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5:大森林観測村VSガムラン町
629:大森林観測村グランジ・ロコロ村へようこそ?
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「じゃぁ、このクエストは達成って事で良いんだなぁ?」
はぁー。もう、やってられんぞ。
今まで五百乃大角や迅雷任せにしてきたツケも、これだけ払えば十分だぜ。
おれは懐から、迷子娘捜索の紙ぺらを取り出し、ぱんと叩いた。
「「「「「クエスト?」」」」」
子供らが群がる。邪魔だな。
「おれたちは仕事を完遂した。だから何かくれや」
一応のお偉いさんである、ジューク村長へ掌を差し出した。
「「ぼくも!」」
「「「わたしもっ!」」」
真似をして一斉に、小さな手を差し出す。
マジで邪魔だな、お前らぁ。
「くすくす、シガミーさん。これから取引をしようという相手に、そういう言い方は、よろしくないのではありませんか?」
にたぁり。その下卑た顔は止めろ、守銭奴さまめ。
「いやぁ、本当に助かったよ……助けられたわい」
ほら、村長も、そう言ってくれてることだし。
「実は、この村にあるらしい、ある物を頂戴したく候――」
おれはチラシの人相書き、その首に下げられた物を指さした。
「ご?」「ざ?」「る?」
レイダとビビビーだけじゃなくて、眼鏡……たしか礼虎という級友までもが、目を輝かせている。
ござるとは言ってねぇ。日の本の大和言葉を此奴らは、妙に面白がりやがる。
あまり目つきの良くない二股角の迷子娘の胸元に、描かれているのは――
ふぉん♪
『ホシガミー>そうですね。これが本当にSDKなのでしたならイオノファラーさまたちを。すぐに直して差しあげられますね』
「くすくす、うふふふふ?」
おれから人相書きを奪い、村長へ歩み寄る守銭奴神。
『◄◄◄』
そのとき――妙にギラギラした目つきの、男女四人組がやってきた。
ドタバタドタバタタッ――!
なんだぁ、騒々しい!
目の前の大きな切り株。まるで大講堂の壇上のような――
目立つ場所へ駆け込んできたのは――
「「「「僕たちが、このグランジ・ロコロ村の村長です!」」」」
長髪を振り回し、ミギアーフ氏の冒険者装備にも似た、派手な色の服。
そんな傾いた連中が、この村の村長らしいぞ?
っていうか、やっぱり此処わぁ――フカフ村じゃねぇーらしい。
ドガダン♪
棒を振り回して、太鼓を叩く奴がいるぞ!?
うるせぇぞ!?
「聞いて下さい、いま央都で大はやりの、ご機嫌なナンバー! こねこのラプソディー!」
ちょっとまてや、今なんか不吉な文言を言い放ちやがらなかったか?
ドガダンドガダンドガダガドドドドドゴガゴドン♪
呆気にとられる、ガムラン央都混成組を前に――
「こんねこがーイッピキー! ぎゃっぎゅわーるどぉ――――ぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
喧しぃやぁ――――!
首を振り回し始める――――村民たち!
何か悪ぃ物でも、食ったんだろうぜ?
全員分の気付け薬を用意してやるから、待っとけ!
「おにぎり、来いや!」
困惑の中――「みゃにゃぎゃぁ?」
のこのことやって来た、猫の魔物風に手を当て――――ヴッ♪
竈と鍋と〝毒消し草〟と、辛みがある〝羽根芋〟の葉を何枚か取り出し――
たら、誰かに腕をつかまれた。
見れば、そいつは――件の迷子、ファロコだった。
見上げて、その目を、よーく見たが――『Θ』みたいな獣の目では、なくなっている。
「さっきは、ごめんなさい」
そう言って、まだ切れ目の日焼け跡が残る、おれの手先をペロペロと――
「止めろやぁ、くすぐってぇ――痛ってえ!!!」
ガジガジガジガジ!
「痛ぇだろうガァ――――!」
力一杯振り回すも――食らいついて、離れない。
「シガミーちゃん……シガミー殿はとても、気に入られたみたいじゃぁのぉ?」
言ってる場合か、この野郎!
「本当ですわ。見直しましたわ、小猿♪ うちの子は、少しお転婆が過ぎて困っていましたのだけれど――良い遊び相手が出来て、一安心ですわ」
口元に手を添え、しゃらあしゃらと微笑む〝悪逆令嬢ゲスロット〟。
手前ぇらぁ――巫山戯るのも、大概にしろやぁ!
「あははははっ、やられてるねシガミー♪ けど安心しとくれよ。根が乱暴者なだけで、悪気はないからね♪」
なんだと!? 全然、駄目じゃねぇーかぁ!
女将さんまで、そんなことを言いやがる!!
ヴォーンォ♪
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッ――――――――!!!」
うるせぇ!
何だぜ、あの琵琶わぁ!?
超うるせぇっ!
まるで森の主の、念話だっ!
「「つめーどぎー、切り裂け――♪」」
「「ぅおぅふぉぅ――――ぅおぅふぉぅ――――♪」」
「「つめーどぎーぃぃっ、切゛り裂゛げぇえーぇえー――ぃぇい♪」」
ヴォォーンヴォォンヴォヴォ、ヴォォーンヴォォンヴォヴォ――――♪
「ぃやっかましぃやぁ――!」
ドガダンドガダンドダガダガガァンッ!
「ぎぎにゅるりぃ――!?」
だから、放せやぁ――!
おれは迷子娘を、倒に持ち上げた!
「ゥイヤァァァァァアアァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァぁぁあぁあぁッ――――!!!」
阿呆か、此処はわぁ、阿呆の村かっ――!?
