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5:大森林観測村VSガムラン町

644:冒険者ギルド大森林観測村支部、イイスタァエッグ?

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 ちなみに厨房ちゅうぼうは、さっきの多目的宴会場たもくてきなんたら一階上いっかいうえにある。

 リカルルたちが降りてきた鉄籠てつかごは、厨房真ちゅうぼうまなか鎮座ちんざしていて――
 正直しょうじき使つかづれぇが――「このかいならまるごと、ご自由じゆう使つかっていただいてかまいませんわ♪ うーふふ?」
 と商会長しょうかいちょうさまに言われては、そうするしかなくて結局けっきょくこうなった。

「あらめずらしっ! ちょっとバクチ! このたまご、ドコで見つけてきましたの!?」
 ツカツカとすすみ出る、最凶さいきょうなご令嬢れいじょう

 背後うしろから、そうこえを掛けられた盗賊とうぞくが飛び上がり――
 曲がっていた、背筋せすじを伸ばした。

正直しょうじきおっしゃい、いまならいたくしないからっ!」
 おれが出してやった張り扇ハリセンこしあたりから、するりと抜きはな悪逆ご令嬢ロットリンデ

「へぃ、おかしらぁ。かいが取れるあたりの岩山いわやま出来できてたあなに、すっぽりとはさまってたんでさぁ!」
 威勢いせいが良くて、この盗賊とうぞくはやはりきらいではない。
 すすんで仲良なかよくはしないが――
 ふぉん♪
『>シガミー、貝が取れるという食材情報を習得しました』
 おう、いろんなことが済み次第しだい、おれたちも貝釣かいつりにでも行こうぜ。

 スパ――――パッコゥゥォォォォン♪
 みみつんざく快音かいおん
 盗賊とうぞくバクチの毛のないあたまから、黒煙こくえんが立ちのぼった!

「サーを付けなさいと何十年言ったら・・・・・・・、おわかりになりますのっ!?」
 爆発魔法ばくはつまほう使つかいやがったなー、ハリセンのさきくろく焦げてるぞ。

 ふぉん♪
『イオノ>いま誰か、おかわりって言った? ねぇっ、あたくしさまにもおかわりを!』
 やかましぃ――すぽん♪
 おれは根菜いおのはらを引っつかんで、迅雷ジンライ収納魔法しゅうのうまほう格納ししまった。
 おまえさまは、そこで迅雷ジンライが言ってた何とか・・・を、直ぐに出来できるようにしてくれやぁ。

 ぶふぉわわぁ――たおれた盗賊バクチが、くちから白煙はくえんの輪を吐いた。
 なか生煮えだから・・・・・・回復薬ポーションでも飲ませときゃ良いか――ヴッ♪
 おれはたおれた盗賊とうぞくに、かるく手を合わせてから――コトリ。
 小瓶こびん眉間みけんあたりに、そっと立ててやった。

「ろ、ロットリンデは知ってるよね、このファローモのたまごのこと?」
 村長ジューク村長語そんちょうごわすれて、困惑こんわくしている。

「ええ、ですけど、わたくしが知っている〝イースターエッグ〟という名をかんしたアイテムは――たまごかたちをしていませんでしたわ?」
 わかくもないが年寄としよりでもない、うつくしさのなか品格ひんかく底意地そこいじわるさが見えかくれするような――
 そんな悪逆あくぎゃく令嬢れいじょう小首こくびが、かたんとかたむく。
 たしかに、ちと、ややこしいことになってきたぞ。

「ぎにるるるるるっゆ?」
 『Θけもののめ』をした二股角娘ふたまたつのむすめが、いつのまにか木箱きばこはいり込み――大卵イイスタァエッグを、しっかりとかかえている。

 迅雷ジンライ大竈おおかまどまえにうつし出した、上級じょうきゅう鑑定結果かんていけっか
 ソレを見た村人むらびとたちが――雑然ざつぜんとしだした。

「「「「「おたからじゃん、ァハァン♪」」」」」
 といろめき立つのは――
「「「「「「「「ォゥィエー♪」」」」」」」」
 ファンキー・フカフむらから来た、まるかみのけ陽気ようき連中れんちゅう

