上 下
566 / 738
4:龍撃の学院

566:おとぎ話と龍撃戦、また来世で

しおりを挟む
 キィ――ン。
 強化服シシガニャン丸頭まるあたま。その裏側うらがわにはなにも、うつし出されていない。
 ソレなのにからだふるえが、しずまらねぇ。

 ふぉふぉん♪
『>全ての設定項目を初期化。動体検知機能再起動します』
 揺らぐそと景色けしきおおきなおにぎりのかおも、ゆらり。
 黄緑色きみどりのなかに赤色あかが、差し込んでる?

◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄◄ピピピピピピピピピピピピピピピピピピィ――――♪
 それは、とんでもなくなげぇ――――――――おとが鳴り止まなくなった!
 おにぎりをつらぬき、一直線いっちょくせんうつり込むのは――動体検知アクティブトラッカーかっ!?
 赤い筋さんかく巨木きょぼく太枝ふとえだに、到達とうたつする。
 さっきまで飛んできた弾丸たまに、こんなのは見えなかったぞ!?

 ふぉん♪
『>類推になりますが』
 言ってみろ!
 ふぉん♪
『>現職場の雇用主と、師事する元上司と、懇意にしてくれている王家筋の友人から、激励されればこうなるかと』

 「がんばれ」と言われて――発奮はっぷんしたのか。

「くそうっ! 盾代たてがわりにするから、機械腕プロダクトアーム予備腕倉カートリッジをありったけ出せ!――ニャァ♪」
 ふぉん♪
『>猪蟹屋標準装備の給仕服や執事服へ、極小の機械腕を供給したため、通常使用の機械腕ローディング機構への換装に3分ほどかかります』
 あーっ! ニゲルのふくつくってやるのに、ゴワゴワしねぇように気遣きづかってやったなそういや。

 じゃ、手持てもちの在庫ざいこわぁ!?
 ふぉん♪
『>すぐ使える分量は距離にして約3キロメートル。215シガミー程度では、初速2000㎞/sの亜音速弾を止めることは不可能です』

 んだとぉ?
「(やってみねぇと、わからんだろぉーがぁ!)」
 このへんにしか生えねぇ、病気びょうきに良く効くめずらしいくさなんかは――
 全部枯ぜんぶからしちまったら、取りかえしが付かんぞ!?

 おれは鉄鎧ゴウライを、もう一度着いちどきる――カヒューィ、ガゴゴンッ!

 シュゴゴゴゴゴォォォォ、ヴァヴァヴァッ――――ガッキュゥゥゥゥゥン♪
 おれはとりでかこ城壁じょうへきへ、飛び乗った。
 そしてニゲル青年せいねんが〝炉端麩羅面ロボットプラモ〟と呼んで、執心しゅうしんする――
 轟雷おれ鉄鎧てつよろいからだを、半身はんみかまえた!

   §

 キィ――ン。
 また、怖気おぞけはしった。
 太刀たちを繰り出した歯車はぐるまが、いつまでもまわってる。

 ガムランちょうギルド支部しぶ展望台てんぼうだい
 そこから真っ直ぐに伸びる、あか軌跡とげは――
 てき味方みかた居場所いちを指ししめす、動体検知アクティブトラッカーだ。

▲▲▲ピピピッ♪
▲▲▲ピピピッ♪

 もう二個出にこでたが――こいつらは緑色。
 つまりおれの足下をうろつく、おにぎりとてんぷらごうだ。
 緑色こいつ味方みかた兵卒へいそつを、あらわしてる。

 おれの無数むすう外部がいぶカメラが――チチチピー♪
 ふたたうごはじめた巨木きょぼくの木の根や太枝ふとえだを、追跡サーチはじめる。

 ふぉ――ヴォゥン♪
 てきとらえる画面表示がめんひょうじとは、別の枠・・・
 わくおさまらない長文ちょうぶんが行ったり来たりして、何度なんどうつし出されている。
 わるかおの絵がえがかれた弾丸たまは、あり得ないながながくて――

『戦略級選択的接触除草弾ユグドラゴン:高速徹甲アミノ酸系織誘導弾|(APATHEM)
 /耐食性迅雷鋼|(Tzー0.15Pd)・代替トリアミノトリニトロベンゼン|(ALTATB)・有機個体電解質神力棒|(24V/5500mAh)
 /高次モノコック構造・培養済アミノ酸溶液使用
 /タター・ネネルドの魔術特性由来、魔術構文記述済
 /M・LIISA設計製作:FCU||(フライトコントロールユニット)搭載
 /汎用姿勢制御コントローラー規格||(ジャイロマスター)対応推力偏向装置VTU搭載
 /FCU内蔵マテリアリズムサロゲートモデラー連動信管』

