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5:大森林観測村VSガムラン町
579:大森林観測所への道、ひとまずレイド村へ
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「これはこれは、ようこそおいで下さったのう、へへははぁー!」
レイド村の転移陣へと飛ぶと――
レイド村村長が、出迎えてくれた。
ふぉん♪
『人物DB/ナッツバー
レイド村村長』
そうだ、そんな名だった。
「みゃにゃぎゃにゃぁー♪」
かしずくナッツバーの頭に、そっと根菜さまを乗せる――強化服自律型一号。
「こら、失礼だろう、おにぎり……御使いさまぁ」
おにぎりに付き従う青年が、そっと村長の頭の上から――根菜さまを回収する。。
「滅相も無いわよっ、従者さまぁ♪ お構いなくぅ?」
ニゲルがおにぎりを御使いと呼び、根菜がニゲルを従者と呼ぶのには訳がある。
そんな下手な芝居を打つのは――
「これはこれは、お久しぶりで御座います。女神さまと御使いさまと、その従者の剣士さま♪」
ナッツバー村長の傍らに片膝を突き、組んだ手をむぎゅりと鼻に押し当てる。
ふぉん♪
『人物DB/ナーフ・アリゲッタ
イオノフ教神官にして、レイド村神官長代理
現在サステイン村の教会より出向中』
敬虔なイオノフ教神官女性である彼女――
汝阿符在下駄が、居るからだった。
§
ヴァタタタタ、ヴゥォォン♪
〝泥音〟とかいう飛ぶ板を飛ばす。
「高く飛ばすなよ? また撃ち落とされちまわぁ」
「了解デす」
ブォォォォォ――――ゥン♪
飛ぶ板は秋空を漂う勝ち虫のように、おれたちを見下ろしている。
「――ニゲルさまぁ、ららぁぁん♪――」
ちなみにニゲルの新しい服は、王女殿下から大絶賛された。
「――ちょっと、おにぎりが御使いさまって、どういうことですの?――」
こっちの映像は飛ばした飛ぶ板越しに、ちゃんと届いているようだ。
安心したがカナル型イヤホン越しに喚くな、うるせぇ。
姫さんたちは、大講堂に残っている。
険しい山道を歩かせるわけにはいかんし、万が一のとき、王様や魔導騎士団へ渡りを付けてもらえるからだ。
「それが……ひそひそ……いろいろと有りまして。村長たちの勘違いを訂正するのが……ひそひそ……面倒だったのです」
おにぎりがイオノファラーの御使いさまとかいう話は、レイド村復興作業に先行した一部の奴らしか知らない。
しかし随分と正直だな、リオレイニア。
「「――なるほど?」――ららぁぁん?――」
「ギャッ!? ビステッカ!? なんでこんな辺鄙な、超絶田舎村にっ!?」
出迎えてくれた神官女性の目が、見開かれた。
「ナーフちゃん!? なんでこんな辺鄙な、超絶田舎村に!?」
五百乃大角とそこそこの大食らい勝負をくり広げる、いつも巻き毛がわさわさしてる子供。
そいつが神官女性を、指さした。
ふぉん♪
『人物DB>初等魔導学院1年A組
ビステッカ・アリゲッタ』
弥笥体迦在下駄……ビステッカアリゲタ――ビステッカだったな。
ふぉん♪
『シガミー>〝アリゲッタ〟てのはどこの、お貴族さまだったか?』
ふぉん♪
『リオレイニア>失礼致します。ガムラン町とは央都を挟んで反対側の、大陸最端の辺境伯です』
おれが作った新しい眼鏡は、一行文字を見るだけじゃなくて――
向こうから参加することも出来る。
ふぉん♪
『ルガーサイト改【金剛相】
防御力310。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
装備した者の眼光を抑制すると同時に、
魔術構文の概算化による詠唱時間短縮。
追加機能/使用者の好みに形状変化可能』
すっぽ――こぉん♪
ふぉん♪
『イオノ>それってガムラン町みたいわの?』
「そんなにぃ、むさ苦しい感じにわぁー、見えないけどぉん?」
根菜がおれの頭じゃ無く、リオレイニアの頭の上に降臨した。
次から次へと、余計な手練……根菜技を身につけやがる。
ふぉん♪
『>私かシガミーが同席する場合、〝ルガーサイト改〟の装着者に着陸出来ます』
うーん。ほかにはおにぎりや茅野姫の頭の上にも、飛べたっけか。
「(間違ってもリオに迷惑を、掛けるんじゃねぇぞ?)」
ふぉん♪
『イオノ>わかっています。蜂女ちゃんは〝シガミー御一行様〟の紅一点。優しくしてあげますわよ♪』
こうしてリオに内緒の一行表示も使えるから、この世界や日の本の話も出来――紅一点?