「けどぉ、ファローモの子供こどもに、もしものことがあればぁ――大森林観測村このむらは、壊滅かいめつよねぇー?」
 ほほに手を当て、こまったかお商会長しょうかいちょう
 おな村人むらびとでも此方こっちのグランジ・ロコロむらの、かみなが連中れんちゅうは――

「「「「「「「「「「「「「「「「ファロちゃんのいもうとおとうとかぁ、きっとかわいいよぉなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぅぃやぁあ゛ぁああぁっぁぁっ――――――――――♪」」」」」」」」」」」」」」」」
 ファロコのがわに付く、つもりらしい。

 すげぇうるさかったから、一緒いっしょになって「ぅぃやあ゛ぁあぁー♪」してる針刺し男おっさんを――すっぱぁぁんっ♪
 かるく、引っぱたいておいた。

「ですからアレは――建国けんこくりゅう再来さいらいと言ってますのよっ!」
 カツンッ――くぎのようにとがったかかとを鳴らし、チリッ!
 イラッとした視線めつきを、おれたちに投げかける――
 悪漢紛あっかんまがいの立ち振る舞い。
 うしろに兵六玉ニゲルを張り付かせた、ガムラン代表だいひょうが気を吐いた!

「「「「「「「「「「「「「ひゃひゃぁーい♪」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「チェックワンツー♪」」」」」」」」」」」」」」」」
 蜘蛛くもの子を散らすように、散り散りに逃げていく村人むらびとたち。

 ふぉん♪
『シガミー>誰でも良い、説明してくれ――解析指南!』
 ふぉん♪
『解析指南>>結論から言うなら、イースターエッグはファローモ幼体が入った卵ではありません』
「おい、それはやっぱり、お前の卵・・・・じゃねぇってよ!」
 そう言ってやったら――

「るるぎゅぎゅぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃっ!?」
 『(Θ曲Θフシャーッ!)』
 歯をむき出しにして、威嚇いかくされた。

「だから、そいつぁ――おれたちが、ついこの間倒あいだたおした、『おうさまと、りゅうのまもの』に出てくる、りゅうそのものなんだぜ!」
 ふぉん♪
『解析指南>>いいえ。木属性における最高位種である、ドラゴンの種でもありません』
 ふぉん♪
『シガミー>>はあ? 違うのかよ!?』

「ぎぎるぎみーぃ!?」
 うな子供ファロコ
「ちがうよ、それはファロコが生まれたたまごに、そっくりじゃよぉ!」
 さけ大人ジューク

「いや、ちょっと待て――」
 迅雷ジンライ解析指南かいせきしなんが言ってることを、鑑定結果かんていけっかよこにでもしてくれ。
 ふぉん♪
『>>では適宜、表示内容を校正して表示します』

いまから、女神めがみ料理番りょうりばんだけが使つかえる――超上級ちょうじょうきゅう鑑定結果かんていけっかうつし出すから、見てくれっ!」
 手を上げて、そう大声おおごえで告げる。
 ふぉん♪
『リオレイニア>よろしいのですか、神々の知識をそう易々と披露してしまっても?』
 ふぉん♪
『シガミー>かまわん。いざとなったら五百乃大角に、丸投げする』
 したぱらが出ていても、彼奴あやつ頓知とんちが効くからな。

 ふぉん♪
『解析指南>>イースターエッグに関する記述は、更新されている可能性があります。電子書籍『シンシナティック・ニューロネイション超攻略絵巻読本』を最新バージョンへ更新し、〝第11章:全アイテム一覧〟を再検索して下さい』
 こいつぁ見せられねぇな。
 おい、五百乃大角いおのはら、それはやくくやっとけ!

