滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

558:央都猪蟹屋跡地、ユーザー登録

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「ではこのアダマンタイト試材しざい2で、再計測さいけいそく開始かいししますふ!」
 興奮気味こうふんぎみ試材2ながいぼう天井てんじょうからつるす、巻き角頭突き女モゼル・マトン

「さぁ、二人ふたりとも。その格好かっこうのまま、そこに立って♪」
 前掛けエプロンあたまかざりを取った、給仕服姿きゅうじふくすがた少女タター
 それをかかえた鬼族の娘オルコトリア冒険者装備ぼうけんしゃそうびはずした、いつもの受付嬢うけつけじょう格好かっこうだった。
 二人ふたりうながす、名も知らぬ学者方がくしゃかた口元くちもとが、盛大せいだいほころんでやがる。

「うふふふ、これゴーレムの背骨せぼねにしたらぁ、どうかしららぁん?」
 天井てんじょうに吊られた、あかがねのような光沢こうたくも持つ白金はっきんぼう
 それを撫でる王女殿下おうじょでんか口元くちもとも、あられもないほどほころんでやがる。

「ばか言っちゃいけねぇぜ、ゴーレムひめさまよぉ?」
 王女おうじょの向かいがわから、おなじくほころんでいた口元くちもとを引き締める筋骨隆々ノヴァド
「こいつぁ、辺境伯へんきょうはく名代みょうだい――〝蒼焔そうえん亡霊姫おばけひめ〟の魔法杖ルードホルドよりなげぇんだぜ。もう一本いっぽん魔法杖まほうつえ武具ぶぐつくるに、決まっっとろうガァハハッハッ?」
 むきーんとちからを込め、ピクピクとうでかたむね筋肉きんにくうごかしてみせる。

「らららららぁぁん!?」
 カチャリと、万能工具しゃくしを取り出す王女殿下ラプトルひめ

「みゃにゃぎゃぁー
 おにぎりがちかくの研究員けんきゅういんあたまを、ぽきゅむと撫でかえし――
「ひっひひひぃぃん?」
 てんぷらごうが、その尻尾しっぽ長銃の余りアダマンタイトに巻き付かせ――

「あっ、ルコル居た! どこ行ってたニャ! ついさっき上級鑑定じょうきゅうかんてい一枚売いちまいうれたニャ♪」
本当ほんとうコォン?」
 烏天狗役カラテェーやく裏烏天狗ジンライのそばにあつまる、喫茶店組カフェぐみ

本当ほんとうニャ、ぼったくってやったニャ――ン?」
 猫耳族あいつはまえにもしぼられたのに、懲りねぇなぁ。
 あんじょうリオレイニアに首根くびねっこを、つかまれてやがる。

 わいわわい、がやががや♪
 うるせぇが、やっと一段落ひとだんらくだぜ。

「あらいけない、わすれてましたわ」
 ルコルをうしろから羽交はがい締めにして、あそんでたご令嬢リカルルが――
 なにかをおもい出した。

なにをでぇぃ?」
 一応聞いちおうきいてやるが、もう今日きょうみせじまいだ。
 ふぅぃー、今日きょう無人工房プロダクトマシン使つかった夜仕事やしごともなし。
 ゆっくり寝るぞぉ――

「そろそろはは……辺境伯へんきょうはく名代みょうだいさがしに行かないと、いけないのでは無くて?」
 いけねぇ――すっかりわすれてたぜ。

   §

「では、使用者登録ユーザーとうろくを済ませてくるから、待ってて欲しいニャ♪」
 そう言って顧問秘書マルチヴィルを連れ立って、そとへ出て行ってしまう顧問氏ミャッド

 ふぉん♪
『>あの方角には、魔導騎士団の訓練場や宿泊施設が有ります』
 すると訓練場くんれんじょうに立ってた女神像めがみぞうか、魔導騎士団詰まどうきしだんつしょにでも行ったんだろ。

「(おい、五百乃大角いおのはら)」
 ふぉん♪
『イオノ>なぁにょ?』
 〝結う虚来うろく〟てなぁ、なんだ?
 ふぉん♪
『ヒント>ユーザー登録。使用者を特定し、各種の手続きを行うこと』
 仕官しかんのことか?

 ふぉん♪
『>ぷぷぷぅー、ウケケケッ♪ そぉんなこともぉ知らないなんて、シガミーもまだまだねぇ♪』
 良いからおしえろやぁ。

「ねえ、おひめちゃん。いまのぉ、ユーザー登録とうろくってなにわのょ?」
 ずっと踏みつけてる高貴なリカルルのあたまに、たずねる五百乃大角いおのはら
 おまえさまも、知らんのじゃないかぁ!

