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5:大森林観測村VSガムラン町

617:大森林探索行、大森林破壊と謎の建物

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何処どこに、行きやがったぁ――――!?」
 渓谷けいこくの切れ目へ、向かう正面しょうめん
 ずっと、とおくのもりが……揺れたような?

 ヴュヴュゥゥゥ――――――――居た。
 遠目ズームすると、巨木きょぼくほどじゃねぇが、相当そうとうでかい木々きぎが――
 おとも無くたおれていくのが、見えた!
 ヴュザザザッ――――両の眼メインカメラおぎな複合ふくごうアンテナが本調子ほんちょうしじゃねぇから、映像えいぞうみだれちゃぁ居るが――
 もりかたちが変わっていくことくらいは、判別出来みわけられる。

 みぎかとおもえばひだり。かとおもえば、そのぎゃくが弾け飛ぶ。
 あの距離きょり……一町いっちょういや二町越にちょうごえのはなれた場所ばしょを、いつまでも行き来してやがるぜ。

 目で追うのが、やっとてこたぁ、女将おかみさんめ――
 ニゲルにちか速さAGIを、かくしてやがったな?
 こりゃぁ、あの迷子娘まいごむすめとやり合ったら――
 LV100のおれでも、太刀打たちう出来できなくね?

 失敗しっぱいした……やっぱりせめて手練てだれをもう一人ひとり、連れて来るんだったぜ。
 もっとも、本来ほんらいなら五百乃大角いおのはらをギルド支部しぶ女神像台座めがみぞうだいざつないで――
 とっくに央都おうとで待ってる連中れんちゅうと、合流ごうりゅうしてたはずだから――
 仕方しかたがぁ、ねぇんだがなぁ!

 愚痴ぐちったところで、ニゲルもリカルルもルリーロも居ねぇんだから――
 おれがアレを、止めるしかあるまい。

 シュッゴゴゴゴォォォォオ、ヴァァァァァッ――――!!!
 おれはさきいそいだ。

   §

 ふたたびの静寂せいじゃくなか。なぎはらわれていく大森林だいしんりん
 たたかいは、もう目とはなさきだ。
 聞こえるのは、おれのいきづかいと――

「コオラァ、イウコトヲキキナサアイ――――!」
 片言かたことの、女将おかみさんのこえ
「ぎゅぎゅぎゅにゅぎゅりりりりっ――――!?」
 そして、なぞの迷子娘まいごむすめ雄叫おたけび。

 葉擦はずれのおとすらさせず、折れる大木たいぼく
 地響じひびきもとどろかせず、盛られあぐられる大地だいち

 あのひよわ村長そんちょうさまは、何処行どこいった!?
 大木たいぼく一緒いっしょに、なぎはらわれてねぇだろうなぁ!
 おにぎり騎馬きばとタターたちも、どこに居るんだかぁ?

 (ギュッギィィィン)――ふかしずかに散る火花ひばな
 女将おかみさんの本気ほんき得物えものは、たしかかみなりが落ちるけんだ。
 そしてあの二股角ふたまたつの迷子娘まいごむすめ使つかっていたのも、かみなりを発する短刀たんとう――いや、伸びるけんだった。
 おな雷同士かみなりどうしのせいで、女将おかみさんでも勝負しょうぶを、決められねぇのかもなぁ。

 どうやってあのすさまじいはやさの二人ふたりに、取り付くかをかんがえていたら――
 突然とつぜんかぜが吹いた!

 女将おかみさんが大木たいぼくみきを蹴り、二股角娘ファロコを追いかける。
 二人ふたりが向かうさきに、立ちなら木々きぎ
 つる太枝ふとえだや根に、無数むすうちいさなあな穿うがたれた。

 ドゴッゴォォォッガァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!
 爆発ばくはつし、粉微塵こなみじんに吹き飛ぶ大森林もり
 女将おかみさんたちは、ほのおに巻かれた。

 ふぉん♪
『ロォグ>左右どっちでも良いから、横へ飛ぶニャァ♪』
 一行表示ティッカーに割り込んできたのは、ねこ精霊まものさま。

 ぬぅ――!?
 それは姿勢制御用の大筒サブスラスターや、巡航用の大筒メインスラスターのとはちがう――ねつ

▲▲▲▲▲▲▲▲▲ピピピピピピピピピ▲▲▲▲▲▲▲▲▲ピピピピピピピピピィ――――♪》』
 それは、とんでもなくなげぇ――――――――おと
 おれのはらから大森林だいしんりんへ伸びていく、危険な赤光きけんなひかり

 鉄鎧おれの背をつらぬき、一直線いっちょくせんとどひかり
 こりゃ動体検知アクティブトラッカーじゃねーかぁっ!!

