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5:大森林観測村VSガムラン町
611:大森林探索行、リオレイニアにばれる
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「ぐぎぎ、ぐぎぎぎっ――」
蠢く泥闇に――――ヴァリッ♪
雷光が生まれ、生き物のように逃げていく。
「シガミー、起きて下さい」
ペチリと額を叩かれた。
「やめろぉい――むにゃぁ♪」
ゴチン――――うしろ頭に走る衝撃で、目が覚めた。
目を開ければ――膝を払い立ち上がる、女の中の女|(体つき以外)。
頭の痛みはどうやら、膝枕から叩き落とされたっぽいな。
「おいリオさんよぉ! こちとら怪我人だぜ、ちったぁ優しくせんかぁ!」
視界を包む、緑色の光の泡――――シュワァッ♪
頬とか後ろ頭とかの痛みが、スッと引いていく。
蘇生薬の効果が、まだ続いてるらしいぜ
「よっと!」
おれは飛び起き――――ぎゅぎゅぎゅっ♪
寸断されたはずの手先を、何度も強く握ってみる。
ふぉん♪
『リオレイニア>シガミー』
「何でぇい! 彼奴は、何処行ったぁ!?」
錫杖は近くの木に、立てかけてある。
ふぉん
『リオレイニア>シガミー』
ふぉん♪
『シガミー>だから何で』
ぱしり――――くるるん、じゃっりぃぃぃぃぃんっ♪
錫杖を回収して、メイドの中のメイドを振り返った!
きっ――微かに持ち上がる眦。
きゅっ――前掛けのまえで、強く握られる両手。
「あー?」
どうしたぁ、何を本気で怒ってやがる?
乗り物代わりの大杖を、浮かべてやがるし――よ?
ウサギの形の留め具。
持ち上がる、給仕服の袖。
細い指が、左の肘――その辺りを、突いた。
なんだ?
あまりの真剣さにつられた、おれは――
自分の左腕を、真似して指さし――――――――ああああ!
おれはくっついたばかりの右手の先を見て、漸く気づいた。
斬られた部分が、白く筋になっている。
「ぎゃっ!? やべぇ!」
見られた!
〝魔銃オルタネーター【物理】〟を作るとき、暴れたアダマンタイト鉱石に片腕を吹き飛ばされた。
左腕の先は、まだ日に焼けて無くて、生っ白いままだ!
烏天狗の受けた傷跡というか、新しい腕の境目。
其奴を見られたってこたぁ、烏天狗の正体が知られたって事で――
どうする!?
合切ほっぽって、逃げ出すには――
この目の前に立つ、パーティーメンバーは――
こうみえて相当、厄介な相手だった。
おれがいま轟雷を、着ていたなら――
背中の大筒を吹かし脇目も振らずに、逃げ出していたなら――
リオレイニアの大杖の速さと、初心者用魔法杖の早さを、振り切れていたなら――
逃げ出せていたかも知れん。
もう一度、目の前のメイドを見やる。
その顔は、怒っちゃいるが――
「あー、悪かった。悪気が……有ったわけじゃねぇんだが――」
何でぇい。経緯ぐれぇ、おれにもあらぁ!
けど騙していたのは事実で、相違はねぇ。
ここは腹を括る所だ。
「お察しの通り、おれがぁ烏天狗だぜ!」
ドカリと胡座をかいて座る。
「シガミー……」
そんな泣きそうな面を、するんじゃねぇぜ。
リオのそんな顔は見てられん。
このまま経でも唱えちまいそうな、心持になった。
「嘘をついていたのは、謝るぜ! 煮るなり焼くなり、好きにしろい!」
ふわり――細やかな。
其は其は細やかな、柔らかさ。
おれは正面から。抱きしめられた。
「バカを言わないで下さい。シガミーのことだからちょっとした嘘を、その実力でねじ伏せてきたのでしょう?」
震える肩。ソレがおれにも伝わる。
女将さんを100とするなら。
リカルルが60。
オルコトリアが40で、おれやタターなら4て所か。
それでいうなら、彼女のソレは10――――ごごぉん!
