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5:大森林観測村VSガムラン町

636:御神体修復作戦、はじめての御使い

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「ばかやろぅめ! おれたちまで吹っ飛ばすやつが、あるかぁ――!」
 頭の上・・・、とおくの地面じめん体格がたいの良い鬼族オーガむすめが、ひざを突いている。
 抱きかかえられた長物ながもの――それは鬼族オーガ娘程むすめほどながさの、魔銃オルタネーター

 ガキッ、ガシャッ――――捨てられた丸の殻カートリッジが、ひかりと消えた。
 魔銃まじゅうに抱きつくような姿勢しせいで、それあやつるのは大柄おおがらくらべると、相当そうとう小柄こがら少女しょうじょ

「「「「きゃきゃぁ――――!?」」」」
「「「「「ぅわぁああっ――――!?」」」」」
 いけねっ、級友たちがきどもたすけねぇと――迅雷ジンライなしだと、いろいろ後手ごてまわっちまう!

 おれたちを吹っ飛ばしたやつらに気を取られていた、おれの目のまえに――ぽっきゅぽこぉーん♪
 面白おもしろおとを立てて、飛び込んできたのは――
『シガミー・ガムラン』――はらに書かれた使用者つかいて名前なまえ
『11』――背中せなかに書かれた学級がっきゅう名簿番号めいぼばんごう
 女子生徒おんなのわらしよう躑躅色つつじいろの、猫の魔物風シシガニャン

 くるくると舞う、強化服シシガニャン特撃型改とくげきがたかい11ばんからだ
 ぽきゅぎゅむんと、おれのからだをやさしく抱きしめた!
 そういやさっき、強化服シシガニャンの群れを呼んだっけ!

「「ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくな……るかも――――!」」
 おれたちが使つか練習用れんしゅうよう魔法杖まほうつえ
 二刀流にとうりゅうのリオレイニア。
 重力軽減ふわふわうかべの魔法かるくなれか――たすかった!

 おれをつかんだ11ばんが――ぽっきゅむごろろぉん♪
 地に落ちたとき・・・・・・・、それ以外いがいの18ぴきが、スタリと着地ちゃくちした。

 ふぉん♪
『シガミー>ひでえ! おれも、ちゃんと助けろやぁ!』
 ふぉん♪
『ルガレイニア>申し訳ありません。他の生徒たちを優先しました、ヴヴウヴヴ♪』
 を向けた〝17ばん〟の強化服シシガニャン
 そのあたまうえから、ふわりと降り立つ給仕服きゅうじふく
 ふわさりっ――――相変あいかわらずちいさくてうすっぺらいふんどしを、巻いてやがる。

 ぶわさっ――あわてて押さえた、そのかおには恥じらいとともに――
 このところ、見てなかった〝ルガばち〟みてぇな眼鏡めがねが張り付いてた。
 銅掛あかがねがかった白金はっきん細工さいくこまやかな、魔眼殺しルガーサイト
 あの眼鏡めがねは、装着者そうちゃくしゃ好きな形に・・・・・、変わるようにしてやった。
 しし魔物まものたたうのに、気をたかぶらせたから……また出てきちまったのか?

「こ、こほん。や、ヤーベルト先生せんせい現在げんざいこのむら結界けっかいおおわれていて脱出不可能だっしゅつふかのうですっ! まだ全容ぜんようをつかむにはいたっていないのですが、どうおかんがえですか――ヴヴヴヴヴッ?」
 ついさっき〝森域結界それの構造つくりをちょっとだけ、つかめたとか言ってたが――

 どずずずむぅぅぅぅんっ!
 とおくに、しし魔物まものが落ちたおとがした。

「で、出られない!? な、ならマナキャンセラーや対魔王結界たいまおうけっかいのような、空間作用系くうかんさようけいスキルとおもわれるが――きみ理解出来りかいできないものに、わたしのような一介いっかい教師きょうしがたちうち出来できるはずもないだろう!?」
 両目りょうめを手でかくし、リオレイニアからかおを逸らす男性教師ヤーベルト
 あー、そういうことか。
 ルガ蜂顔ばちがお眼鏡めがねは……男性教師ヤーベルトふんどしを見られた、照れかくしだったらしいぜ。

 二人ふたりがさっき言ってたことを、合わせてかんがえりゃ――
 決まった範囲はんい中で・・魔法まほう使つかえなくするか――
 決まった範囲はんいから、外に出た・・・・魔法まほうを消し飛ばす――
 そのちがいはあれど、魔法まほうを消すことにちがいは無い――
 そういうことだよな……ひとが出られん仕組しくみは、わからんけど。

「11ばん、降ろしてくれや」
 ぽいと捨てられたおれが、地面じめんに降りると――
 こしに差してあった迅雷ジンライが、カランと落ちた。
 あぶねぇ――ぱしん!
 しし魔物まものが開けたつたほつれから、そこそこのたかさがある本当ほんとう地面じめんに、落ちちまうところだったぜ!