 つらつらとながれていく説明文せつめいぶんまでも、矢鱈やたらなげかった!
 五百乃大角いおのはらがこの辺一帯へんいったいを枯らすためにこしらえた、〝くさのぞたま〟の地力じりょく
 それが、どれくらい草を枯らす・・・・・・・・・・のか。
 それはおれが見ても、わかるわけも無く。

「(おい、いまから飛んでくる悪い顔のこいつ・・・・・・・ぁ、なんだぜ!?)」
 ふぉん♪
『>とにかく避けてください。弾道の3シガミー内に、ゴウライの体が触れた場合において、生存の確率は有りま』
 は? 3シガミー?
 そんなにはなれねぇと、この轟雷ごうらいを着たおれが――
 生きちゃいられねぇ・・・・・・・・・ってのか!?
 尋常じんじょうじゃぁねぇぞ?

「ばか――」やろうめ。そんなことわぁ、おれが立ちふさがるまえに言えやぁ!!

 赤色の三角形モーショントラッカーは真っ直ぐおれの、鳩尾みぞおちあたり――
 胸部装甲板きょうぶそうこうばんつらぬいてる。

 この殺気さっきは、つまるところ――メイド少女しょうじょタターがはっしている。
 おれがつくったゴーレムの目玉めだま
 全天球ぜんてんきゅうレンズ越しに、轟雷おれ姿すがたとらええているはずだ。
 なのになんで――赤色あかいろなんだ!

 ふぉん♪
『>ローンチを確認。到達まで3秒』
「(シガミー、さような)」
 縁起えんぎでもねぇことを、言うなあぁ!

 おれは背中の大筒スラスターを、爆発ばくはつさせた。
 3シガミーの彼方かなた目指めざし、飛んでくる悪い顔たまを避ける。
 まだまだ死ねん。五百乃大角いおのはられいのレア茸飯きのこめしも、食わせてやらねぇと。
 めしうらみで世界うつつほろぼされちゃ、かなわん!

 轟雷おれからだから抜け出た細棒ジンライが、キィンと巨大きょだいぼうになり――
 なにかを、その内部なかに溜めていく。

 轟雷おれ迅雷ジンライつらぬく、あかさんかく
 そのふとさが、どこまでも――増していく・・・・・
 こりゃもう、目とはなさきまで来て――――――見えた!

『(`曲´キラーン♪)』
 実物じつぶつ正面しょうめんから見るとじつ太々ふてぶてしくて、どこか五百乃大角いおのはらに似てた。

 一呼吸ひといきでもいきをついたら――悪い顔だんがんつらぬかれる恐怖きょうふに、あらがえない。
 下手へたを打ったな――っていうかなんで撃ちやがった・・・・・・、タターのやつわぁ!?

「ちぃっ――――――――――――――――!」
 こうもうるせぇ『▲▲▲ピピピピッ♪』に、つらぬかれたままじゃ――かんがえもまとまらん。
 うるせぇうるせぇ――ゴッッバァァァァァァァッ――『(`曲´わるいかお)』の弾丸たまうしろ・・・

 みずしぶきのような白煙はくえんがさかたちに、棚引たなびいてやがる。
 魔法杖ルードホルドそらのこしていた、白線はくせんおなじなら――こりゃくもか?

 もう身をよじろうが、なんだろうが。
 念話ねんわ意識いしき高速化こうそくか切れれば・・・・、その瞬間しゅんかんに撃ち抜かれる。

 あかマーカーきらめいたとき躊躇ちゅうちょせずに、轟雷式滅ごうらいしきめつ太刀たちはなっとくんだったぜ。
 日の本ぜんせじゃ〝抜いた刀・・・・〟を、よく悔やんでいたが――
 この来世うつつに来てからは〝抜かなかった刀・・・・・・・を、悔やんでばかりだ。

 ヴォヴォパパァァッ――――――――!!!
 おれと迅雷ジンライつらぬかんとする風雲かざくもかたちが、変わっていく。
 目を閉じたらつらぬかれるから、よく見る。
 どうせ鉄鎧からだを撃ち抜かれるにしても、刹那せつな最後さいごまで。
 あきらめるわけにはいかねぇ。
 おれが死んだらのこされたタターに、かわいそうなおもいをさせちまう。

『ヽ(`曲´ぶにゅり♪)ノ』
 ぶにゅりと、悪い顔だんがんから迫り出したのは……矢羽根やばねか?
 おれは止めていたいきを、すこしし吸う。
 グググゥゥンと、ひねり込んだうごききを見せる――悪い顔だんがん

 大筒おおづつと化した迅雷ジンライなかを――シュゴォォォンッ!
 そいつは、通り抜けた・・・・・
 ヴァリリッ、ぷすん!
 ジャイアントゴーレムをほふったなにかは――はなたれることなく霧散むさんした。

 ギャッギギギギギィィィィィンッ――――――はじかれる迅雷ジンライ
 ふぉん♪
『>さ』
 こわれないはずの浮かぶ球いおのはら
 同様どうよう迅雷ジンライだって、こわれるときはこわれる。
 まってろ、おれもすぐ追いかけらぁ!