ふぉん♪
『ヒント>紅一点/読み:こういってん。庭園の緑の中に一輪の赤い花が咲いている様子。ひいては多数の中で異彩を放つこと。男性の中に女性が一人居ること』
中級冒険者パーティー『シガミー御一行様』の構成は――
おれとレイダと茅野姫。あとは根菜と迅雷と、リオレイニアだけだ。
あいつは平たい体つきをしていて、岩壁姫なんて異名も有ったりしたが――
他は子供かりで〝女性〟にゃ、程とおい奴ばっかりだぜ――納得しかねぇ。
こうして日々、神々の言葉や、この惑星ヒースのトッカータ大陸共用語なんかを覚えてきた。
話すこととまるで別のことを考えるのは、仏道以前に人として褒められたことじゃねぇんだが。
中々どうして、知恵も増えるし、何より――魔物や化け物とやり合うときの、修行になってる。
「大陸最端の断崖の向こうには……ひそひそ……海があるため外敵の心配はありません」
魔法杖じゃぁ、塩の水の上を飛べねぇんだったな。
理由はミャッドにも、わからんらしいが。
「じゃぁ、冒険者たちしか居ないガムラン町とは、違うのぉねぇん?」
てちてちてち、ぺちり♪
まるで痛くねぇだろうが、頭を叩いてやるなよ。
「はい。大陸全土を支える、一大穀倉地域です」
つまり、のどかな田舎ってことだな。
ふぉん♪
『イオノ>それで何がおいしいの、その土地わぁ?』
ふぉん♪
『リオレイニア>そうですね、全体的に優しくて甘い料理が』
食いもんの話に、なっちまったな。
悪いが根菜さまの食い道楽は、食う前に話を聞く所から始まりやがるから――
すこし相手をしてやってくれやぁ。
「やい、お前ら。そう田舎田舎と捲し立てるんじゃねぇやい! 田舎村の田舎村長が、泣いちゃったじゃんか!」
崩れ落ちる、ナッツバー村長へ手を差し伸べる。
「よ、よよよよ、良いのじゃぁ。がさつな料理番さまぁ~!」
ぷるぷると、しわしわの手を差し出すご老体――いやまてぃ!
「誰がぁ、がさつだってんだぜ!」
差し出されたてを、ぺちりと叩いてやった!
「「こら! どこからどう見てもシガミーは、がさつです」」
くそう。パーティーメンバーから、言い切られたぜ。
そう、おれたちは早速、大森林観測村最寄りの〝レイド村〟までやってきたのだ。
なんでか、子供たちまで引き連れて。
§
「フカフ村なら、この先の寂れた険しい道を、三週間程進むと見えてきますじゃ」
立ち直った村長が、獣道を指し示す。
3週間の道行きか……結構な行軍だぜ?
ふぉん♪
『>我々なら推定、3日から5日で踏破出来ます』
ふぉん♪
『リオレイニア>イオノファラーさまの転移扉が使えるので事実上、兵站の心配は要りません。時間的にも冬の学期が始まる二ヶ月半までの、猶予が有りますし』
受けたクエストには、完了期日の指定は無かった。
それとは別に学院の、勉強の都合があるだけだ。
しかし、前にも言ったが。
本当この五百乃大角一式が、日の本に有ったら――
ふぉん♪
『>はい。概算ですが約1年ほどで、〝天下太平〟出来ます』
前は14年とか言ってなかったか!?