「痛ってぇ――――!?」
大杖で脳天を、しこたま殴りつけられた!
いけねぇ。
ふぉん♪
『シガミー>それでいうなら彼女のソレは、〝10柔こい〟だぜ』
一行表示に出ちまってた……心の声が!
胸元を押さえ、口をへの字にした給仕服がひるがえる!
「子細あとで追求しますが、今は――」
ヴォォォォゥン♪
ぎゅりりと回転し、突き込まれる魔法杖。
「だから悪かった! 皆にも話す!」
尚も突き込まれる魔法杖の先に、どんと乗った。
「ソレには及びません――ですが、レイダだけには、折を見て話してください!」
「わかった、そうする! だから杖を、収めてくれやぁ!」
おれを乗せたまま、魔法杖は上昇していく。
「何を言ってるんですか、早くしないと置いて行かれますよ!」
リオが向く方向を振り返り、ずっと先の森を見下ろした。
木々の間に、派手な色の列が見える。
それは見る間に、とおざかっていく。
「なんでぇ、あの速さ!?」
加速する魔法杖。
どん!
おれは杖の先で、坐禅を組んだ。
坊主は、これが一番、据わりが良い。
「捜索対象のファロコさんが、逃亡――」
リオが突然、黙り込んだ。
「――?」
いや違う、おれの声も耳に届かん。
ぬぅ、目を凝らす。
シシガニャンどもの、ずっと先。
あの魔物の娘にこうして近づけば、魔法が使えねぇ。
魔法杖に乗ってる分には、こうして飛んでいられるみてぇだが――
ふぉん♪
『シガミー>まさに死地だな。棒や剣で突こうものなら、雷を落とされるしよ』
こいつぁ結構な、強敵じゃね?
ニゲルみたいな神がかった速さとか、リカルルの怪光線で間合いの外から狙うしか――あ!
そうだぜ。こんな時のために彼奴らが居るんじゃねーか!
蠢く泥闇に――――ヴァリッ♪
雷光が生まれ、生き物のように逃げていく。
「シガミー、起きて下さい」
ペチリと額を叩かれた。
「やめろぉい――むにゃぁ♪」
ゴチン――――うしろ頭に走る衝撃で、目が覚めた。
目を開ければ――膝を払い立ち上がる、女の中の女|(体つき以外)。
頭の痛みはどうやら、膝枕から叩き落とされたっぽいな。
「おいリオさんよぉ! こちとら怪我人だぜ、ちったぁ優しくせんかぁ!」
視界を包む、緑色の光の泡――――シュワァッ♪
頬とか後ろ頭とかの痛みが、スッと引いていく。
蘇生薬の効果が、まだ続いてるらしいぜ
「よっと!」
おれは飛び起き――――ぎゅぎゅぎゅっ♪
寸断されたはずの手先を、何度も強く握ってみる。
ふぉん♪
『リオレイニア>シガミー』
「何でぇい! 彼奴は、何処行ったぁ!?」
錫杖は近くの木に、立てかけてある。
ふぉん
『リオレイニア>シガミー』
ふぉん♪
『シガミー>だから何で』
ぱしり――――くるるん、じゃっりぃぃぃぃぃんっ♪
錫杖を回収して、メイドの中のメイドを振り返った!
きっ――微かに持ち上がる眦。
きゅっ――前掛けのまえで、強く握られる両手。
「あー?」
どうしたぁ、何を本気で怒ってやがる?
乗り物代わりの大杖を、浮かべてやがるし――よ?
ウサギの形の留め具。
持ち上がる、給仕服の袖。
細い指が、左の肘――その辺りを、突いた。
なんだ?
あまりの真剣さにつられた、おれは――
自分の左腕を、真似して指さし――――――――ああああ!