「ちっ! まただれかが、タターにかつ……いや、かつ入れやがった・・・・・・なぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 少女の殺気あかいさんかく先端さきが、到達とうたつする。

 たけたまを込められた、魔銃まじゅうオルタネーター。
 それを、発奮はっぷんしたタターがかまえたら――
 逃げおおせるやつぁ、いねぇだろう。

 ふぉん♪
『戦術級強化鎧鬼殻緊急時プロトコル>僚機による広域MAP兵器のローンチを確認』
 わからんが、遊撃班オルタタターあいつらが、なにかをねらってる。
 つまり――逃げんと、おれが死ぬ。

 うねる大地だいちを蹴り飛ばし――ふぉふぉぉぉぉん♪
『戦術級強化鎧鬼殻緊急時プロトコル>>多重ロックオン完了。いつでも切断できます。
 >滅モード:ON』
 おれはなにもねぇ空中ちゅう一点いってんにらみ、ありったけのカーソルたたき込んだ!

 ビキピピピッピィィィィイィッ――――♪
 とりが、鳴き止まなくなったら――押し金トリガを押せ!

 散る火花ひばな
 もの凄ぇいきおいで、かたなが打ち出される!

 ふぉん♪
『太刀風の太刀/全長2・7メートル。刀身2・4メートル。刀身幅22センチメートル。ジンライ鋼製総重量90キログラム』
 画面モニタすみにそんなのが出たが、見てるひまがねぇ!

 一瞬いっしゅんで切っさきまで抜けた太刀かたなを――
 ふぉふぉん♪
『スラスター点火:2秒』
 伸ばしたうでで必死につかむと、切っさきまえを向いた。

 (パッコォォォォォォォッォンッ)
 奇っかいおとが、鉄鎧よろい毛皮けがわつうじて――かすかにつたわる!

 いきおいあまって剣筋けんすじみだれ――まわる景色おれ
 その目のまえを――――鉄片てつへん横切よこぎった!

 それは巨木きょぼく木龍きりゅうを、枯らし終わらせた――

 ふぉふぉん♪
『戦略級選択的接触除草弾ユグドラゴン:高速徹甲アミノ酸系織誘導弾|(APATHEM)
 /耐食性迅雷鋼|(Tzー0.15Pd)・代替トリアミノトリニトロベンゼン|(ALTATB)・有機個体電解質神力棒|(24V/5500mAh)
 /高次モノコック構造・培養済アミノ酸溶液使用
 /タター・ネネルドの魔術特性由来、魔術構文記述済
 /M・LIISA設計製作:FCU||(フライトコントロールユニット)搭載
 /汎用姿勢制御コントローラー規格||(ジャイロマスター)対応推力偏向装置VTU搭載
 /FCU内蔵マテリアリズムサロゲートモデラー連動信管』

 根が付けられんほど高額な丸たけえたま子細しさいが、また画面モニタすみに出たが――
 字がおおすぎて真んなかまで、はみ出したじゃねぇかぁ――
 まえが見えん――消えろ消せ、退けやぁ!

 要らん画面がめんが立ちどころに消え、空中ちゅうに浮かぶ――――
 『(´~`かお) 』が見えた。

 それは『『ヽ(`曲´まえのやつ)ノ』とちがってて、ながさもみじかければ、えがかれたかおねむたげでいかつくねぇし――矢羽根やばねも生えてない。
 受ける印象いんしょうからすりゃ、まえのたまほどじゃぁねえーがぁ。

 前回ぜんかい、この弾丸たまを避けるのに使つかった――
 皆伝の域にフルまで高められたサポート轟雷の体捌きジャイロマスター
 そんな文様マークが、脳裏のうりに焼き付く――――チチチチチチキピッ♪

 弾丸それが止まっていたのは、刹那せつな
 赤光さっき辿たどり追いかけてきた風雲くもに、おれは吹き飛ばされた!!!