ふぉん♪
『>長長距離狙撃と強化服技術の向上と、私のタレットスキル解放による評価を更新しましたので』
タターは勘定に入れるなよ。
ふぉん♪
『>でしたら約6年ほどかと』
5年を縮める兵力は侮れんが、冗談でも子供を巻き込むな。
ふぉん♪
『>レイダは良いのですか?』
それも考えんといかんのだが、一先ず保留だ。
日の本に戻る方法もねぇし、やるつもりもねぇ天下太平だったが――
レイダを何処まで冒険者として扱うかは、一朝一夕には決められん。
やること一覧に入れといてくれやぁ――
「いやまて、フカフ村? おれたちが行くのは、大森林観測村だろ?」
おれやリオレイニアの目に、表示されているのは、レイド村周辺地図。
「大森林観測村国じゃないのぉ?」
生意気な子供が、余計なことを言う。
「はははっ、フカフ村の先にまず観測所があるんさね。観測村の名前は――何だかって言うのに変えられたっぽいんだけど、ど忘れしちまったたさね♪」
ふぅん。地図を目で先へ動かすと――
女将さんが言ったとおりに、フカフ村と観測所とやらのアイコンが見えた。
「おやこれはっ――まさかっ!? 神罰の商会長さまではござらぬか!」
「いやぁ懐かしいな。隣町のじいさまぁ! まだ生きてたかぁ、あははははっ♪」
ぺっちんぺっちんと、村長の頭をひっぱたく仏罰の商会長。
「知り合いだったのか?」
「まぁね。フカフ村から物を売りに、しょっちゅう来てたし。なんせ人里に出るには必ず、レイド村を通るしか無いからねぇ」
そりゃ、顔なじみにもなるか。
がやがやがやぎゃぎゃ、わいわいわいわっきゃっきゃっきゃっ♪
うるせぇ。おれたちの背後で五月蠅くしてるのは――
おれは振り返り、〝一クラス分の級友たち〟を見た。
がらららん、ぐわららん♪
うるせぇ。何本もの魔法杖が、ぶち当たる音。
「はーい、みなさーん。山道は険しく魔物も出るそうですのでー、特別講師の先生の言うことを良ーく良く聞いて、楽しいクエストにしましょーう!」
線の細い担任教師が――特別講師へ丸投げする。
ふぉん♪
『人物DB>ヤーベルト・トング
初等魔導学院1年A組担任教師』
こんな大所帯で子供たちを一クラス分も引き連れて、険しい山道を行くのは――
相当骨が折れるから、気持ちは超わかるがぁ。
「はいはぁい、はいはぁいぃーん♪ みなさん、おれっちに注目ーしてっ? ねーぇ?」
出たぜ、奇天烈千万。フッカの父親。凄腕の地図屋。
おっさんが素面になるのわぁ元魔導騎士団総大将ルリ-ロさまの、前だけと来てやがる。
「「「「「「「「「「「「「「「はいははーい♪」」」」」」」」」」」」」」」
子供受けは、矢鱈と良いな。
ひゅひゅひゅひゅんっ――――カチャララララッ♪
おっさんが手にしてるのは、小さな槍の束と大量の細縄。
舞い上がる小槍と細縄。
すぽすぽすぽすぽこぉん――大きな腕輪に全部が、仕舞われていく様わぁ――
おれの大道芸よか、手際が良かった。
「「「「「「「「「「「「「「「わわーい♪」」」」」」」」」」」」」」」
受けも良いときてらぁ。
少し悔しいぜ、どーする迅雷!?
ふぉん♪
『>日々精進するしか有りません。せいぜい我々の芸の肥やしにさせて貰いましょう』
おう、面白ぇ技を見せたら記録しとけや!
