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5:大森林観測村VSガムラン町

579:大森林観測所への道、ひとまずレイド村へ

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「これはこれは、ようこそおいでくださったのう、へへははぁー!」
 レイドむら転移陣めがみぞうのまへと飛ぶと―― 
 レイド村村長むらそんちょうが、出迎でむかえてくれた。

 ふぉん♪
『人物DB/ナッツバー
      レイド村村長』
 そうだ、そんなだった。

「みゃにゃぎゃにゃぁー
 かしずくナッツバーのあたまに、そっと根菜こんさいさまを乗せる――強化服自律型シシガニャン一号いちごう
「こら、失礼しつれいだろう、おにぎり……御使みつかいさまぁ」
 おにぎりに付きしたが青年ニゲルが、そっと村長そんちょうあたまうえから――根菜さまそれ回収かいしゅうする。。

滅相めっそうも無いわよっ、従者じゅうしゃさまぁ♪ おかまいなくぅ
 ニゲルがおにぎりを御使い・・・と呼び、根菜こんさいがニゲルを従者じゅうしゃと呼ぶのにはわけがある。
 そんな下手へた芝居しばいを打つのは――

「これはこれは、おひさしぶりで御座ございます。女神めがみさまと御使みつかいさまと、その従者じゅうしゃ剣士けんしさま♪」
 ナッツバー村長そんちょうかたわらに片膝かたひざを突き、組んだ手をむぎゅりとはなに押し当てる。
 ふぉん♪
『人物DB/ナーフ・アリゲッタ
      イオノフ教神官にして、レイド村神官長代理
      現在サステイン村の教会より出向中』
 敬虔けいけんなイオノフ教神官きょうしんかん女性じょせいである彼女かのじょ――
 汝阿符在下駄ナアフアリゲタが、居るから・・・・だった。

   §

 ヴァタタタタ、ヴゥォォン♪
 〝泥音どろおん〟とかいう飛ぶ板・・・を飛ばす。

たかく飛ばすなよ? また撃ち落とされちまわぁ」
了解りょうかイ
 ブォォォォォ――――ゥン♪
 飛ぶ板それ秋空あきぞらただよ勝ち虫とんぼのように、おれたちを見下みおろしている。

「――ニゲルさまぁ、ららぁぁん♪――」
 ちなみにニゲルのあたらしいふくは、王女殿下ラプトルから大絶賛だいぜっさんされた。
「――ちょっと、おにぎりが御使いさま・・・・・って、どういうことですの?――」

 こっちの映像ようすは飛ばした飛ぶ板越どろおんごしに、ちゃんととどいているようだ。
 安心あんしんしたがカナル型イヤホンみみせん越しにわめくな、うるせぇ。

 ひめさんたちは、大講堂おうとのこっている。
 けわしい山道やまみちあるかせるわけにはいかんし、まんいちのとき、王様おうさま魔導騎士団まどうきしだんわたりを付けてもらえるからだ。

「それが……ひそひそ……いろいろと有りまして。村長たちかれら勘違いを訂正する・・・・・・・・のが……ひそひそ……面倒めんどうだったのです」
 おにぎりがイオノファラーの御使みつかいさまとかいうはなしは、レイド村復興作業むらふっこうさぎょう先行せんこうした一部いちぶやつらしか知らない。
 しかし随分ずいぶん正直しょうじきだな、リオレイニア。
「「――なるほど?」――ららぁぁん?――」

「ギャッ!? ビステッカ!? なんでこんな辺鄙へんぴな、超絶田舎村ちょうぜついなかむらにっ!?」
 出迎でむかえてくれた神官女性ナーフの目が、見開みひらかれた。

「ナーフちゃん!? なんでこんな辺鄙へんぴな、超絶田舎村ちょうせついなかむらに!?」
 五百乃大角いおのはらとそこそこの大食おおぐらい勝負しょうぶをくりひろげる、いつも巻き毛がわさわさしてる子供こども
 そいつが神官女性ナーフちゃんを、ゆびさした。