おれはくっついたばかりの右手の先を見て、漸く気づいた。
斬られた部分が、白く筋になっている。
「ぎゃっ!? やべぇ!」
見られた!
〝魔銃オルタネーター【物理】〟を作るとき、暴れたアダマンタイト鉱石に片腕を吹き飛ばされた。
左腕の先は、まだ日に焼けて無くて、生っ白いままだ!
烏天狗の受けた傷跡というか、新しい腕の境目。
其奴を見られたってこたぁ、烏天狗の正体が知られたって事で――
どうする!?
合切ほっぽって、逃げ出すには――
この目の前に立つ、パーティーメンバーは――
こうみえて相当、厄介な相手だった。
おれがいま轟雷を、着ていたなら――
背中の大筒を吹かし脇目も振らずに、逃げ出していたなら――
リオレイニアの大杖の速さと、初心者用魔法杖の早さを、振り切れていたなら――
逃げ出せていたかも知れん。
もう一度、目の前のメイドを見やる。
その顔は、怒っちゃいるが――
「あー、悪かった。悪気が……有ったわけじゃねぇんだが――」
何でぇい。経緯ぐれぇ、おれにもあらぁ!
けど騙していたのは事実で、相違はねぇ。
ここは腹を括る所だ。
「お察しの通り、おれがぁ烏天狗だぜ!」
ドカリと胡座をかいて座る。
「シガミー……」
そんな泣きそうな面を、するんじゃねぇぜ。
リオのそんな顔は見てられん。
このまま経でも唱えちまいそうな、心持になった。
「嘘をついていたのは、謝るぜ! 煮るなり焼くなり、好きにしろい!」
ふわり――細やかな。
其は其は細やかな、柔らかさ。
おれは正面から。抱きしめられた。
「バカを言わないで下さい。シガミーのことだからちょっとした嘘を、その実力でねじ伏せてきたのでしょう?」
震える肩。ソレがおれにも伝わる。
女将さんを100とするなら。
リカルルが60。
オルコトリアが40で、おれやタターなら4て所か。
それでいうなら、彼女のソレは10――――ごごぉん!
「痛ってぇ――――!?」
大杖で脳天を、しこたま殴りつけられた!
いけねぇ。
ふぉん♪
『シガミー>それでいうなら彼女のソレは、〝10柔こい〟だぜ』
一行表示に出ちまってた……心の声が!
胸元を押さえ、口をへの字にした給仕服がひるがえる!
「子細あとで追求しますが、今は――」
ヴォォォォゥン♪
ぎゅりりと回転し、突き込まれる魔法杖。
「だから悪かった! 皆にも話す!」
尚も突き込まれる魔法杖の先に、どんと乗った。
「ソレには及びません――ですが、レイダだけには、折を見て話してください!」
「わかった、そうする! だから杖を、収めてくれやぁ!」
おれを乗せたまま、魔法杖は上昇していく。
「何を言ってるんですか、早くしないと置いて行かれますよ!」
リオが向く方向を振り返り、ずっと先の森を見下ろした。
木々の間に、派手な色の列が見える。
それは見る間に、とおざかっていく。
「なんでぇ、あの速さ!?」
加速する魔法杖。
どん!
おれは杖の先で、坐禅を組んだ。
坊主は、これが一番、据わりが良い。
「捜索対象のファロコさんが、逃亡――」
リオが突然、黙り込んだ。
「――?」
いや違う、おれの声も耳に届かん。
ぬぅ、目を凝らす。
シシガニャンどもの、ずっと先。
あの魔物の娘にこうして近づけば、魔法が使えねぇ。
魔法杖に乗ってる分には、こうして飛んでいられるみてぇだが――
ふぉん♪
『シガミー>まさに死地だな。棒や剣で突こうものなら、雷を落とされるしよ』
こいつぁ結構な、強敵じゃね?
ニゲルみたいな神がかった速さとか、リカルルの怪光線で間合いの外から狙うしか――あ!
そうだぜ。こんな時のために彼奴らが居るんじゃねーか!
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