おっさんのあの道具のせいで、ずっと働きづめだったんだし、文句も言われんだろう。
あとで見返して芸を、盗んでやるぜ――フフフヘヒッ♪
ふぉん♪
『>そうですね。ミギアーフ・モソモソ氏の要求した装備は、規格外の精度を要求されましたし。それくらいの恩恵を受けても、良いと思われます』
ふぉん♪
『>そうだぜ。アレと比べたらこっちは、よっぽど簡単だったぜ』
よっこらせっと――――――――――――ヴヴヴヴヴヴウッ♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
それは一クラス分の、シシガニャン特撃型改。
出しただけで超絶に、喧しかった。
ーーー
勝ち虫/蜻蛉のこと。前にしか進まない不退転の動きから、いくさ事に験の良い虫とされた。
レイド村の転移陣へと飛ぶと――
レイド村村長が、出迎えてくれた。
ふぉん♪
『人物DB/ナッツバー
レイド村村長』
そうだ、そんな名だった。
「みゃにゃぎゃにゃぁー♪」
かしずくナッツバーの頭に、そっと根菜さまを乗せる――強化服自律型一号。
「こら、失礼だろう、おにぎり……御使いさまぁ」
おにぎりに付き従う青年が、そっと村長の頭の上から――根菜さまを回収する。。
「滅相も無いわよっ、従者さまぁ♪ お構いなくぅ?」
ニゲルがおにぎりを御使いと呼び、根菜がニゲルを従者と呼ぶのには訳がある。
そんな下手な芝居を打つのは――
「これはこれは、お久しぶりで御座います。女神さまと御使いさまと、その従者の剣士さま♪」
ナッツバー村長の傍らに片膝を突き、組んだ手をむぎゅりと鼻に押し当てる。
ふぉん♪
『人物DB/ナーフ・アリゲッタ
イオノフ教神官にして、レイド村神官長代理
現在サステイン村の教会より出向中』
敬虔なイオノフ教神官女性である彼女――
汝阿符在下駄が、居るからだった。
§
ヴァタタタタ、ヴゥォォン♪
〝泥音〟とかいう飛ぶ板を飛ばす。
「高く飛ばすなよ? また撃ち落とされちまわぁ」
「了解デす」
ブォォォォォ――――ゥン♪
飛ぶ板は秋空を漂う勝ち虫のように、おれたちを見下ろしている。
「――ニゲルさまぁ、ららぁぁん♪――」
ちなみにニゲルの新しい服は、王女殿下から大絶賛された。
「――ちょっと、おにぎりが御使いさまって、どういうことですの?――」
こっちの映像は飛ばした飛ぶ板越しに、ちゃんと届いているようだ。
安心したがカナル型イヤホン越しに喚くな、うるせぇ。
姫さんたちは、大講堂に残っている。
険しい山道を歩かせるわけにはいかんし、万が一のとき、王様や魔導騎士団へ渡りを付けてもらえるからだ。
「それが……ひそひそ……いろいろと有りまして。村長たちの勘違いを訂正するのが……ひそひそ……面倒だったのです」
おにぎりがイオノファラーの御使いさまとかいう話は、レイド村復興作業に先行した一部の奴らしか知らない。
しかし随分と正直だな、リオレイニア。
「「――なるほど?」――ららぁぁん?――」
「ギャッ!? ビステッカ!? なんでこんな辺鄙な、超絶田舎村にっ!?」
出迎えてくれた神官女性の目が、見開かれた。
「ナーフちゃん!? なんでこんな辺鄙な、超絶田舎村に!?」
五百乃大角とそこそこの大食らい勝負をくり広げる、いつも巻き毛がわさわさしてる子供。
そいつが神官女性を、指さした。
ふぉん♪
『人物DB>初等魔導学院1年A組
ビステッカ・アリゲッタ』
弥笥体迦在下駄……ビステッカアリゲタ――ビステッカだったな。
ふぉん♪
『シガミー>〝アリゲッタ〟てのはどこの、お貴族さまだったか?』
ふぉん♪
『リオレイニア>失礼致します。ガムラン町とは央都を挟んで反対側の、大陸最端の辺境伯です』
おれが作った新しい眼鏡は、一行文字を見るだけじゃなくて――
向こうから参加することも出来る。
ふぉん♪
『ルガーサイト改【金剛相】
防御力310。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
装備した者の眼光を抑制すると同時に、
魔術構文の概算化による詠唱時間短縮。
追加機能/使用者の好みに形状変化可能』
すっぽ――こぉん♪
ふぉん♪
『イオノ>それってガムラン町みたいわの?』
「そんなにぃ、むさ苦しい感じにわぁー、見えないけどぉん?」
根菜がおれの頭じゃ無く、リオレイニアの頭の上に降臨した。
次から次へと、余計な手練……根菜技を身につけやがる。
ふぉん♪
『>私かシガミーが同席する場合、〝ルガーサイト改〟の装着者に着陸出来ます』
うーん。ほかにはおにぎりや茅野姫の頭の上にも、飛べたっけか。
「(間違ってもリオに迷惑を、掛けるんじゃねぇぞ?)」
ふぉん♪
『イオノ>わかっています。蜂女ちゃんは〝シガミー御一行様〟の紅一点。優しくしてあげますわよ♪』
こうしてリオに内緒の一行表示も使えるから、この世界や日の本の話も出来――紅一点?