 ふぉん♪
『人物DB>初等魔導学院1年A組
      ビステッカ・アリゲッタ』
 弥笥体迦在下駄ビステイカアリゲタ……ビステッカアリゲタ――ビステッカだったな。

 ふぉん♪
『シガミー>〝アリゲッタ〟てのはどこの、お貴族さまだったか?』
 ふぉん♪
『リオレイニア>失礼致します。ガムラン町とは央都を挟んで反対側の、大陸最端の辺境伯です』
 おれがつくったあたらしい眼鏡めがねは、一行文字ティッカーを見るだけじゃなくて――
 向こうから参加さんかすることも出来できる。

 ふぉん♪
『ルガーサイト改【金剛相】
 防御力310。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
 装備した者の眼光を抑制すると同時に、
 魔術構文の概算化による詠唱時間短縮。
 追加機能/使用者の好みに形状変化可能』


 すっぽ――こぉん♪
 ふぉん♪
『イオノ>それってガムラン町みたいわの?』
「そんなにぃ、むさくるしいかんじにわぁー、見えないけどぉん
 根菜こんさいがおれのあたまじゃ無く、リオレイニアのあたまうえ降臨こうりんした。
 つぎからつぎへと、余計よけい手練てくだ……根菜技みわざを身につけやがる。

 ふぉん♪
『>私かシガミーが同席する場合、〝ルガーサイト改〟の装着者に着陸出来ます』
 うーん。ほかにはおにぎりや茅野姫ほしがみあたまうえにも、飛べたっけか。
「(間違まちってもリオに迷惑めいわくを、掛けるんじゃねぇぞ?)」

 ふぉん♪
『イオノ>わかっています。蜂女ちゃんは〝シガミー御一行様〟の紅一点。優しくしてあげますわよ♪』
 こうしてリオに内緒ないしょ一行表示ティッカー使つかえるから、この世界うつつや日のもとはなし出来でき――紅一点くれないわずか
 ふぉん♪
『ヒント>紅一点/読み:こういってん。庭園の緑の中に一輪の赤い花が咲いている様子。ひいては多数の中で異彩を放つこと。男性の中に女性が一人居ること』
 中級ちゅうきゅう冒険者ぼうけんしゃパーティー『シガミー御一行様』の構成こうせいは――
 おれとレイダと茅野姫ほしがみ。あとは根菜こんさい迅雷ジンライと、リオレイニアだけだ。

 あいつはひらたいからだつきをしていて、岩壁姫イワカベヒメなんて異名いみょうも有ったりしたが――
 ほか子供がきかりで〝女性おんな〟にゃ、ほどとおいやつばっかりだぜ――納得なっとくしかねぇ。

 こうして日々ひび神々かみがみ言葉ことばや、この惑星わくせいヒースのトッカータ大陸共用語たいりくきょうようごなんかをおぼえてきた。
 はなすこととまるでべつのことをかんがえるのは、仏道以前ぶつどういぜんひととして褒められたことじゃねぇんだが。
 中々なかなかどうして、知恵しえも増えるし、なにより――魔物まものや化けものとやり合うときの、修行しゅぎょうになってる。

大陸最端たいりくさいたん断崖だんがいの向こうには……ひそひそ……うみがあるため外敵がいてき心配しんぱいはありません」
 魔法杖つえじゃぁ、しおみずうえ飛べねぇ・・・・んだったな。
 理由なんでかはミャッドにも、わからんらしいが。

「じゃぁ、冒険者たちむさくるしいのしか居ないガムランちょうとは、ちがうのぉねぇん
 てちてちてち、ぺちり♪
 まるでいたくねぇだろうが、あたまたたいてやるなよ。

「はい。大陸全土たいりくぜんどささえる、一大穀倉いちだいこくそう地域ちいきです」
 つまり、のどかな田舎いなかってことだな。
 ふぉん♪
『イオノ>それで何がおいしいの、その土地わぁ?』
 ふぉん♪
『リオレイニア>そうですね、全体的に優しくて甘い料理が』
 食いもんのはなしに、なっちまったな。
 わるいが根菜さまいおのはらの食い道楽どうらくは、食うまえはなしを聞くところからはじまりやがるから――
 すこし相手あいてをしてやってくれやぁ。