「ああ、あれは形式上けいしきじょうものですわ。当家家宝とうけかほうである〝ルードホルドの魔法杖まほうつえ〟や〝朱狐しゅぎつね装備一式シリーズ〟も、それぞれ使用者登録済しようしゃとうろくずみでしてよ♪」
 こしに巻いた真っ赤な魔法具ベルトを、ぽんとたたいてみせる。

「おれも、この金槌かなづち登録とうろくさせられたな」
 ヴッ――ドゴズズゥゥン!
 ガムランから来た連中れんちゅうには、収納魔法具しゅうのうまほうぐわたしてある。

わたくしも、この万能工具ばんのうこうぐ登録とうろくしていますららぁん」
 ヴッ――カチャッ♪
 央都おうと人間にんげんにも、龍討伐りゅうとうばつ参加予定者さんかよていしゃにはわたしてある。
 さっそくみんな使つかってくれてるようだ。

われは、この〝ギルド椅子原器いすげんき〟を登録とうろく……する必要ひつようは無いと、追いかえされたコォン、ぐすん!」
 かばんかられいのギルド椅子いすを出そうとして、やっぱり引っ込めるルコル少年しょうねん

「こらっ、工房長こうぼうちょう! うちのルコルをいじめるんじゃ有りませんわよ!」
 本気ほんきおこっているわけではない、彼女リカルルなりのいつもの冗談じょうだんだ。
 ただ姫さんリカルル縁者えんじゃで有る狐耳少年ルコルを、とてもかわいがっているのだ。

「なるほどねぇん。レア魔法具まほうぐなかでも装備そうびや、装備そうびを作るための装備そうびかんしては、きちんと管理かんりされてるようわねぇ」
 ふぉん♪
『イオノ>迅雷クーン。女神像に<未登録>の<アーティファクト>を、検索して!』

 ふぉん♪
『>該当は三件。ルコラコルの〝ギルド椅子原器〟と、他二件の<リンク途絶につき、詳細不明>デバイスが存在しています』
 ふうーん。たしかリンク途絶とぜつてのは、おまえならなおせるんだよな?
 ふぉん♪
『>おにぎりに10連撃チョップを食らわせる強者は、この地に存在しません。おそらくはAOSの再インストールもしくはアップデートのみで、修復されると思われます』
 ふむ、こんないそぎでも無けりゃ、その発掘魔法具アーティファクトさがしてから巨木りゅういどみたかったぜ。

「あぁーおれぁ、相棒あいぼうなにもしとらんが……?」
 ガリガリとうしろあたまを掻くと、ペチリと蜂女はち刺されたとめられた
「シガミーとジンライについては、イオノファラーさまの関係者かんけいしゃと言うことで免除めんじょされていますね――ヴヴッ♪」
 免除めんじょ
 ふぉん♪
『>依怙贔屓と考えて、良いと思われます』

「うむぅ? なに心地ここちわりぃが……良しとするか」
 おれは空いたテーブルに、手持てもちの装備そうびならべていく。
 妖弧ようこルリーロさまが、どこまですっ飛んでったのか知らんが――
 あのごつい山菜ルードホルドを追っかけるなら、準備じゅんび万端ばんたんにしておきてぇ。
 それとも轟雷ゴウライ出陣しゅつじんするべきか?

「そんなことを言ったら、シガミーにカラテェーにテェーング殿どの。あなたたちヒーノモトー出身者しゅっしんしゃつくったものは、ほとんどすべてがアーティファクトきゅうですわ!」
 語気ごきつよめる、辺境伯へんきょうはく令嬢れいじょう

「いちいち登録とうろくなどしていたら、専門せんもん登録官とうろくかん必要ひつようになる――という側面そくめんも有るのですよ――ふぅぅぅう-」
 ルガ蜂ふるえるのもわすれて、おおきないきを吐くルガ……リオレイニア。
 なんかいつもすまん。たぶん、おれたちが知らない苦労くろうをさせてそうだぜ。

「でハわタしハ、身ヲ粉にシてはらラきマしょう。ネえ、シガミー?」
 おれの後ろ頭かんざしから、こえがした。
 それくらいの芸当げいとうは、神々かみがみ御業みわざもってすれば、わけも無い。

「そうだな――むっぎゅ♪」
 突然とつぜんなにかにあたまうえにのし掛かられた。
 丸茸まるきのこさまにしちゃ、ずしりとおもくておおきなソレは――

「――飛んでいった〝ルードホルドの魔法杖まほうつえ〟は、発掘魔法具はっくつまほうぐとしては最高峰さいこうほうニャ♪――」
 おねこさまだ。
 お猫さまケットーシィが、おれのあたまを蹴り――結構遠けっこうとおくの台座だいざに飛び乗った!
 すげぇ飛ぶなぁ、ねこわぁ。

「――そしてそれにならぶ――スキットル――フリー効果音こうかおん――カップ麺自販機めんじはんきニャァ♪――」
 また途中とちゅうからわからんが、言ってることはわからいでか。
 完成かんせいした超長ちょうなげ長銃ちょうじゅうまたがるかおつきは、とてもいさましく――

「みゃがや(略)――
 ダミごえに振り向けば――ぱたん♪
『「〝ルードホルドの魔法杖〟に並ぶものが有るのは、誇って良いニャァ♪」ってもの♪』

「にゃふうっふっふ♪ よくぞ言ったニャァ、先達せんだつさま!」
「お待たせいたしました。魔銃まじゅうオルタネーターの使用者登録ユーザーとうろく完了かんりょういたしました」
 魔導騎士団まどうきしだん学者方がくしゃかたたばねる顧問技師こもんぎしと、その秘書ひしょもどってきた。
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