ふぉん♪
『ヒント>紅一点/読み:こういってん。庭園の緑の中に一輪の赤い花が咲いている様子。ひいては多数の中で異彩を放つこと。男性の中に女性が一人居ること』
中級冒険者パーティー『シガミー御一行様』の構成は――
おれとレイダと茅野姫。あとは根菜と迅雷と、リオレイニアだけだ。
あいつは平たい体つきをしていて、岩壁姫なんて異名も有ったりしたが――
他は子供かりで〝女性〟にゃ、程とおい奴ばっかりだぜ――納得しかねぇ。
こうして日々、神々の言葉や、この惑星ヒースのトッカータ大陸共用語なんかを覚えてきた。
話すこととまるで別のことを考えるのは、仏道以前に人として褒められたことじゃねぇんだが。
中々どうして、知恵も増えるし、何より――魔物や化け物とやり合うときの、修行になってる。
「大陸最端の断崖の向こうには……ひそひそ……海があるため外敵の心配はありません」
魔法杖じゃぁ、塩の水の上を飛べねぇんだったな。
理由はミャッドにも、わからんらしいが。
「じゃぁ、冒険者たちしか居ないガムラン町とは、違うのぉねぇん?」
てちてちてち、ぺちり♪
まるで痛くねぇだろうが、頭を叩いてやるなよ。
「はい。大陸全土を支える、一大穀倉地域です」
つまり、のどかな田舎ってことだな。
ふぉん♪
『イオノ>それで何がおいしいの、その土地わぁ?』
ふぉん♪
『リオレイニア>そうですね、全体的に優しくて甘い料理が』
食いもんの話に、なっちまったな。
悪いが根菜さまの食い道楽は、食う前に話を聞く所から始まりやがるから――
すこし相手をしてやってくれやぁ。
「やい、お前ら。そう田舎田舎と捲し立てるんじゃねぇやい! 田舎村の田舎村長が、泣いちゃったじゃんか!」
崩れ落ちる、ナッツバー村長へ手を差し伸べる。
「よ、よよよよ、良いのじゃぁ。がさつな料理番さまぁ~!」
ぷるぷると、しわしわの手を差し出すご老体――いやまてぃ!
「誰がぁ、がさつだってんだぜ!」
差し出されたてを、ぺちりと叩いてやった!
「「こら! どこからどう見てもシガミーは、がさつです」」
くそう。パーティーメンバーから、言い切られたぜ。
そう、おれたちは早速、大森林観測村最寄りの〝レイド村〟までやってきたのだ。
なんでか、子供たちまで引き連れて。
§
「フカフ村なら、この先の寂れた険しい道を、三週間程進むと見えてきますじゃ」
立ち直った村長が、獣道を指し示す。
3週間の道行きか……結構な行軍だぜ?
ふぉん♪
『>我々なら推定、3日から5日で踏破出来ます』
ふぉん♪
『リオレイニア>イオノファラーさまの転移扉が使えるので事実上、兵站の心配は要りません。時間的にも冬の学期が始まる二ヶ月半までの、猶予が有りますし』
受けたクエストには、完了期日の指定は無かった。
それとは別に学院の、勉強の都合があるだけだ。
しかし、前にも言ったが。
本当この五百乃大角一式が、日の本に有ったら――
ふぉん♪
『>はい。概算ですが約1年ほどで、〝天下太平〟出来ます』
前は14年とか言ってなかったか!?