「やい、おまえら。そう田舎田舎いなかいなかまくし立てるんじゃねぇやい! 田舎村いなかむら田舎村長いなかそんちょうが、泣いちゃったじゃんか!」
 くずれ落ちる、ナッツバー村長そんちょうへ手を差し伸べる。

「よ、よよよよ、良いのじゃぁ。がさつな料理番りょうりばんさまぁ~!」
 ぷるぷると、しわしわの手を差し出すご老体ナッツバー――いやまてぃ!
だれがぁ、がさつだってんだぜ!」
 差し出されたてを、ぺちりとたたいてやった!

「「こら! どこからどう見てもシガミーは、がさつです」」
 くそう。パーティーメンバーから、言い切られたぜ。

 そう、おれたちは早速さっそく大森林だいしんりん観測村最寄かんそくむらもよりの〝レイドむら〟までやってきたのだ。
 なんでか、子供たちがきどもまで引き連れて。

   §

「フカフむらなら、このさきさびれたけわしいみちを、三週間さんしゅうかん程進ほどすすむと見えてきますじゃ」
 立ちなおった村長そんちょうが、獣道けものみちを指ししめす。
 3週間しゅうかん道行みちゆきか……結構けっこう行軍こうぐんだぜ?
 ふぉん♪
『>我々なら推定、3日から5日で踏破出来ます』
 ふぉん♪
『リオレイニア>イオノファラーさまの転移扉が使えるので事実上、兵站の心配は要りません。時間的にも冬の学期が始まる二ヶ月半までの、猶予が有りますし』
 受けたクエストには、完了期日かんりょうきじつ指定していは無かった。
 それとはべつ学院がくいんの、勉強べんきょう都合つごうがあるだけだ。

 しかし、まえにも言ったが。
 本当ほんとうこの五百乃大角いおのはら一式いっしきが、日のもとに有ったら――
 ふぉん♪
『>はい。概算ですが約1年ほどで、〝天下太平〟出来ます』

 まえは14ねんとか言ってなかったか!?
 ふぉん♪
『>長長距離狙撃と強化服技術の向上と、私のタレットスキル解放による評価を更新しましたので』
 タターは勘定かんじょうに入れるなよ。
 ふぉん♪
『>でしたら約6年ほどかと』
 5ねんちぢめる兵力へいりょくあなどれんが、冗談じょうだんでも子供わらしを巻き込むな。
 ふぉん♪
『>レイダは良いのですか?』
 それもかんがえんといかんのだが、一先ひっとま保留ほりゅうだ。
 日のもともど方法すべもねぇし、やるつもりもねぇ天下太平てんかたいへいだったが――
 レイダを何処どこまで冒険者として扱うか・・・・・・・・・は、一朝一夕いっちょういっせきには決められん。
 やること一覧TODOに入れといてくれやぁ――

「いやまて、フカフむら? おれたちが行くのは、大森林だいしんりん観測村かんそくむらだろ?」
 おれやリオレイニアの目に、表示うつしだされているのは、レイド村周辺地図むらしゅうへんちず

大森林だいしんりん観測村国かんそくむらこくじゃないのぉ?」
 生意気なまいき子供レイダが、余計よけいなことを言う。

「はははっ、フカフむらさきにまず観測所かんそくじょがあるんさね。観測村かんそくむら名前なまえは――なんだかって言うのに変えられたっぽいんだけど、どわすれしちまったたさね♪」
 ふぅん。地図ちずを目でさきうごかすと――
 女将おかみさんが言ったとおりに、フカフむら観測所かんそくじょとやらのアイコンが見えた。