 ふぉん♪
『解析指南>>〝イースターエッグ〟の中身は、SSS級レアアイテムであることが確定しています』
 ふぉん♪
『>>これは、イースターエッグに対する記述だけですので、そのまま投影します』

 ヴォォゥン♪
『超上級鑑定>〝イースターエッグ〟の中身は、SSS級レアアイテムであることが確定しています』

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「SSS級レアアイテム!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 目のいろかがやかせる全員ぜんいん
 長大ちょうだいなアダマンタイト鉱石こうせきに、匹敵ひってきするほどのおたからってことか。
 ガムランちょうだったら、血のあめが降っていたやも知れん。

「SSSきゅうレアアイテムって言ったら、ジュークのジュークボックスおなじくらい貴重きちょうですわね?」
「なんだって!? おかしらぁ――そのはなし本当ほんとうか!?」
 盗賊とうぞく一人ひとりが湧いて出た。
 悪逆令嬢ロットリンデは、本当ほんとう盗賊とうぞく親玉かしららしいぜ。
 ご令嬢ロットリンデは、おもっていたよりは……悪党あくとうかも知れない。

「おい、村長ジューク村長箱そんちょうばこって、かねさえ入れりゃなんでもかなうやつだろ?」
 がやがやがやがやがやがやがやがやがやがやや――――!?
 ん? きゅう村人むらびとどもが、殺気さっきだって来やがったぞ。

 ヴォォゥン♪
『超上級鑑定>先着一名、手にした者のみが獲得出来る可能性があります』

「はぁ? 先着一名せんちゃくいちめいだとぉぅ?」
 可能性かのうせいって、なんだぜ?
 手にしたら……手にはいるだろうがよ?

 てちてちてちてち、ひょこひょこ、ぐぐぐぐっ――すぽん♪
 おれの画面まえ横切よこぎ邪魔じゃまやつは、梅干うめぼサイズ五百乃大角いおのはら分け身アイコン
 やい、五百乃大角いおのはら、おまえ……料理りょうりほんなんか引っ張り出して、どうした?
 迅雷ジンライに言われた、なんたらの仕事しごとをしろよ?

「ににるぎーぃ!?」
 イイスタァエッグ二股角の少女ファロコはいった木箱きばこ視線しせん集中しゅうちゅうする!

「そういえばぁ、すっごいむかし難攻不落なんこうふらくのSSSきゅうダンジョンの最下層さいかそう目指めざしたことがあったんだけどさぁ――とうとうわたくしだけになってさぁ、必死ひっしに逃げかえったことがあったわぁねぇー、きゃはぁ☆」
 コロコロと笑う、うらわか乙女おとめのような――巫女装束みこしょうぞく

 「きゃはぁ☆」ではない。
 よわい200さい内訳うちわけ前世ぜんせ来世いまで、どうなってるのか。
 そのへんの年齢ねんれいにまつわる、くわしいことは聞けてねぇ。
 おれをふくんだ、日のもとからの転生者全員てんせいしゃぜんいんの身を――
 危険きけんさらしかねない重要ごとだいじなことを、気軽きがるにペラペラしゃべりやがって!

「それ聞いたことありますぜ、辺境伯名代へんきょうはくみょうだいさま」
 鉄籠てつかごしたから、小柄こがら大男おおおとこ姿すがたあらわした。

「ウカカカッ♪ 工房長こうぼうちょう、そっくりだぜ!」
 いけねっ、あまりにも似てたから、ついわらっちまった。

工房長こうぼうちょうだとぉー? そんな出世しゅっせをしたやつぁ、ガムランのおれおいっ子ぐれぇだぜ?」
 たくえたひげを撫でる仕草しぐさまで、まるでおなじで――
 リオレイニアが調理台ちょうりだいかどに、たまをぶつけた。

   §

おれはワーフともうししますぜ。このむら冒険者ぼうけんしゃをしつつ鍛冶工房かじこうぼういとなんでるますぜ」
 片膝かたひざを突き、辺境伯名代ルリーロさまへ、ぎこちないれいをする。
 その背中せなかには、巨大きょだいな……鉄杭てっくいか?
 あんなのを背負せおって、よくもせま鉄籠てつかごしたもぐり込めたもんだぜ。

 ふぉん♪
『>あれもラプトル王女殿下の〝万能工具〟や、ノヴァド工房長の〝金槌〟に類する物と思われます』
 ああ、おれのあたらしい手甲同様てっこうどうよう相当そうとうなスキルをゆうした魔法杖・・・だろうな。