「(にゃるぎわぱー!?)」
 何処どこかとおくから、そんなこえが聞こえたような?

 さかしまになった視界しかい
 地を見ればもりなかに、建物たてものらしきものが見えた。

 それは矢鱈やたら細長ほそなが建物たてもので――――ごわわわわぁぁん♪
 おとはっしてやがる。
 静寂せいじゃくなかにあって、これだけうるせえってこたぁ――
 あの建物たてもの相当強力そうとうきょうりょく魔法具まほうぐか……発掘魔法具アーティファクトなのかも、知れん。

 ごごごごごわわわぁぁん♪
 それは奇っかいおとを、かなでるたびに――
 ながさを伸ばしていく。

 ぼこがぁんわりゃらぁぁん♪
 ちょっと面白おもしろおとがして、建物たてもの直角ちょっかくに曲がった。
 マジ・・で、まんじみてぇなかたち出来できていく。
 どういう仕組しくみだ?

「あのうご屋舎おくしゃは、なんだぜ?」
 ごわんごわんぽこぽこごごごごわわわぁぁぁらぁん♪
 しまいには――――〝ちが釘抜くぎぬき〟……四角しかくかさなったような、ややこしいかたちになった。

   §

 シュゴゴゴォォォォッ――ゴガッチャ、ガッキュゥゥゥン♪
 おれはちかくの大岩おおいわに、降り立った。

 建物たてもの表面ひょうめんはまるで、かんなを掛けた木材もくざいのようになめらかで――
 けど、ぎらぎらとひかってるから、てつか?
 城門じょうもんにしたら相当そうとうまもりがかたくなる。

 ヴュゥーゥゥ♪
 とおくを近くズームして、見れば――
 ごちゃごちゃした継ぎ目なんかは、何処どこかで見たな?

 (ジューク・ジオサイトが所持しょじしていた、ひと格納可能かくのうかのう収納しゅうのう魔法具箱まほうぐばこ酷似こくじしています)
 そうだぜ! 村長そんちょうが持ってたはこに、そっくりだぜ!

 とてもあのはこが、あれだけのおおきさの建物たてものに化けるとはおもえんが――
 実際じっさいにあのはこなかに、おれやミスロット……じゃなくて、ロットリンデさまが――
「閉じ込められたからなぁ――ニャァ
 ん、みょうこえとおりやがる?

「あー、あぁあー――ニャァ
 ひゅうぅぅぅぅぅっ――――!
 鉄鎧てつからだを吹き抜けていく、かぜおと

 チチチチッ――バタバタバタタッ♪
 フッゴフッゴフゴゴゴッ――――ゴドガバキィッ♪
 ッギャーギャーギャー――――ぅううぅぅうほほほほほほっ♪
 色々いろいろうるせぇ、もり魔物まもの

 ざぁぁぁぁぁぁぁ――――かぜに揺れる、葉擦はずれのおと
 みみもとに、いやおとが出るようになったぞ!

「どうやら本当ほんとうに、〝静寂せいじゃくはなつ、二股角の迷子娘ファロコとやら〟を閉じ込めて・・・・・くれたらしいな」
 けどあのよわっちい村長そんちょうが、あばくる二人ふたりなかはいって……大丈夫だいじょうぶか?

「(おぉーぅい! そこのぉー鬼族おにぞくひとやぁーぃ!)」
 なんだか間の抜けたこえが、したような?

►►►ピピピッ♪
 動体検知アクティブトラッカーが、〝ずれてかさねた井戸いどの組み木のような建物たてもの〟の一画いっかくを、指ししめした。

 ヴュゥュー♪
 大写おおうつしにしてみたら、ジューク村長そんちょうが手を振ってた。
 となると矢張やはり、アレ・・は――

収納魔法具しゅうのうまほうぐばこ間違まちがいないらしいぜ――ニャァ
 おれはシュドドドドドと、大筒スラスターを吹かして近寄ちかよった。

ーーー
二町越え/この場合、約250メートル程度。一町が110メートル(諸説あります)。
違い釘抜/座金|(ワッシャー)を図案化した、家紋の一種。太い菱形をずらして重ねたような形。
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