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5:大森林観測村VSガムラン町

608:大森林探索行、静まる森

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「おぉーい、ファロコやぁーい!」
 青年せいねんと言うほどにはわかくないジューク氏が、こえを張り上げた。
 村長そんちょうと言うにはわかすぎるし、覇気はきのねぇこえが――じつたよりなく。

 (どうしても、ニゲル感・・・・ただよいますね)
 おう、言ってやるな。それでもあのじゃじゃ馬ミスロット曲がりなりにも・・・・・・・御する才覚・・・・・の持ちぬしだぜ。
 ニゲル共々ともども立派りっぱなもんだ。たとえしりに、敷かれてようがぁなぁ。

「おぉーい、ファロコやはぁーっけっほけほけほっ!」
 とはいえ――こうも締まらんと。
 ふぉん♪
『シガミー>ミスロット・リンデが尻や頭を、ひっぱたきたくなるのもわからんでもねぇ』
 ふぉん♪
『ホシガミー>クスクス。シガミーさん、女性の敬称に齟齬がみられます』

 ふぉん♪
『リオレイニア>気になってはいたのですが。正しくは〝ミス〟です。私でしたら〝ミス・リオレイニア〟となります。〝ミスロット〟ではありません』
 ふぉん♪
『シガミー>そうなのか? 本人が〝ミスロット・リンデ〟っていうもんだからよぅ』
 そういや一瞬、ヒントが出てたな。

 ふぉん♪
『ヒント>ミス¹/誤り。間違えること。
     ミス²/独身女性のこと。ひいては女性全般を示す敬称』
 またでた。
 迅雷ジンライおい、返事へんじをしやがれやぁ!
 相棒あいぼうたたいてみるが、返事へんじは無かった。

「をををーぅい!!」
「おほほーいぅ!!」
「ぅおおぉおぉーぅい!!」
 子供らがきども鬼の娘オルコが、うるせぇ。
「むぅをっふぉぉん♪ ずっがぁぁぁぁん――どごーん――どごすーん♪」
 やい、おっさん。やかましぃやぁ!

「んいやっふぉっふっはぁぁぁぁっ――♪」
 大岩おおいわ大木たいぼくめがけ、道具どうぐを突き刺していく〝針刺《はりさ》しおとこ〟。
 コカコカカカガッ――スコココォォン♪
 太針ふとはりだかくいだかを打ち込む騒音そうおん拍子木ひょうしぎみてぇで、聞いていられなくもねぇがなぁ。

「にゃみゃふぎゃにゃぁぁぁぁん――――
「ひひひっぃぃーん――――?」
 おにぎり騎馬きばも、ややうるせぇ。

 こんだけさわいでりゃ、迷子の角娘ファロコとやらみみにもとどくだろう。

「しばらくは、ふくに揺られて、のんびりするかな♪」
 おれをかかえる11ばんに、全力ぜんりょくで身をあずけた。
 ぽきゅぽきゅぽきゅきゅむ♪
 あるおとはうるせぇが、なかなか快適かいてきだぞ。

 これなら町馬車まちばしゃがわりに、なるかもしれん。
 街道かいどうだけじゃなく、野を越え山を越えて――
 そのうえたぶん、かわまで歩いて渡れる・・・・・・しな。
 けど茅野姫ほしがみには、言わないでおこう。
 これ以上いじょう猪蟹屋みせ仕事しごとを増やされたら、おれの目が行きとどかなくなっちま――すやぁ♪

 ぽきゅぽ――――――――。
 んぁ、れつが止まったか!?
 目を開ける。

 つらなるねこ魔物風まものふうどもは、ちゃんとあるいてやがるぞ!?
 どういうこった!? 足音あしおとが聞こえなくなったぞ。
 こんなふかもりではきゅうに、むしとりの鳴きごえが聞こえなくなるときがある。
 本当ほんとうならおおきなけもの魔物まものか、盗賊とうぞく天狗てんぐうたがわねぇといけねぇが。

 かぜにそよぐ葉擦はずれのおとや、「(――――、――!?)」
 こちらを振りかえるリオレイニアのこえまで、聞こえねぇぞ!?

「(――――どーなってやがる!?)」
 おれのこえまで、出なくなったぜっ!

 立ち止まる一列縦隊シシガニャン静寂いへんに気づいた先頭せんとうが、止まったんだろう。
 おれは11ばんあたまに飛び乗り、四方八方しほうはっぽう見渡みわたした!

 わさわさゆらゆらっ!
 おとも無く、おおきく揺れる木々きぎ
 なにかが死角しかくである〝さる〟の方角ほうがくから、出てこようとしてるぜ。

 おれは――ヴッ。くるん、ぱしん。
 鉄輪てつわも鳴らさず、しずかに錫杖しゃくじょうかまえた。

 ボッボッボッボッボッ――――――――!
 しげみから飛び出してきたのは、いつつの黒影くろかげ

 それはあしはえぇ――ししのような、魔物まものだった。
 ただし、日のもと神域惑星しんいきで狩ったのとは――
 そのおおきさがちがっていた!

――でけぇな!」
 兎にかく、真んなか一番いちばんおおきなやつを止める!
 四つ足の・・・・やつらを止めるには、手数てかず圧倒あっとうするにかぎらぁな。

――三の構え――――四方暗器まで。」
 (ヒュヒュヒュヒュッヒュヒュヒヒヒュフォオン!)
 ぅぬぉ!? 風音かざおとがねぇだけで、重心じゅうしんがずれやがる。
 未熟みじゅくだ。この打てばひびく、からだを持ってしても――

――――――――――でぇいりゃあああああ!!)」
 (―――ギャラララッ!)
 両端りょうはじしょある、打突だとつ先端さき
 それをまるで、苦無くない手裏剣しゅりけんのように四方しほうからとばす・・・・・

 (――ガキッ―――ギュキッ!)
 (ガッガッ――ゴン!)
 急所きゅうしょである眉間みけんねらったんだが、つのに当てるので精一杯せいいっぱいだった。

 おれは長い棒スダレ水平すいへいにかまえ――――いんむすぶ。
 これに真言マントラはのらねえが、あるのとないので威力いりょくがなんでか変わる――

――滅せよ!」
 (ドッズズズズズズズムン!)

 一番大いちばんおおきなやつは、たおした。
 文言ばくはつに巻き込まれた、もう1ぴきにもとどめを刺しておく。
 あとはちいせぇから、おにぎりあたりが気づいてくれりゃ――

 ふぉん♪
『シガミー>悪い、2匹しか倒せなかった!』

 ふぉん♪
『ホシガミー>心配いりませんわ。タターさんが残りを、倒してくれましたので♪』
 何言なにいって――振りかえれば、特撃型改シシガニャンの群れに飛び込んだ、のこりの3びきが――
 全部ぜんぶ、ひっくりかえってる。

 タターを見れば――
 高々たかだかかかげた長銃オルタターから、白煙はくえんを立ち上らせていた。
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