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4:龍撃の学院

513:ギ術開発部研究所、狙撃犯はんめい

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いまなぁ、茅野姫かやのひめから連絡れんらくが来たんだが――ゲイルをねらった木の実をぎゃく辿たどったら……んぁぁ?」
 おれのくびかたむく。

 ふぉん♪
『シガミー>おい、返事をしろや。茅野姫さまよお?』
 返事へんじがねぇ。居なくなっちまったぞ?

(Θ_Θ)カシャッ
 ヴォォォォゥン♪
 映像すがたを消し、機械腕ほそうでにつかまれた五百乃大角ごしんたいさまが寄ってきた。
 ふぉん♪
『イオノ>あー。地下深くだからか、この倉庫が防磁されているのかわからないけど、女神デバイス間の通話を介さないと一行文字が使えないみたいねぇん』

 ふぉん♪
『ホシガミー>そのようですね。うふふ♪ その場所で私と一行表示で会話なさるときには、イオノファラーさまの近くへ居てください、プークス♪』

「そーいうことならぁ、逃げられねぇようにつかまえとけ」
 ヴォヴォォォォゥン――――カシャキャチャガシッ!
 おれのちかくをただよってた空飛ぶ棒ジンライが、空飛ぶ球と根菜いおのはら細腕ひもでつないだ。
 女神一式ごしんたいつかまえてたら――とんとんとかたたたかれた。

「それで、ぎゃく辿たどったら……なんなんだい?」
 振り向けば――「なんで女将おかみさんがここに?」
「いやだね、この子は。この建物たてもの家捜やさがししはじめたときに、合流ごうりゅうしただろう?」
 初耳はつみみなんだけど?

 ふぉん♪
『>173分前にコッヘル夫人と、合流しています』
 するってぇと、神官モサモサどもにちゃを出してもらったときか。
 モサモサ人混ひとごみで、全員ぜんいんかおは見てなかったからな。

「わかんなかったぜ、すまんすまん。それで――」
 なんはなしだったっけ?
 ふぉん♪
『>ゲイルを狙った木の実を逆に辿ったらの話、では?』
 そうだぜ。

「――ぎゃく辿たどったらよ、りゅうの巣に行き着いたそうだ」
 全員ぜんいんくびが、かべ大穴おおあなへ向いた。

   §

宝箱たからばこから飛び出た木の実がぁ――ガハハ♪」
 屈強くっきょう鍛冶職人かじしょくにんが、わらってやがる。

地中ちちゅうを突きすすんで行って――ららぁん♪」
 魔導工学者ゴーレムつかい、もしくは第一王女ドルイドひめおそれられる彼女ラプトルも、わらってやがる。

りゅうの巣のかべに跳ねかえって――うひょぉ♪」
 うるせぇ、師団長代表ケッピン
 お仲間なかまのご老体ろうたいはモサモサに介護かいごされ、わらしはレイダに手を引かれるままはしまわり――
 かおなが獣人じゅうじんは、にょろにょろとながしたを出したり引っ込めたりしてあたりをうかがっている。
 背負せおった武器ぶきつちを掘る農具のうぐのようで、まるでつよそうには見えんが――

 ふぉん♪
『>ここに居る師団長の中では一番、仕事が出来そうですね』
 そうだな。なんか毛並けなみも良いしな。

上空じょうくうへ飛んで行った……ニャァ?」
 車座くるまざになり、そんな結論けつろんたっする大人おとなたち。

「じゃぁ、宝箱たからばこから木の実をはじき飛ばしたのは、一体誰いったいだれなんでぇい?」
 鉄塊てっかいにもたれる、むくつけき代表だいひょうノヴァド。
「だろぉ? しかも、ごく最近さいきんのこととなるとよぉ?」
 すわり込んだてんぷらごうにもたれるおれ、しゃらあしゃらに程遠ほどとお代表だいひょうシガミー。

「あなたたち、そのあな危険きけんかも知れません。もうすこし下がってください」
 ひかりのたてをかまえ、大穴おおあなふさ蜂女ルガさん
 あのひかりは魔物まものや、よこしまものをとおざける。
 基本的きほんてきには飛んでくる魔法まほうや矢を、ふせぐためのものだ。

 あなちかくに居た、おれとノヴァドは――しっしと部屋へやすみへと追いやられた。
 ガハハとわら工房長かれうでが、鉄塊てっかいのような金槌かなづちを――ゴゴドゴンッ!
 退かしたそのかどが――ヴァチィッ!
 弧をえがひかり曲面きょくめんをかすった

「おっとあぶねぇっ――よっと!」
 ゴォゥン、ゴッズズズズゥン!
 かるく跳ねあがった鉄塊かなづちを、蜂女ルガさんからとおざける工房ノヴァ――

「あっ――あぁあぁぁあぁっ?」
 おれはようやく、思い至った・・・・・

 くだんの木の実は蜂女ルガさんの〝ひかりのたて〟に向かって、落ちてくる性質・・・・・・・があった。
 そして木の実・・・は、そのひかり・・・・・に触れると――
 とんでもないいきおいで、弾き飛ばされていた・・・・・・・・・ことを。

「やべぇっ! 犯人はんにん本当ほんとうにリオ――ルガレイニアだったみてぇだぜっ!」
 おれの言葉ことばにギョッとしたルガさんが、ひかりのたてをぼしゅるると消した。

   §

 いにしえりゅうを閉じ込めた、宝箱たからばことやら。
 それを打ちこわしたのは、・なかはいっていた巨木きょぼくの木の実。
 そしてそれを、引き起こしたのは・・・・・・・・――