「おやこれはっ――まさかっ!? 神罰しんばつ商会長しょうかいちょうさまではござらぬか!」
「いやぁなつかしいな。隣町となりまちのじいさまぁ! まだ生きてたかぁ、あははははっ♪」
 ぺっちんぺっちんと、村長じいさまあたまをひっぱたく仏罰ぶつばち商会長しょうかいちょう

「知り合いだったのか?」
「まぁね。フカフむらからものを売りに、しょっちゅう来てたし。なんせ人里ひとざとに出るにはかならず、レイドむらとおるしか無いからねぇ」
 そりゃ、かおなじみにもなるか。

 がやがやがやぎゃぎゃ、わいわいわいわっきゃっきゃっきゃっ♪
 うるせぇ。おれたちの背後うしろ五月蠅うるさくしてるのは――
 おれは振り返り、〝ひとクラスぶん級友きゅうゆうたち〟を見た。

 がらららん、ぐわららん♪
 うるせぇ。何本なんぼんもの魔法杖まほうつえが、ぶち当たるおと

「はーい、みなさーん。山道やまみちけわしく魔物まものも出るそうですのでー、特別講師とくべつこうし先生せんせいの言うことを良ーく良く聞いて、たのしいクエストにしましょーう!」
 せんほそ担任教師たんにんきょうしが――特別講師・・・・丸投まるなげする。

 ふぉん♪
『人物DB>ヤーベルト・トング
      初等魔導学院1年A組担任教師』
 こんな大所帯おおじょたい子供たちがきどもひとクラスぶんも引き連れて、けわしい山道や、まみちを行くのは――
 相当骨そうとうほねが折れるから、気持きもちはちょうわかるがぁ。

「はいはぁい、はいはぁいぃーん♪ みなさん、おれっちに注目ちゅうもくーしてっ? ねーぇ?」
 出たぜ、奇天烈千万きてれつせんばん。フッカの父親ちちおや凄腕すごうで地図屋ちずや
 おっさんが素面まともになるのわぁ元魔導もとまどう騎士団きしだん総大将そうだいしょうルリ-ロさまの、まえだけと来てやがる。

「「「「「「「「「「「「「「「はいははーい♪」」」」」」」」」」」」」」」
 子供受こどもうけは、矢鱈やたらと良いな。

 ひゅひゅひゅひゅんっ――――カチャララララッ♪
 おっさんが手にしてるのは、ちいさなやりたば大量たいりょう細縄ほそなわ
 舞い上がる小槍こやり細縄ほそなわ
 すぽすぽすぽすぽこぉん――おおきな腕輪うでわ全部ぜんぶが、仕舞しまわれていくさまわぁ――
 おれの大道芸みせもんよか、手際てぎわが良かった。

「「「「「「「「「「「「「「「わわーい♪」」」」」」」」」」」」」」」
 受けも良いときてらぁ。
 すこくやしいぜ、どーする迅雷ジンライ!?
 ふぉん♪
『>日々精進するしか有りません。せいぜい我々の芸の肥やしにさせて貰いましょう』
 おう、面白おもしれわざを見せたら記録ブクマしとけや!
 おっさんのあの道具どうぐのせいで、ずっとはたらきづめだったんだし、文句もんくも言われんだろう。
 あとで見返みかえしてげいを、ぬすんでやるぜ――フフフヘヒッ♪

 ふぉん♪
『>そうですね。ミギアーフ・モソモソ氏の要求した装備は、規格外の精度を要求されましたし。それくらいの恩恵を受けても、良いと思われます』
 ふぉん♪
『>そうだぜ。アレと比べたらこっちは、よっぽど簡単だったぜ』
 よっこらせっと――――――――――――ヴヴヴヴヴヴウッ♪

 ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
 ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
 ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
 ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪
 ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこん、ぽきゅぽこむん♪

 それはひとクラスぶんの、シシガニャン特撃型改とくげきがたかい
 出しただけで超絶ちょうぜつに、やかましかった。

ーーー
勝ち虫/蜻蛉のこと。前にしか進まない不退転の動きから、いくさ事に験の良い虫とされた。
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