 ふぉん♪
『ヒント>404NotFound』
 迅雷ジンライをつかんだら、ヒントがなにかをつたえてきた。
 シシガニャンの群れ……にかこまれてるから、すこしだけ案内ヒント復活ふっかつしたぽい。
 どのみちなんのことやらわからんが――いや、こいつぁ、見たことがあるぞ?

 ふぉん♪
『シガミー>茅野姫よお、この案内の文字は、そっちでも見えてるか?』
 ふぉん♪
『ホシガミー>はい。〝404NotFound〟ですよね?』

 ふぉん♪
『シガミー>こいつ前にも、見たことがあるんだが、どうにも思い出せん』
 ふぉん♪
『ホシガミー>それなら覚えていますよ。ログを拝見しましたので、クスクス?』

 ふぉん♪
『シガミー>本当かっ!?』
 ふぉん♪
『ホシガミー>詠唱暗室装置を作動した魔導学院区画で迅雷さんが、女神像ネットワークから切り離されたときに、同様のダイアログ表示されました。クスクスクス♪』

 なるほど。ってぇこたぁ――
むらから出られねぇのわぁ、リオがぶっこわしちまった、あのでかい魔法具まほうぐおなじようなことになってるからなんだな?」
 ソレを知ったところで、おれにはどうしようもねぇわけだが。

「シガミー、その件は・・・・他言無用たごんむようと、おねがいしたはずですが――――ヴヴヴヴウヴヴッ♪」
 やべぇ、またこえに出してた。
 はちおこらしちまったぜ!

「ぶっこわした――?」
 特撃型改シシガニャンかかえられながら、くびを曲げる生意気なまいき子供こども
おおきな魔法具まほうぐ――あっ!」
 おなじくかかえられていた、物怖ものおじしない子供こどもが――
 自分じぶんくちを、両手りょうてふさいだ。

 わいわいわい、ぽきゅぽきゅむ♪
 子供らがきどもかかえた強化服シシガニャンどもが、ひしめき合って――ちょううぜぇ!

「あ、まさーか……マナキャンセラーをこわしたのーって!?」
 男性教師ヤーベルト口元くちもとが、盛大せいだいに引きつった。

   §

 五百乃大角いおのはら迅雷ジンライたちがこわれたのは、ジューク村長そんちょう魔法具箱まほうぐばこに――
 何度なんどか立てつづけに、格納かくのうされたからなんじゃねぇーかなーとおもうんだが――
 女神像めがみぞう背中せなかはこが無けりゃ、なおせんことに変わりはなく。

 そんなことをかんがえてたら――「小猿こざるわさぁー、このお人形にんぎょうが欲しいのぉ? 子供こどもみたいだね?」
 また二股角の娘ファロコに、抱きつかれた。
「おれぁ、子供がきだから人形にんぎょうが欲しくてもかまわねぇんだぜ。あとおれは小猿こざるじゃねぇー、シガミーだ――――ごつごついてぇな?」

 つのじゃねぇ、なんだかわからんかてものを、ぐいぐいと押しつけて来やがる。
 ん、このまる感触かんしょくわぁ――!?

五百乃大角いおのはらじゃんかっ!? これっ、どっから持ってきた・・・・・・・・・!?」
 迷子娘ファロコが押しつけてきたのは、まさかの根菜さまいおのはらだった。
 くくったひもが、すっぽ抜けたらこまるからつよく引っ張れず――
 回収かいしゅう出来できずにいたのに――

 御神体さまこんさいを引ったくり――ボロボロに裂けたつたみちを、すててってと駆けていく。
「こらまて、かえ――」
 ヴォゥッ――すたたたたたたったったた♪
 看板かんばんがあったさき森域結界けっかい境目さかいめを越えて――――「ここからー♪」
 ご丁寧ていねいに、御神体いおのはらまってたくぼみに、元通もとどおりにぎゅっと押し込み――
 おおきく手を振った。

「さ、流石さすが森の主ファローモ幼体こどもですね――ヴヴヴヴッ♪」
 ひとみは見えない眼鏡越めがねごしに、目をまるくする――蜂女ルガレイニア

「ちょっとジューク、あなたいつあの子に、あたらしいげいおしえたのですの?」
「知らないよ、まえにフカフ村に森域結界しんいきけっかいを張られたときには、ファロコだって出られなかっただろう?」
 おれをかじりたがるけものぎみなむすめファロコは、森の主ファローモ森域結界けっかいものともせずに、むらの入りぐちとおることが出来できた。

「あーっ、ごっめーん♪ 落っことしちゃったぁー!」
 まったくよう、つぎからつぎへと落ち着かねぇなぁ!

