上 下
629 / 738
5:大森林観測村VSガムラン町

629:大森林観測村グランジ・ロコロ村へようこそ?

しおりを挟む
「じゃぁ、このクエスト・・・・・・達成たっせいってことで良いんだなぁ?」
 はぁー。もう、やってられんぞ。
 いままで五百乃大角いおのはら迅雷ジンライ任せにしてきたツケも、これだけはらえば十分じゅうぶんだぜ。
 おれはふところから、迷子娘捜索ファロコそうさく紙ぺらチラシを取り出し、ぱんとたたいた。

「「「「「クエスト?」」」」」
 子供らがきどもむらがる。邪魔じゃまだな。

「おれたちは仕事しごと完遂かんすいした。だからなにかくれや」
 一応いちおうのおえらいさんである、ジューク村長そんちょうてのひらを差し出した。
「「ぼくも!」」
「「「わたしもっ!」」」
 真似まねをして一斉いっせいに、ちいさな手を差し出す。
 マジ・・邪魔じゃまだな、おまえらぁ。

「くすくす、シガミーさん。これから取引とりひきをしようという相手あいてに、そういう言いかたは、よろしくないのではありませんか
 にたぁり。その下卑げびかおは止めろ、守銭奴しゅせんどさまめ。

「いやぁ、本当ほんとうたすかったよ……たすけられたわい」
 ほら、村長そんちょうも、そう言ってくれてることだし。

じつは、このむらにあるらしい、あるもの頂戴ちょうだいしたくそうそう――」
 おれはチラシの人相書にんそうがき、そのくびに下げられたものゆびさした。
「ご?」「ざ?」「る?」
 レイダとビビビーだけじゃなくて、眼鏡めがね……たしか礼虎れとらという級友きゅうゆうまでもが、目をかがやかせている。
 ござるとは言ってねぇ。日の本ぜんせ大和言葉なまり此奴こやつらは、みょう面白おもしろがりやがる。

 あまり目つきの良くない二股角ふたまたつの迷子娘ファロコ胸元むなもとに、えがかれているのは――

 ふぉん♪
『ホシガミー>そうですね。これが本当にSDKなのでしたならイオノファラーさまたちを。すぐに直して差しあげられますね』
「くすくす、うふふふふ
 おれから人相書きかみぺらうばい、村長ジュークあゆみ寄る守銭奴神カヤノヒメ


◄◄◄ピピピッ♪
 そのとき――みょうにギラギラした目つきの、男女四人組だんじょよにんぐみがやってきた。
 ドタバタドタバタタッ――!
 なんだぁ、騒々そうぞうしい!

 目のまえおおきな切りかぶ。まるで大講堂だいこうどう壇上だんじょうのような――
 目立めだ場所ばしょへ駆け込んできたのは――

「「「「ぼくたちが、このグランジ・・・・ロコロ村・・・・村長そんちょうです!」」」」
 長髪ながかみを振りまわし、ミギアーフ氏おっさん冒険者装備ぼうけんしゃそうびにも似た、派手はでいろふく
 そんなかぶいた連中れんちゅうが、このむら村長そんちょうらしいぞ?
 っていうか、やっぱり此処ここわぁ――フカフむらじゃねぇーらしい。

 ドガダン♪
 ぼうを振りまわして、太鼓たいこたたやつがいるぞ!?
 うるせぇぞ!?

「聞いて下さい、いま央都おうとおおはやりの、ご機嫌きげんなナンバー! こねこのラプソディ・・・・・・・・・ー!」
 ちょっとまてや、いまなんか不吉ふきつ文言もんごんを言いはなちやがらなかったか?

 ドガダンドガダンドガダガドドドドドゴガゴドン♪
 呆気あっけにとられる、ガムラン央都混成組おれたちまえに――

「こんねこがーイッピキー! ぎゃっぎゅわーるどぉ――――ぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 やかましぃやぁ――――!

 くびを振りまわはじめる――――村民そんみんたち!
 なにわりものでも、食ったんだろうぜ?
 全員分ぜんいんぶん気付け薬・・・・用意よういしてやるから、待っとけ!