「まさかわたくしの、ひかりのたて!?」
 両手りょうてちいさく持ち上げる、蜂のお化けルガレイニア

「そうだ。しかも呪文じゅもん最後さいごまでとなえた本式ほんしきの、とんでもねぇひかりのたてだっただろう?」
 三日三晩みっかみばん央都おうとを照らしつづけた超広域結界ちょうこういきけっかい
 地中深ちちゅうふかくからはなたれた――龍脈言語りゅうみゃくげんごによる直接的ちょくせつてき物理演算ぶつりえんざん

「けどあそこまでの大事おおごとに、なってしまったのはぁ――」
 涙目なみだめになり、持ち上げた手をちいさく振りまわす白い蜂ルガさん

「――シガミーが「めっ」したからではなくて?」
 べつに責め立てるつもりは、無かったんだが――
 すっと赤い狐リカルルが、割ってはいってきた。

「そうでスね。シガミーが作成さクせいシた〝紫色むラさきいろのリボン〟にヨる未解析みかイせき詠唱効率えいしょうコうりつ上昇じょうシょうト、理論上最大りろんじょうサいだい魔導伝導率まどうでンどうりつほコわタしトの共闘コラボも――爆発的ばくはつテき広域化こうイきか一因いちいンでス――」

 ふぉん♪
『無縫のリボン【紫】
 防御力30。魔力量10。
 シワにならない魔法のリボン』
 小窓ダイアログがでた。もっともこいつは偽装ぎそうしてある。

 ふぉん♪
『響言の鉢巻き【今紫】
 防御力30。魔力量10(固定)。
 魔術の多重詠唱が可能になる』
 魔神の再来の再々リオレイニアが、あのときかみむすんでいたリボン。
 その本当ほんとう性能せいのうは、こっちだ。

 日のもと坊主ぼうずにとっちゃ、朝飯前あさめしまえ多重詠唱たじゅうえいしょう
 となえることは出来できても、この世界せかい住人じゅうにんであるリオには発現はつげんしなかった。

 詠唱法それをおれ以外いがいやつにも、使えるようにする・・・・・・・・頭装備あたまそうび
 ひとつの呪文じゅもん何個なんこもの魔法まほうを、詰め込む・・・・詠唱法えいしょうほう
 その威力いりょく実際じっさいに、測定魔法具そくていまほうぐこわし、央都住民おうとじゅうみん寝不足ねぶそくにしている。
 そんな経緯けいい根菜こんさい判断はんだんで、お蔵入り・・・・になったものだ。
 それとあのとき彼女かのじょの手が、迅雷ジンライに掛かったことが原因げんいん半分はんぶん

めっせよ♪」
 そんな子供レイダのおふざけに――
「滅せよ?」
 つづく子供ヴィヴィヴィー
メッせよゥ?」
 火龍少年かりゅうしょうねんゲイル。
めっすを?」
 第四師団団長ミラカルカ
 やかましいぞ、貴様等きさまらめ。

れいの〝めっせよ〟かい? そりゃぁシガミーがわるいさねぇ♪」
 女将おかみさんが、木さじへ手を延ばす。
「ガハハハハッ――ちげぇねぇ♪」
 やめろや、工房長ノヴァド

「ですがぁ、あのあと王都周辺おうとしゅうへん魔物まもの出現しゅつげんが、ほぼ無くなりましたららぁぁん」
 そーだろう、なんでかはよくわからんが。

「ありゃぁ、たしかに……おれもわるかった。央都おうと市民しみんにもひどいことをしたとおもってる。けどよぉ、魔王まおうふうじ込めるための対魔王結界たいまおうけっかいを跳び越えて――央都おうとまるごと〝ひかりのたて〟で囲んじまう・・・・・とわぁ、さすがのおれでもおもわねぇよ」
 うつむいて、泣きごとを言う。
 けっしてありゃぁ、おれだけのせいではない。

 実理じつり縁起えんぎ改竄かいざん――美の女神いおのはら茅野姫ほしがみ御業みわざよりも、滅多めったなことだ。
 ひとの身で(いまの見た目は、蜂のお化け・・・・・みてぇだが)そんなことをするほうわりいだろう?

 ふぉん♪
『ホシガミー>お亡くなりになったシガミーさんをサルベージするため乱しに乱しまくった龍脈の経路が、アレで一遍に整いましたわ♪』
 やっぱり、おれのせいじゃんか。
 ひとまずだまって、うつむいておく。

「なるほどニャァ。あの強力きょうりょく聖なる光・・・・はじかれた木の実が、こうしてかた岩盤がんばんを――」
「――数日掛すうじつかけて、掘り進んだと・・・・・・
 ギ術開発部組じゅつかいはつぶぐみが、納得なっとくしてくれた。

多少たしょウ疑問ぎモんハのこりまスがルガレイニアにヨる〝ひかりのたて〟が、封印ふうイんさレたりュう……巨木きょぼくの木の実をネネルドむらまで弾き飛ばした・・・・・・ことは、間違まチがいないよウで
 ヴォヴォゥゥン――――ギュギチキャシャラララッ!
 五百乃大角いおのはらが飛び立とうとして、『(>△プロジェクション<)BOT』を揺さぶってる。
 そろそろはらを空かせるころか。いそがねぇと。

「あれ? けどさ、その木の実はたまごだとおもったゲイルくんが、持ってかえって来ちゃったでしょぅ?」
 不意ふいにかたむく、子供レイダくび

「そうだぜ! ならネネルドむらに生えた巨木きょぼくたねは――どっから来た・・・・・・?」
 それはつまり、封印ふういんされてた木の実とはべつの木の実を――
 バラ撒いてる・・・・・・やつが居るってことで。
 くそう、また振り出しにもどっちまった。
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