帰ったことがあったわぁねぇー、きゃはぁ☆」
コロコロと笑う、うら若き乙女のような――巫女装束。
「きゃはぁ☆」ではない。
齢200歳の内訳が前世と来世で、どうなってるのか。
そのへんの年齢にまつわる、詳しいことは聞けてねぇ。
おれを含んだ、日の本からの転生者全員の身を――
危険に晒しかねない重要ごとを、気軽にペラペラ喋りやがって!
「それ聞いたことありますぜ、辺境伯名代さま」
鉄籠の下から、小柄な大男が姿を現した。
「ウカカカッ♪ 工房長、そっくりだぜ!」
いけねっ、あまりにも似てたから、つい笑っちまった。
「工房長だとぉー? そんな出世をしたやつぁ、ガムランの俺の甥っ子ぐれぇだぜ?」
蓄えた髭を撫でる仕草まで、まるで同じで――
リオレイニアが調理台の角に、頭をぶつけた。
§
「俺はワーフと申しますぜ。この村で冒険者をしつつ鍛冶工房を営んでるますぜ」
片膝を突き、辺境伯名代へ、ぎこちない礼をする。
その背中には、巨大な……鉄杭か?
あんなのを背負って、よくも狭い鉄籠の下に潜り込めたもんだぜ。
ふぉん♪
『>あれもラプトル王女殿下の〝万能工具〟や、ノヴァド工房長の〝金槌〟に類する物と思われます』
ああ、おれの新しい手甲同様、相当なスキルを有した魔法杖だろうな。
「たしか発見者の欲しいものが……中から出てくるという噂を、聞いたことがありますぜ?」
ソレでは確かに、村長箱そのものだ。
「そう、たしかそんなだった! 当時の王様がぁー、ご病気でさぁー。そんな噂に総力を挙げて、挑んだんだぁけぇどぉねぇー」
「ねぇー」と魔法杖が入った収納魔法具に、話しかけてやがる。
ふぉん♪
『>ノヴァドやワーフ氏のようなドワーフと言う種族は、ルリーロほどではないにせよ、長命なようです』
長生きするのが他にも居るから、そこまで悪目立ちせずに済んでたってことか。
「一度は諦めたSSS級のお宝ぁ、クツクツクツクツクツクツ――――ココォォォン♪」
イナリィの字を残す――妖怪化け狐。
その口が、あり得ねぇ程に裂け――
手近にあった鉄鍋を、頭に被った!
「みゃぎゃにゃにゃぅ――――!?」
魔法具の妖精ロォグさまも、手近な鉄器をひっくり返して――かぽん♪
中に、すっこんじまった!
何だぜ?
ふぉん♪
『>>わかりませんが、【地球大百科事典】によるなら、イースターエッグとは神々の船にも匹敵しうる可能性を秘めた、SSS級レアアイテムのようです』
ふぉん♪
『シガミー>>けど大きさも柄も、どう見たって巨木・木龍の卵じゃんか?』
ならば一度は退治した物だぜ。
どうして彼処まで恐れる必要がある?
ふぉん♪
『解析指南>>その可能性もあります。イースターエッグというアイテム名称は、可能性に制限がないことを、示唆しています』
何にでも化けるってことか?
なら上級鑑定しても、意味ねぇじゃねぇか。
ふぉん♪
『イオノ>>ちょっと待って、シガミー。これ結構な大事に、なりかねないわよ♪』
ぺらぺらぺらり――だから仕事もせずに、料理の作り方ばっかり――
いつまでも、読んでるんじゃねぇやぁ。
ふぉん♪
『シガミー>>どういうこった? 何かわかるなら、まず説明をしろや?』
ふぉん♪
『イオノ>>ファロコちゃんの、頭の上を見て』
ヴォオォゥンッ♪
『ファロコ・ファローモ・ナァク・ジオサイト
■■■□□□□□□□31%』
それは、HPやMP表示と似たような横棒。
ソレは虹色に輝き――じわじわじわと、満ちていく。
ふむぅ、どーいう?
ルリーロやロォグが鉄鍋や鉄器の下から、そっちを覗ってる。
おれは耳栓を、すぽんと引っこ抜く。
耳栓無しでも、あの横棒はちゃんと見えた。
ふぉん♪
『ホシガミー>>なるほど? 手にした人の活力や思惑に左右され、中身が変わるみたいですね。プークス♪』
中身が変わる?
じゃぁこいつは、木龍の卵じゃぁねぇのか?
ふぉん♪
『>>そのようです』
ふぉん♪
『イオノ>>このままいけば、ファロコちゃんの弟妹が出てくるのは間違いないわねん』
木龍が出ねぇんなら、まだマシだが――
ふぉん♪
『解析指南>>このままの人員配置のまま、卵が孵化した場合。25%の確率で巨木・木龍の苗が、生成されます』
はぁ? 少なくともおれぁ、そんなことを望んじゃねぇぞ?
待て待てやぁー、なぁーんか、いつもの。
とんでもねぇことが起こる、前ぶれみてぇな音が幽かに――ォォン♪
ふぉん♪
『解析指南>>イースターエッグには〝いたずら〟を表すイメージが顕著に含まれています。当て推量100%換算の場合、約1%の確率でミノタ☆ウロースが生成されます』
ミノ太郎だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉっ――――――――――――――――――!?!?
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と思っていたら後に宿屋を営む夫婦に拾われ大好きなお菓子や食べ物のために奮闘する話。
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