「おにぎり、来いや!」
 困惑こんわくなか――「みゃにゃぎゃぁ
 のこのことやって来た、ねこ魔物風まものふうに手を当て――――ヴッ♪
 かまどなべと〝毒消どくけそう〟と、からみがある〝羽根芋はねいも〟の葉を何枚なんまいか取り出し――
 たら、だれかにうでをつかまれた。

 見れば、そいつは――くだん迷子まいご、ファロコだった。
 見上げて、その目を、よーく見たが――『Θたこのすけ』みたいなけものの目では、なくなっている。
「さっきは、ごめんなさい」
 そう言って、まだ切れ目・・・日焼け跡さかいめのこる、おれの手先てさきをペロペロと――

「止めろやぁ、くすぐってぇ――痛ってえ!!!」
 ガジガジガジガジ!
いてぇだろうガァ――――!」
 力一杯振ちからいっぱいふまわすも――食らいついて、はなれない。

「シガミーちゃん……シガミー殿どのはとても、気に入られたみたいじゃぁのぉ?」
 言ってる場合ばあいか、この野郎やろう

本当ほんとうですわ。見直みなおしましたわ、小猿こざる♪ うちの子は、すこしお転婆てんばが過ぎてこまっていましたのだけれど――良いあそ相手あいて出来できて、一安心ひとあんしんですわ」
 口元くちもとに手を添え、しゃらあしゃらと微笑ほほえむ〝悪逆令嬢あくぎゃくれいじょうゲスロット〟。
 手前てめえぇらぁ――巫山戯ふざけるのも、大概たいがいにしろやぁ!

「あははははっ、やられてるねシガミー♪ けど安心あんしんしとくれよ。根が乱暴者らんぼうものなだけで、悪気わるぎはないからね♪」
 なんだと!? 全然ぜんぜん駄目だめじゃねぇーかぁ!
 女将おかみさんまで、そんなことを言いやがる!!

 ヴォーンォ♪
 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッ――――――――!!!」 
 うるせぇ!
 なんだぜ、あの琵琶びわわぁ!?
 ちょううるせぇっ!
 まるで森の主ファローモの、念話ねんわだっ!

「「つめーどぎー、切り裂け――♪」」
「「ぅおぅふぉぅ――――ぅおぅふぉぅ――――♪」」
「「つめーどぎーぃぃっ、切゛り裂゛げぇえーぇえー――ぃぇい♪」」
 ヴォォーンヴォォンヴォヴォ、ヴォォーンヴォォンヴォヴォ――――♪

「ぃやっかましぃやぁ――!」
 ドガダンドガダンドダガダガガァンッ!

「ぎぎにゅるりぃ――!?」
 だから、はなせやぁ――!
 おれは迷子娘ファロコを、さかしまに持ち上げた!

「ゥイヤァァァァァアアァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァぁぁあぁあぁッ――――!!!」
 阿呆あほうか、此処ここはわぁ、阿呆あほうむらかっ――!?
 ヴッ――おれは得物えものを、取り出した。
 もう斬る。いますぐ、たたっ斬ってやらぁ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない

AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。 かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。 俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。 *書籍化に際してタイトルを変更いたしました!

【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅
ファンタジー
病弱ひ弱な青年「青峰レオ」は、その悲惨な人生を女神に同情され、異世界に転生することに。 女神曰く、異世界で人生をしっかり楽しめということらしいが、何か裏がある予感も。 そんなことはお構いなしに才覚溢れる冒険者となり、女の子とお近づきになりまくる状況に。 冒険もエロも楽しみたい人向け、大人の異世界転生冒険活劇始まります。 ・【♡(お相手の名前)】はとりあえずエロイことしています。悪しからず。 ・【☆】は挿絵があります。AI生成なので細部などの再現は甘いですが、キャラクターのイメージをお楽しみください。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・思想・名称などとは一切関係ありません。 ※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません ※この物語のえちちなシーンがある登場人物は全員18歳以上の設定です。

付喪神、子どもを拾う。

真鳥カノ
キャラ文芸
旧題:あやかし父さんのおいしい日和 3/13 書籍1巻刊行しました! 8/18 書籍2巻刊行しました!  【第4回キャラ文芸大賞 奨励賞】頂きました!皆様のおかげです!ありがとうございます! おいしいは、嬉しい。 おいしいは、温かい。 おいしいは、いとおしい。 料理人であり”あやかし”の「剣」は、ある日痩せこけて瀕死の人間の少女を拾う。 少女にとって、剣の作るご飯はすべてが宝物のようだった。 剣は、そんな少女にもっとご飯を作ってあげたいと思うようになる。 人間に「おいしい」を届けたいと思うあやかし。 あやかしに「おいしい」を教わる人間。 これは、そんな二人が織りなす、心温まるふれあいの物語。 ※この作品はエブリスタにも掲載しております。

処理中です...