   §

「じゃぁ、とりあえずは――こんなもんか?」
 おれは五百乃大角いおのはら迅雷ジンライを、迅雷式隠じんらいしきかく蓑製みのせい頭陀袋ずだぶくろに詰め込む。
 これで持ちはこびが、しやすくなるだろうぜ。

「これをもりそと隣村となりむらに、とどければ良いのかい……良いのかのぅ?」
 生えてない顎髭あごひげを、ふわさりと撫でる、ジューク村長そんちょう
「ああ、そうだぜ!」
 入り口近ぐちちかくの休憩きゅうけいスペースに、陣取じんどったおれたちは――
 どうやって彼女かのじょに〝おつかい・・・・〟をしてもらうかの、算段さんだんはじめたのだが――

「じゃぁ、ファロコが行って来るっ!」
 そう宣言せんげんするなり、二股角の娘ファロコが――「にゅぎりゅぎ♪」
 と『Θけだもののめ』をかすかに浮かべ、脇目わきめも振らずにはしり出した。

 ぅぬぅ? レイドむらまで行けりゃぁ、頭陀袋ふくろなか手紙てがみレイド村村長ナッツバーが読んで――
 女神像めがみぞう背中せなかはこほうり込んでくれるだろうから……たぶん、上手うまいことなおるだろうがぁ。

肝心かんじん根菜こんらいぼうを、落としていくんじゃねぇやぁー!」
 頭陀袋ふくろくちを、かたしばっとくんだったぜ!

 そのとき、なにおもったか――
「みゃにゃぎゃあぁー
「ひっひひひぃぃん?」
 おにぎり騎馬きばが、颯爽さっそうむらを飛び出していく!

 ぶぎゅりゅりっと、蛸之助おおだこの鳴きごえ|(?)みたいなおとを立てて――
 おにぎりが森域結界けっかいに、はじき返された!

「なるほど、いきおいを付けて結界けっかい領域外りょういきがい突入とつにゅうした場合ばあいいきおいが増して、まるで跳ね返ったように見えるのですね――ヴヴヴヴヴッ?」
「ふぅむ、興味深きょうみぶかいですーね?」
 そんな場合ばあいか。

御使みつかいさまー!?」
 おにぎりの頑丈がんじょうさは、みんなが知るところだから――
 おにぎりを気遣きづかうのは、神官女性ナーフくらいだ。
 休憩所おれたちはるかに飛び越えた、おにぎりがぽきゅりと地に落ち――

「むにゃんぎゃにゃやーぁ」と鳴いた。
 なんて言ってるかわからんが、困惑こんわくしていることは間違まちがいないだろう。

「ひっひひひぃぃぃぃん?」
 そのかおのないつらが見つめるたき――
 こちらを振りかえる、黄緑色きみどりいろうまと目が合った。
 困惑こんわく表情ひょうじょうは、おれの表情かお真似まねしているのか?

 ちなみに、天ぷら号あいつに取り付けた全天球レンズめだまには、まぶたを取り付けた。
 まだ閉じることは出来できないが、その角度かくどを変えることを、てんぷらごうおぼえたようだ。

 むらそとへ駆け抜けた、巫山戯ふざけいろうまが――
 ぽっきゅりぽっきゅらら? と、困惑の並足あしぶみをした。

 その巫山戯ふざけ爪音つまおとかたを、ふるわせた少女タターが――
 ヴッ――長銃じゅうを取り出し、しっかりとかかえた。

「そうだった、おまえラプトル王女の肝入り・・・・・・・・・・だった!」
 五百乃大角いおのはらどもが使つか神々かみがみの、演算単位すげえとんち
 それを持たないてんぷらごうは、おにぎりとちがって――
 まだ物扱い・・・・・ってわけか!

 おれはあたらしい頭陀袋ずだぶくろに、根菜いおのはらじんらいほうり込み――
 ちかくに居た極所作業用汎用強化服シシガニャン特撃型改とくげきがたばんに、持たせてやった。

てんぷらごうはファロコを、一番いちばんてんぷらごうに付いていけ!」
 おれはすでに見えなくなった、二股角娘ファロコゆびさし――
 号令ごうれいを掛けた!

「ひっひひひぃぃぃぃぃんっ――――?」
 黄緑色きみどりいろうまが、まるで駿馬しゅんばのようにいななき――
 目をつり上げ、ぽっきゅらぽきゅららと向きを変え――
 ファロコのあとを追った。

 そして、ぞろぞろと一列いちれつになり、むらを飛び出していく特撃型改とくげきがたたち。
 ぽきゅずぼんっ、ぽきゅごろむん♪
 つるが裂け空いたあなに落ちる17ばん
 そのあと三匹分さんびきぶんが、隊列れつから取りのこされた。
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