ふぉん♪
『>長長距離狙撃と強化服技術の向上と、私のタレットスキル解放による評価を更新しましたので』
タターは勘定に入れるなよ。
ふぉん♪
『>でしたら約6年ほどかと』
5年を縮める兵力は侮れんが、冗談でも子供を巻き込むな。
ふぉん♪
『>レイダは良いのですか?』
それも考えんといかんのだが、一先ず保留だ。
日の本に戻る方法もねぇし、やるつもりもねぇ天下太平だったが――
レイダを何処まで冒険者として扱うかは、一朝一夕には決められん。
やること一覧に入れといてくれやぁ――
「いやまて、フカフ村? おれたちが行くのは、大森林観測村だろ?」
おれやリオレイニアの目に、表示されているのは、レイド村周辺地図。
「大森林観測村国じゃないのぉ?」
生意気な子供が、余計なことを言う。
「はははっ、フカフ村の先にまず観測所があるんさね。観測村の名前は――何だかって言うのに変えられたっぽいんだけど、ど忘れしちまったたさね♪」
ふぅん。地図を目で先へ動かすと――
女将さんが言ったとおりに、フカフ村と観測所とやらのアイコンが見えた。
「おやこれはっ――まさかっ!? 神罰の商会長さまではござらぬか!」
「いやぁ懐かしいな。隣町のじいさまぁ! まだ生きてたかぁ、あははははっ♪」
ぺっちんぺっちんと、村長の頭をひっぱたく仏罰の商会長。
「知り合いだったのか?」
「まぁね。フカフ村から物を売りに、しょっちゅう来てたし。なんせ人里に出るには必ず、レイド村を通るしか無いからねぇ」
そりゃ、顔なじみにもなるか。
がやがやがやぎゃぎゃ、わいわいわいわっきゃっきゃっきゃっ♪
うるせぇ。おれたちの背後で五月蠅くしてるのは――
おれは振り返り、〝一クラス分の級友たち〟を見た。
がらららん、ぐわららん♪
うるせぇ。何本もの魔法杖が、ぶち当たる音。
「はーい、みなさーん。山道は険しく魔物も出るそうですのでー、特別講師の先生の言うことを良ーく良く聞いて、楽しいクエストにしましょーう!」
線の細い担任教師が――特別講師へ丸投げする。
ふぉん♪
『人物DB>ヤーベルト・トング
初等魔導学院1年A組担任教師』
こんな大所帯で子供たちを一クラス分も引き連れて、険しい山道を行くのは――
相当骨が折れるから、気持ちは超わかるがぁ。
「はいはぁい、はいはぁいぃーん♪ みなさん、おれっちに注目ーしてっ? ねーぇ?」
出たぜ、奇天烈千万。フッカの父親。凄腕の地図屋。
おっさんが素面になるのわぁ元魔導騎士団総大将ルリ-ロさまの、前だけと来てやがる。
「「「「「「「「「「「「「「「はいははーい♪」」」」」」」」」」」」」」」
子供受けは、矢鱈と良いな。
ひゅひゅひゅひゅんっ――――カチャララララッ♪
おっさんが手にしてるのは、小さな槍の束と大量の細縄。
舞い上がる小槍と細縄。
すぽすぽすぽすぽこぉん――大きな腕輪に全部が、仕舞われていく様わぁ――
おれの大道芸よか、手際が良かった。
「「「「「「「「「「「「「「「わわーい♪」」」」」」」」」」」」」」」
受けも良いときてらぁ。
少し悔しいぜ、どーする迅雷!?
ふぉん♪
『>日々精進するしか有りません。せいぜい我々の芸の肥やしにさせて貰いましょう』
おう、面白ぇ技を見せたら記録しとけや!
おっさんのあの道具のせいで、ずっと働きづめだったんだし、文句も言われんだろう。
あとで見返して芸を、盗んでやるぜ――フフフヘヒッ♪
ふぉん♪
『>そうですね。ミギアーフ・モソモソ氏の要求した装備は、規格外の精度を要求されましたし。それくらいの恩恵を受けても、良いと思われます』
ふぉん♪
『>そうだぜ。アレと比べたらこっちは、よっぽど簡単だったぜ』
よっこらせっと――――――――――――ヴヴヴヴヴヴウッ♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
それは一クラス分の、シシガニャン特撃型改。
出しただけで超絶に、喧しかった。
ーーー
勝ち虫/蜻蛉のこと。前にしか進まない不退転の動きから、いくさ事に験の良い虫とされた。
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そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
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とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
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そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
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