ヴッ――おれは得物を、取り出した。
もう斬る。今すぐ、叩っ斬ってやらぁ!
はぁー。もう、やってられんぞ。
今まで五百乃大角や迅雷任せにしてきたツケも、これだけ払えば十分だぜ。
おれは懐から、迷子娘捜索の紙ぺらを取り出し、ぱんと叩いた。
「「「「「クエスト?」」」」」
子供らが群がる。邪魔だな。
「おれたちは仕事を完遂した。だから何かくれや」
一応のお偉いさんである、ジューク村長へ掌を差し出した。
「「ぼくも!」」
「「「わたしもっ!」」」
真似をして一斉に、小さな手を差し出す。
マジで邪魔だな、お前らぁ。
「くすくす、シガミーさん。これから取引をしようという相手に、そういう言い方は、よろしくないのではありませんか?」
にたぁり。その下卑た顔は止めろ、守銭奴さまめ。
「いやぁ、本当に助かったよ……助けられたわい」
ほら、村長も、そう言ってくれてることだし。
「実は、この村にあるらしい、ある物を頂戴したく候――」
おれはチラシの人相書き、その首に下げられた物を指さした。
「ご?」「ざ?」「る?」
レイダとビビビーだけじゃなくて、眼鏡……たしか礼虎という級友までもが、目を輝かせている。
ござるとは言ってねぇ。日の本の大和言葉を此奴らは、妙に面白がりやがる。
あまり目つきの良くない二股角の迷子娘の胸元に、描かれているのは――
ふぉん♪
『ホシガミー>そうですね。これが本当にSDKなのでしたならイオノファラーさまたちを。すぐに直して差しあげられますね』
「くすくす、うふふふふ?」
おれから人相書きを奪い、村長へ歩み寄る守銭奴神。
『◄◄◄』
そのとき――妙にギラギラした目つきの、男女四人組がやってきた。
ドタバタドタバタタッ――!
なんだぁ、騒々しい!
目の前の大きな切り株。まるで大講堂の壇上のような――
目立つ場所へ駆け込んできたのは――
「「「「僕たちが、このグランジ・ロコロ村の村長です!」」」」
長髪を振り回し、ミギアーフ氏の冒険者装備にも似た、派手な色の服。
そんな傾いた連中が、この村の村長らしいぞ?
っていうか、やっぱり此処わぁ――フカフ村じゃねぇーらしい。
ドガダン♪
棒を振り回して、太鼓を叩く奴がいるぞ!?
うるせぇぞ!?
「聞いて下さい、いま央都で大はやりの、ご機嫌なナンバー! こねこのラプソディー!」
ちょっとまてや、今なんか不吉な文言を言い放ちやがらなかったか?
ドガダンドガダンドガダガドドドドドゴガゴドン♪
呆気にとられる、ガムラン央都混成組を前に――
「こんねこがーイッピキー! ぎゃっぎゅわーるどぉ――――ぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
喧しぃやぁ――――!
首を振り回し始める――――村民たち!
何か悪ぃ物でも、食ったんだろうぜ?
全員分の気付け薬を用意してやるから、待っとけ!
「おにぎり、来いや!」
困惑の中――「みゃにゃぎゃぁ?」
のこのことやって来た、猫の魔物風に手を当て――――ヴッ♪
竈と鍋と〝毒消し草〟と、辛みがある〝羽根芋〟の葉を何枚か取り出し――
たら、誰かに腕をつかまれた。
見れば、そいつは――件の迷子、ファロコだった。
見上げて、その目を、よーく見たが――『Θ』みたいな獣の目では、なくなっている。
「さっきは、ごめんなさい」
そう言って、まだ切れ目の日焼け跡が残る、おれの手先をペロペロと――
「止めろやぁ、くすぐってぇ――痛ってえ!!!」
ガジガジガジガジ!
「痛ぇだろうガァ――――!」
力一杯振り回すも――食らいついて、離れない。
「シガミーちゃん……シガミー殿はとても、気に入られたみたいじゃぁのぉ?」
言ってる場合か、この野郎!
「本当ですわ。見直しましたわ、小猿♪ うちの子は、少しお転婆が過ぎて困っていましたのだけれど――良い遊び相手が出来て、一安心ですわ」
口元に手を添え、しゃらあしゃらと微笑む〝悪逆令嬢ゲスロット〟。
手前ぇらぁ――巫山戯るのも、大概にしろやぁ!
「あははははっ、やられてるねシガミー♪ けど安心しとくれよ。根が乱暴者なだけで、悪気はないからね♪」
なんだと!? 全然、駄目じゃねぇーかぁ!
女将さんまで、そんなことを言いやがる!!
ヴォーンォ♪
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッ――――――――!!!」
うるせぇ!
何だぜ、あの琵琶わぁ!?
超うるせぇっ!
まるで森の主の、念話だっ!
「「つめーどぎー、切り裂け――♪」」
「「ぅおぅふぉぅ――――ぅおぅふぉぅ――――♪」」
「「つめーどぎーぃぃっ、切゛り裂゛げぇえーぇえー――ぃぇい♪」」
ヴォォーンヴォォンヴォヴォ、ヴォォーンヴォォンヴォヴォ――――♪
「ぃやっかましぃやぁ――!」
ドガダンドガダンドダガダガガァンッ!
「ぎぎにゅるりぃ――!?」
だから、放せやぁ――!
おれは迷子娘を、倒に持ち上げた!
「ゥイヤァァァァァアアァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァぁぁあぁあぁッ――――!!!」
阿呆か、此処はわぁ、阿呆の村かっ――!?
ヴッ――おれは得物を、取り出した。
もう斬る。今すぐ、叩っ斬ってやらぁ!
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