「たしか発見者はっけんしゃの欲しいものが……なかから出てくるといううわさを、聞いたことがありますぜ?」
 ソレではたしかに、村長箱あのまほうぐばこそのものだ。

「そう、たしかそんなだった! 当時とうじ王様おうさまがぁー、ご病気びょうきでさぁー。そんなうわさ総力そうりょくを挙げて、いどんだんだんだぁけぇどぉねぇー」
 「ねぇー」と魔法杖ルードホルドが入った収納魔法具じぶんのしたっぱらに、はなししかけてやがる。

 ふぉん♪
『>ノヴァドやワーフ氏のようなドワーフと言う種族は、ルリーロほどではないにせよ、長命なようです』
 長生ながいきするのが他にも居る・・・・・から、そこまで悪目立わるめだちせずに済んでたってことか。

一度いちどあきらめたSSSきゅうのおたからぁ、クツクツクツクツクツクツ――――ココォォォン♪」
 イナリィのあざなのこす――妖怪化ようかいばぎつね
 そのくちが、あり得ねぇほどに裂け――
 手近てぢかにあった鉄鍋なべを、あたまかぶった!

「みゃぎゃにゃにゃぅ――――!?」
 魔法具まほうぐ妖精ようせいロォグさまも、手近てぢか鉄器うつわをひっくりかえして――かぽん♪
 なかに、すっこんじまった!
 なんだぜ?

 ふぉん♪
『>>わかりませんが、【地球大百科事典】によるなら、イースターエッグとは神々の船にも匹敵しうる可能性を秘めた、SSS級レアアイテムのようです』

 ふぉん♪
『シガミー>>けど大きさも柄も、どう見たって巨木・木龍の卵じゃんか?』
 ならば一度いちど退治たいじしたものだぜ。
 どうして彼処ここまでおそれる必要ひつようがある?

 ふぉん♪
『解析指南>>その可能性もあります。イースターエッグというアイテム名称は、可能性に制限がないことを、示唆しています』
 なんにでも化ける・・・ってことか?
 なら上級鑑定じょうきゅうかんていしても、意味いみねぇじゃねぇか。

 ふぉん♪
『イオノ>>ちょっと待って、シガミー。これ結構な大事に、なりかねないわよ♪』
 ぺらぺらぺらり――だから仕事しごともせずに、料理めし作り方れしぴばっかり――
 いつまでも、読んでるんじゃねぇやぁ。

 ふぉん♪
『シガミー>>どういうこった? 何かわかるなら、まず説明をしろや?』
 ふぉん♪
『イオノ>>ファロコちゃんの、頭の上を見て』

 ヴォオォゥンッ♪
『ファロコ・ファローモ・ナァク・ジオサイト
 ■■■□□□□□□□31%』
 それは、HPたいりょくMPまりょく表示ひょうじと似たような横棒よこぼう
 ソレは虹色にじいろかがやきき――じわじわじわと、満ちていく。

 ふむぅ、どーいう?
 ルリーロやロォグが鉄鍋なべ鉄器うつわの下から、そっちをうかがってる。
 おれは耳栓みみせんを、すぽんと引っこ抜く。
 耳栓無それなしでも、あの横棒よこぼうはちゃんと見えた。

 ふぉん♪
『ホシガミー>>なるほど? 手にした人の活力や思惑に左右され、中身が変わるみたいですね。プークス♪』
 中身なかみが変わる?
 じゃぁこいつは、木龍きりゅうたまごじゃぁねぇのか?
 ふぉん♪
『>>そのようです』

 ふぉん♪
『イオノ>>このままいけば、ファロコちゃんの弟妹が出てくるのは間違いないわねん』
 木龍きりゅうが出ねぇんなら、まだマシだが――
 ふぉん♪
『解析指南>>このままの人員配置のまま、卵が孵化した場合。25%の確率で巨木・木龍の苗が、生成されます』
 はぁ? すくなくともおれぁ、そんなことをのぞんじゃねぇぞ?

 待て待てやぁー、なぁーんか、いつもの。
 とんでもねぇことが起こる、まえぶれみてぇなおとかすかに――ォォン♪

 ふぉん♪
『解析指南>>イースターエッグには〝いたずら〟を表すイメージが顕著に含まれています。当て推量100%換算の場合、約1%の確率でミノタ☆ウロースが生成されます』
 ミノ太郎たろうだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉっ――――――――――――――――――!?!?
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