 ひょろながくて太々ふてぶてしい弾丸たまが、鉄鎧おれからだはいってくる瞬間しゅんかん――
 ガムランちょう岩場いわばせいを受け、親切しんせつ無愛想ぶあいそう門番もんばんに――
 木さじ食堂しょくどう紹介しょうかいされたことを、なんでかおもい出した。
 おわった。とてもたのしい来世らいせだったぜ!

「(せめて達者たっしゃで暮らせやぁ、五百乃大角いおのはらぁ!)」
 あとのおかわり・・・・わぁ――女将おかみさんの食堂みせで、食わせてもらえやぁ!

 すっぽこ――こぉん♪
 てちり。
 強化服シシガニャンなか、目のまえって言うかすこよこ
 御神体ごしんたいかつ丸茸まるきのこさまが。
 うやうやしくも、ご降臨こうりんあそばされたてまつりやがり――
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

付喪神、子どもを拾う。

真鳥カノ
キャラ文芸
旧題:あやかし父さんのおいしい日和 3/13 書籍1巻刊行しました! 8/18 書籍2巻刊行しました!  【第4回キャラ文芸大賞 奨励賞】頂きました!皆様のおかげです!ありがとうございます! おいしいは、嬉しい。 おいしいは、温かい。 おいしいは、いとおしい。 料理人であり”あやかし”の「剣」は、ある日痩せこけて瀕死の人間の少女を拾う。 少女にとって、剣の作るご飯はすべてが宝物のようだった。 剣は、そんな少女にもっとご飯を作ってあげたいと思うようになる。 人間に「おいしい」を届けたいと思うあやかし。 あやかしに「おいしい」を教わる人間。 これは、そんな二人が織りなす、心温まるふれあいの物語。 ※この作品はエブリスタにも掲載しております。

【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅
ファンタジー
病弱ひ弱な青年「青峰レオ」は、その悲惨な人生を女神に同情され、異世界に転生することに。 女神曰く、異世界で人生をしっかり楽しめということらしいが、何か裏がある予感も。 そんなことはお構いなしに才覚溢れる冒険者となり、女の子とお近づきになりまくる状況に。 冒険もエロも楽しみたい人向け、大人の異世界転生冒険活劇始まります。 ・【♡(お相手の名前)】はとりあえずエロイことしています。悪しからず。 ・【☆】は挿絵があります。AI生成なので細部などの再現は甘いですが、キャラクターのイメージをお楽しみください。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・思想・名称などとは一切関係ありません。 ※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません ※この物語のえちちなシーンがある登場人物は全員18歳以上の設定です。

異世界に射出された俺、『大地の力』で快適森暮らし始めます!

らもえ
ファンタジー
旧題:異世界に射出された俺、見知らぬ森の真中へ放り出される。周りには木しか生えていないけどお地蔵さんに貰ったレアスキルを使って何とか生き延びます。  俺こと杉浦耕平は、学校帰りのコンビニから家に帰る途中で自称神なるものに拉致される。いきなり攫って異世界へ行けとおっしゃる。しかも語り口が軽くどうにも怪しい。  向こうに行っても特に使命は無く、自由にしていいと言う。しかし、もらえたスキルは【異言語理解】と【簡易鑑定】のみ。いや、これだけでどうせいっちゅーに。そんな俺を見かねた地元の地蔵尊がレアスキルをくれると言うらしい。やっぱり持つべきものは地元の繋がりだよね!  それで早速異世界転移!と思いきや、異世界の高高度の上空に自称神の手違いで射出されちまう。紐なしバンジーもしくはパラシュート無しのスカイダイビングか?これ。  自称神様が何かしてくれたお陰で何とか着地に成功するも、辺りは一面木ばっかりの森のど真ん中。いやこれ遭難ですやん。  そこでお地蔵さんから貰ったスキルを思い出した。これが意外とチートスキルで何とか生活していくことに成功するのだった。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

料理人が始める最強冒険者生活。チートスキルでモンスターを瞬間調理できるようになった件

しのこ
ファンタジー
料理人のハルは食材を瞬時に解体するスキルを持っていた。一瞬で野菜や肉、魚を部位ごとに思った通りに解体する便利なスキルだ。戦いに向いていないお料理便利スキルだと思っていたため、ハルは冒険者を目指すのを諦めていた。そんなある日、とある事件に巻き込まれて己のスキルにモンスターを瞬殺する力が秘めていることが発覚した。 圧倒的な力を持った料理人が冒険者として旅に出る。飯うま系最強ファンタジー

公爵に媚薬をもられた執事な私

天災
恋愛
 公爵様に媚薬をもられてしまった私。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

処理中です...